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【大阪天王寺の弁護士が解説】離婚のとき財産分与で税金はかかるのでしょうか。

【大阪天王寺の弁護士が解説】離婚のとき財産分与で税金はかかるのでしょうか。

離婚に当たっては、様々なお金のやり取りがなされます。
財産分与は、夫婦共有財産の清算であるため、婚姻期間が長期間に及ぶと多額に及ぶことがありえます。
司法統計年報においても、婚姻期間が長期間にわたる事案については財産分与の金額が数百万円、高い案件では、1000万円をこえる案件も増えてきます。
一方で、大きなお金を受ける場合には税金がかかってこないかが不安となる方もおられるでしょう。
そこで、このページでは、離婚の財産分与でどのような場合に税金がかかってくるのか解説させていただきます。

1 不法行為に基づく慰謝料請求権

離婚慰謝料や不貞行為慰謝料については、不法行為に基づく損害賠償金に当たります。
所得税法9条1項17号後段では、不法行為に基づく損害賠償金として、所得税はかかってきません。また、贈与にも該当しないため、贈与税も課税されません。
不法行為に基づく損害賠償金は、本来マイナスとなっていた損害を回復させたものにすぎ宇、利益が生じていると考えられています。

したがって、離婚においても、原告は慰謝料について税金はかかってこないことが多いでしょう。

2 財産分与について

(1)財産分与で財産を取得する場合

・贈与税について

財産分与による財産取得については、基本的に、贈与税はかからないこととなっています。
これは財産分与義務の消滅の対価としての資産の移転であると考えられているためです(所基通33-1の4参照)。

解決金等の名目であったとしても、その実質が財産分与であった場合には、贈与税はかからないこととなるでしょう。

もっとも、分与された金額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、なお過当であると認められる場合には、過当な部分について贈与によって取得した財産とみなされ、贈与税が課税されることとなります(相続税方基本通達9-8条)。

・取得財産が不動産であった場合(登録免許税、不動産取得税)

財産分与において対象財産が不動産であった場合には、不動産を取得した者は、不動産登記時の登録免許税、不動産取得税が課税されることがあります。

不動産の取得が婚姻中の財産関係を清算する趣旨の財産分与である場合については、それが夫婦いずれに属するか明らかでないため夫婦の共有に属するものと推定される財産についてなされたものである限りは、形式的に財産の移転が行われることはあっても、当然の所有権の帰属を確認する趣旨にすぎず、これによって実質的に財産権の移転が生じるものではないと解されるため、不動産取得税の課税対象とはならないと解されています(東京地裁昭和45年9月22日判決)。

一方で、不動産の取得が離婚に対する将来の扶養を目的とする場合などには、実質的にその不動産所有権の移転が生じると解されます。判例は、不動産取得税は、流通税に属し、不動産所有権移転の事実自体に着目して課されるものであるため、不動産の取得とは、所有権移転の形式により不動産を取得するすべての場合をいうとして、共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を移転することも、不動産の移転と解しています(最高裁昭和53年4月11日判決)。
そのため、実質的な所有権の移転がある場合には、不動産取得税の課税対象となると考えらえるでしょう(東京地方裁判所昭和45年9月22日参照)。

居住用不動産の取得については、不動産取得税の軽減措置を利用できる場合があります。
軽減措置についてはしばしば制度変更がなされるため、税務署、税理士などに確認をしておくとよいでしょう。

(2)財産分与の義務者について(譲渡所得税)

財産分与の義務者については、現金での財産分与では課税はなされません。
しかし、不動産等の資産を譲渡したには、譲渡所得税がかかってくる場合があります。

不動産、株式等の財産分与時点の時価と比較し、取得した金額から分与の時点までの間に価値が上昇している場合には、値上がり益が譲渡所得として、所得税や住民税が課税されることとなります。

居住用財産については、控除があるために、一定程度値上がりをしていても実際に課税がなされることは少ないのですが、注意が必要となるでしょう。

最高裁昭和50年5月27日判決では、慰謝料及び扶養を目的とする財産分与として不動産を分与した場合には、譲渡所得税は、資産の値上がりによってその所有者に帰属する増加駅を、その資産が所有者の支払を離れて他に移転するのを機会に、所得として清算させる趣旨であるとして、譲渡所得税が課されることを示しました。

譲渡所得税については
① 財産分与時点での時価
② 取得費(不動産の購入代金又は建築代金等)及び③譲渡費用を控除し、
③ 一定の要件を満たした場合には、特別控除額を控除して譲渡所得が算出された譲渡職額に対して、
④ 譲渡所得額に所定の税率を乗じた税額を算定されることとなります。
居住用財産を譲渡したときには、一定の要件で3000万円まで特例控除ができる場合があります。
また、所有期間10年超場合には、長期譲渡所得税についての軽減税率を利用できる場合があります。

譲渡者側に譲渡所得税が課税されることについて、課税されることはあまり知られていないため、2億円を上回る譲渡所得税が課税されることに対して、協議離婚に伴い夫が自己の不動産を妻に譲渡する旨の財産分与契約をした場合に、要素の錯誤の成否、重大な過失の有無につちえ審理を尽くさせるべきとして、原審に差し戻した事案があります(最高裁平成元年9月14日判決)。

財産分与にて財産を渡す側においても課税がなされる可能性に注意をしておくとよいでしょう。

3 まとめ


離婚、財産分与についてお金がよく問題となってきます。
天王寺総合法律事務所では、離婚、財産分与などの問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、離婚について弁護士を入れて手続きを進められたい場合にはぜひお気軽に音甥合わせください。

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