遺言書作成サポート弁護士

遺言書作成サポート弁護士

遺言書作成の弁護士

✅ 相続をトラブルにしないためにできることはありませんか
✅ 遺言書の作成は誰に依頼すべきでしょうか
✅ 遺言書のメリットには何があるのでしょうか
✅ 自筆証書遺言、公正証書遺言のどちらを利用すべきでしょうか
✅ 子どもがいないときに遺言書を作成すべきですか
✅ 内縁の妻に財産を残すために遺言書を作成するべきですか。

遺言書の作成は本人での作成や他の士業、銀行などで作成を勧められる場合があるでしょう。これらの他の業種ではなく、弁護士に遺言書作成を依頼するメリットは、依頼者の代理人となれること、遺言執行者の依頼ができること、遺言内容について高度な法的判断を含めた法律相談ができることです。

将来の紛争防止のために、相続人調査と財産調査を行い、最適な手段で遺言書を作成するために弁護士に依頼していくとよいでしょう。

それぞれの事情を踏まえて、不動産の有無(司法書士)、租税関係の有無(税理士)、簡易な遺言書の作成(行政書士)を行う場合や法人として大規模な組織を利用する場合(信託銀行)など適切な専門家に相談をしていくとよいでそう。

(※司法書士、税理士については、遺言書作成のための相談を行うことには一定のグレーゾーンがあり、行政書士については、依頼者の趣旨に沿って、種類、内容を作成するための相談が原則となります。)
(※金融機関については、相続コンサルティング業務+提携の司法書士、税理士に依頼する形となって高額になりがちであり、個人での遺言書の作成を依頼するのであれば、直接士業に依頼されることをおすすめいたします。)

1 遺言書作成を弁護士に依頼するメリットとは?


① 法的に正しい遺言書を作成できる
 遺言書を自分で作成する場合や遺言書作成のテンプレートを利用した場合には、不備を見逃して遺言書を作成してしまうリスクが高くなります。せっかく将来の紛争を回避し、大切な財産を残すために、遺言書を作成するのですから、弁護士に依頼をして法的に正しい遺言書を相談、作成を行っていくとよいでしょう。

② 遺言書の作成、保管、遺言書の執行、相続に対するワンストップ対応が可能
 弁護士は、法律事務全般に対する権限を有しているため、紛争に備えた遺言書の作成を行い、事前に内容・形式のチェックを受けた法的に正しい遺言書の作成、遺言書紛失や改ざんを避けるための遺言書保管、遺言書に記載された内容を実現するための遺言執行者の選任、執行、遺留分侵害額請求などへの対応など、遺言に関連する紛争にワンストップな対応を行っていくことができるでしょう。

③ 法的トラブルになったときにも対応できる
 多くの弁護士は、紛争トラブルに対応する紛争性が高い業務と取り扱っています。信託銀行や司法書士、行政書士、税理士と異なる点は、紛争性が高い案件に意向した法的トラブルになった場合に対応を依頼することとなるでしょう。遺言書の作成について、相談先がわからないといった場合には、弁護士に相談をされるとよいでしょう。

2 遺言の基礎知識


(1)遺言とは何か


 遺言とは、自己の死後に一定の効果が発生することを意図した個人の最終意思が一定の方式のもとで表示されたものをいい、死亡後にその意思が尊重される制度となっています。一般的な用語としての遺言(ゆいごん)には、死後のために残す言葉として、法律的な意味を有しない事項も含まれますが、法律上の遺言(いごん)には、一定の法的効果を発生させる法律上の意味を有するものということができるでしょう。

 遺言は、相手方のない単独行為であるものの、死亡後に効果が生じるため、生前になされた意思表示が真意でなされたものを確認するために、民法上の厳格な方式が要求される要式行為とされています。そのため、遺言は、民法に定められた方式に従って作成されなければならないことになります。

 遺言の解釈においては、遺言の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求し、その意味内容を確定させていきます。遺言書の解釈には、遺言書の文言を前提に解釈されるべきものであり、遺言書の外の意思を補充するのは慎重に判断される必要があります。仮に、遺言の方式違反があった場合にも、死因贈与契約として認められる場合もあるでしょう。

(2)遺言に記載できる事項とは


 遺言制度は、人の最終的意思の実現を法的に強制するもので、単独行為であるため、決定することが可能な事項は①身分の関する事項、②相続に関する事項、③相続財産に関する事項、④遺言執行に関する事項、⑤その他の事項に制限がなされています、

 遺言事項を確認して、作成を行っていくこととなるでしょう。

(3)遺言書を作成すべき事案とは

① 配偶者との子どもがいない場合
 子どもがおられない場合には、配偶者が全体の財産を取得すると思われている方がおられます。しかし、子どもがおられない場合でも血族相続人には、順位があり第1順位「子」、第2順位「直系尊属」、第3順位「兄弟姉妹」となっています。子どもがいない場合には、直系尊属(父母など)が相続人となり、直系尊属がいない場合にも兄弟姉妹が相続人となることがあります。兄弟姉妹には代襲相続が認められ、配偶者の兄弟姉妹(代襲相続として配偶者の甥、姪)が相続人となり、ほとんど関わり合いがなかった者との遺産分割協議を行わなければならないこととなります。
 遺言がなければ法定相続分に従って遺産分割がなされることとなります。しかし、遺言により、共同相続人の相続分は、遺言で変更することができます。特定の者のみを相続人とした場合には、遺言でその者を特定して、できる限り財産を特定したうえで、その他一切の財産を相続させる旨を明記することとなります。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺留分侵害額請求は行われないこととなるでしょう。現時点での配偶者控除制度を利用した場合には、相続税がどの程度となるかも算定しておくとよいでしょう。
 したがって、子どもがいない場合には、配偶者に財産を残すために、遺言書の作成、相続税の算定などをされるとよいでしょう。

② 前妻の子どもと後妻の相続がある場合
 法定相続人としては、配偶者は相続人となり、先妻の子どもは、第一順位の相続人となります。なお、前妻には、相続権はありません。
 先妻の子どもと後妻の場合には、感情的な軋轢などから法定相続分どおりに分割であったとしても、遺産分割協議が上手くまとまらない、長期化するという危険性があります。
 遺言書にどちらかに全額を渡すといった遺言をしたとしても、法定相続分の2分の1を行使できるため、遺留分侵害額請求権がなされる可能性があります。今後の生活設計や子供盾居の生活状況も勘案しながら、遺留分に留意した遺言書を作成するとよいでしょう。
 相続をさせたくないといった場合には、生前贈与、生命保険、財産名義への配慮を行うなど、相続対策を行うこととなるでしょう。

③ 内縁の妻がいる場合
 内縁の妻がいる場合には、家族同然で生活をしていたとしても、被相続人の財産を相続することができません。そのため、遺言者が内縁の妻に対して財産を残すためには、遺言書で遺贈をする必要があります。
 特に問題となるケースは、婚姻関係上には長期間の別居をしている妻や子供と内縁の妻の場合がいる場合には、感情面での対立が大きくなることがあり得ます。遺留分に配慮をした遺言書を作成し、遺留分侵害額請求を防止しながら遺言によって財産の分配を行うとよいでしょう。感情的な対立から、円満な遺言の実現のために遺言執行者を準備しておくとよいでしょう。

④ 相続人がいない場合
 相続人がいない場合には、相続財産は法人とされ、利害関係人等により家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てがなされ、相続財産管理人は、相続債権者、受遺者に対する公告、催告、弁済や相続人捜索の公告を行い、特別縁故者に対する相続財産分与などを経て、残余財産は国庫への帰属がなされます。
 特別縁故者とは、相続人不存在の際に、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。生計を同じくしていた者としては、内縁の配偶者や事実上の養子、同居の叔父父母などの相続人とならない同居の親族などが当たります。療養看護に努めた者には、通常の報酬の範囲内にて療養、観護をしていたものはなかなか認められず、対価以上の療養看護等の福祉を尽くしたと評価できる場合に限って特別縁故者として認められる余地があると慎重に判断がなされています。
 したがって、家庭裁判所に、特別縁故者が認められること想定しておくよりも、遺言書により自己の財産を特定の個人、団体、公的機関に渡すとの遺贈を行っていくこととなるでしょう。個別の遺贈ではなく、包括遺贈をしておくことで、相続人が存在しないとの場合を防ぎ、財産を特定の縁故者に渡すことができるでしょう。

⑤ 事業をされていて、事業を特定のことも引き継がせたい場合
 農業や中小企業のオーナーの場合には、遺産が法定相続分に応じて分けられた場合には、家業、事業の資源、経営権が分散して、経営が成り立たなくなる危険性があります。相続人には、遺留分がありますので、遺留分に配慮しつつ、農地、店舗、株式等を事業後継者に対して相続させる必要があるでしょう。
 会社の株式は、遺言者の保有する財産ですので、遺言により特定の相続人に対して相続をさせることができます。株主総会で過半数を超えるような配分をするとよいでしょう。中小企業経営承継円滑化法により、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所定の手続(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経ることで、生前贈与株式を遺留分の対象から除外し、生前贈与株式の評価額をあらかじめ固定を行うことができます。
 個人事業については、移転に注意すべきことがいくつかあります。個人事業に供する財産を具体的に明示し、遺留分について代償金を定める、不動産に相続させる遺言を定める(相続させる旨の遺言で相続開始と同時に遺言で指定された相続人に権利移転の効果が生じ、単独で相続登記の申請を行えます)、営業をやめたときに遺贈の効力と失わせる解除条件付遺贈などの希望に応じた遺言書を作成していくとよいでしょう。事前に相続人に対して説得を行い、相続開始前の遺留分の放棄を家庭裁判所の許可を得て行うことが考えられます(1049条1項)。

⑥ 独居・独身の高齢者の場合、特にお世話になっている人がいる場合
 一人暮らしの独居・独身の高齢者の場合には、子どもや配偶者がおらず、直系尊属もいないため、兄弟姉妹及び兄弟姉妹の代襲相続を行った甥、姪が相続人となることが考えられます。また、周囲にお世話になった方に対して、一定の財産を渡したいと考えることがありえるでしょう。特別縁故者は、相続人がいない場合にしか利用はできません。そこで、遺言を活用することで、特定の者に対して包括遺贈を行うとよいでしょう。

⑦ 寄付を行いたい場合
 社会貢献として遺言により財産を社会福祉法人や公共事業に寄付することが考えられます。相続税を軽減させるために、公共事業に寄付することを検討することを行うことがありえるでしょう。寄付行為を検討されている場合には、遺言を作成するとよいでしょう。

⑧ 相続人の中に行方不明者がいる場合
 行方不明の相続人がいる場合には、戸籍や住民票の調査、行方不明期間が7年以内であれば家庭裁判所での不在者財産管理人の申立て、生死不明の期間が7年以上である場合には、失踪宣告の申立てなどの対応が必要となってきます。相続人の中に行方不明者がいる場合には、遺言書を作成し、遺産分割協議をせずに遺産の分配をすることができるでしょう。

(4)遺言の種類と活用方法


 遺言を作成することなった場合には、遺言事項とどのような手段で遺言を利用するのかを検討するとよいでしょう。遺言は15歳以上の者であれば誰でも自由にすることができ、遺言の方式に従うことでいつでも遺言の全部又は一部を自由に撤回することができます。
 遺言の方式には、普通方式と特別方式の2種類が存在します。普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、特別方式には、一時危急時遺言、難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言の4種類があります。特別方式は、生命の危険がある場合や伝染病などで隔離を余儀なくされている場合に用いられます。

① 自筆証書遺言:遺言者がその全文、日付、氏名を自署し、押印することによって作成することができます(968条)
 自筆証書遺言のメリットとしては、簡明で費用がかからないこと、誰にも知られずに作成ができる点があります。
 デメリットとしては、遺言の有効性が争われること、基本的には検認手続きが必要であること、遺言書の存在が発見されないリスクがあります。
 遺言書が紛失、廃棄、隠匿、改ざんのおそれがあるとして、遺言書保管法により、法務局に遺言書が保管させる制度が設けられています。法務局での保管制度を利用する場合には家庭裁判所での検認手続きが不要となります。もっとも、自筆証書遺言保管制度では内容の審査が行われないため遺言が無効と判断されるおそれがあります。

② 公正証書遺言:遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書により遺言書を作成する方式の遺言です。
 公正証書遺言のメリットとしては、公証人の関与があるために方式不備による事後的紛争を回避できること、遺言書は公証人役場に保管されるため偽造・変造の危険が少ないこと、家庭裁判所での検認手続きを取らずに遺言内容を実現することができます。
 デメリットとしては、費用がかかること、証人2人以上の立会いが必要となる点です。

 自筆証書遺言保管制度では、遺言書の内容を確保することができないことから公正証書遺言により作成されることをオススメ致します。

③ 秘密証書遺言:遺言者が遺言内容を秘密にして遺言書を作成したうえで、封印をした遺言証書の存在を明らかにし、公証人を関与させる形で行われる遺言です。
 秘密証書遺言のメリットとしては、自筆能力がなくとも遺言書を作成できる点、遺言の存在を明らかにできるために死後に遺言が発見されないといった危険や、隠匿、破棄の可能性が低いことが考えられます。
 デメリットとしては、遺言をしたという事実が明らかになってしまうこと、遺言書作成の費用がかかること、家庭裁判所の検認手続きが必要であること、加除、訂正については、自筆証書規程の規定が準用されるため、方式違反により無効とされる危険性があります。

(5)遺言作成時の注意点


 遺言書を作成するためには、様々な要式が定められているためこれを守って作成することが必要となります。

〇 自筆証書遺言の作成方法
① 自筆
・自筆証書遺言では、別紙として添付する財産目録をのぞいて全文自筆で書く必要があります。財産目録については、通帳のコピーやパソコン・ワープロ等で作成することもでき、遺言者以外の者に作成してもらうことはできますが、財産目録以外は自筆で作成しなければなりません。
・遺言内容をテープに録音したり、ビデオで録画しても自筆証書遺言としての要件は満たさず、遺言としては無効となります。
・カーボン複写を用いた遺言については、自筆性の要件を満たしている場合には、有効されます
・遺言者が病気などにより手が震える場合に、運筆に他人の助けを足りる程度で、他人の意思が介入した形跡のないことが筆跡上判定できる場合には自筆の要件を満たします
・遺言書の一部を他人がかいた場合には、遺言者の自筆部分まで無効となるかには争いがあり、事案によって判断が分かれることとなるでしょう

② 作成した年月日を入れること
 日付は、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無、内容の抵触する複数の遺言がある場合に、その戦後関係を明らかにするために必要とされ、日付の記載がない無効となります。日付印を押したのみでは、自筆の要件を満たさないために無効となります。
・日付の記載方法としては、年、月、日を明らかにします。西暦、元号どちらでも問題ありません。遺言の成立の日が確定できれば問題がないため、誕生日、還暦の日でも特定性はあります。吉日という記載は日付の特定を欠けるものとして無効となります。
・遺言の全文を自筆した翌日に、前日の記載をしても有効と解されます。錯誤により日付を間違えて記載したものについては、誤記であること、真実の作成日が証書の記載その他から容易に判明する場合には、無効とはなりません。
・遺言者が遺言の全文、氏名を自訴して押印したものを封筒に入れ封印し、封筒に日付を自筆した場合にも有効とされます。

③ 署名・押印をすること
 署名・押印については、遺言者の氏名を自筆し、押印をすることになります。原則として、遺言者自身がしなくてはなりません。
・印鑑は実印ではなく、認印でも有効となります。財産目録をパソコン等で作成した場合には、各ページに署名・押印が必要となります。遺言書が複数頁になる場合には、一綴りにして、各ページに契印をするとよいでしょう。指印でもよいと解されていますが、誰の指印であるかの疑義ができるため、実印を使用するのが望ましいでしょう。
・遺言者が他人に押印を依頼してその他人が遺言者の面前で押印した場合や入院中の遺言者の支持で実印を預かった遺言者の娘が自宅に持ち帰り、自宅で押印したものも有効と解されています。
・遺言書自体には押印がなくとも封筒に記載された氏名の下に押印があるバイにも有効であると解されます。

〇 作成時の留意点
・遺言書に用いる文字、用語には、特に制限はなく、ローマ字なども認められます。意味内容が特定できれば、略字、略語の使用も可能です。
・遺言の文言の意味が不明な場合には、効力が生じないことがあります。土地を上げると記載するのではなく、相続させる、遺贈すると記載することとなります。
・用紙には決まりはありませんが、長期間の保管が前提となりますので、保存に適したものを使う方がよいでしょう。筆記用具については、保存変造の防止のため、鉛筆ではなく、ボールペンなどが望ましいでしょう。
・財産の特定については、不動産登記事項証明書の内容などをそのまま記載することが望ましいでしょう。
・共同遺言を作成することは禁止されています
・作成した遺言の加除、訂正するには、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければなりません。
訂正には、①遺言者自身によりなされること、②変更の場所を指示した訂正した旨を付記すること、③付記部分に署名をすること、④変更の場所に印を押すことが必要です。
 ①訂正は遺言者自身によってなされなければなりません。②変更の場所を指示して訂正をした旨を付記しなければなりません。付記の場所は、訂正した行の欄外でも、遺言書の末尾でも構いません。訂正した行の欄外に本行2字訂正、本行1字加入などのどの部分を訂正したのかを明示したうえで、訂正、加入、削除したことを付記することが必要となるでしょう。③一般には、付記箇所にまで署名をすることは少ないですが、付記部分に署名することが必要となりますので、注意が必要であります。④遺言の訂正をする場合、訂正箇所を二重線などで抹消して、その部分に押印をしなければなりません。訂正にも用いる印鑑は、作成時に印鑑を用いるのが適切でしょう。

〇 公正証書遺言の作成方法
① 証人2人以上の立会いがあること
② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
③ 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
④ 遺言者及び証人が筆記の正確なことを証人した後に、各自これに署名し、押印すること
⑤ 公証人がその証書が①~④の方式に従ったものである旨を付記して、これを署名、押印することが必要となります。

・証人には、未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、初期及び使用人はなることができないため、事前に証人となることができる人物を用意しておくことが必要となるでしょう。遺言作成中は、始めから終わりまで証人2人以上が立ち会う必要があります。
・遺言者の実印及び実印証明書(3か月以内)、相続人の戸籍謄本及び住民票、受遺者の住民票、各証人の住民票及び証人認印、不動産登記事項証明書、固定資産税評価額証明書、預金通帳、株式の写しなどが必要となります。

〇 秘密証書遺言の作成方法
 秘密証書遺言の作成要件としては、
① 遺言者が遺言書に署名、押印をすること
② 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いられた印章をもってこれに封印すること
③ 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること
④ 公証人がその証書を提出した日付及び申述者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印すること

3 遺言書作成の依頼の流れ


① お問い合わせ
  まず、遺言書作成についてご相談をされたい場合には、お問い合わせください。
  当事務所での取り扱いができるのかをヒアリングをさせていただき、法律相談日程の調整をさせていただきます。
  遺言書作成については、有料法律相談のみとなります。
                  ▽
② 法律相談・委任契約
  法律相談の日程において、委任を頂く場合には、料金のお見積りを行います。
案件によっては、ライフプランノートの作成し、どのようなプランを行っていきたいのかをご相談、ご提案させていただきます。
                ▽
③ 必要書類の準備、財産調査
  遺言書作成にむけて、必要資料、財産調査を行います。
  財産を裏付ける資料、親族関係を確認するための戸籍謄本などの取得を行います。
                  ▽
④ 遺産の分け方を決める
  法定相続分、遺留分、特別受益などを考慮し、遺産を誰に、どのように分けていくのかをご相談、ご提案させていただきます。事案によって遺言執行者の指定など将来の紛争に備えた遺言書の作成を行っていきます。
                  ▽
⑤ 遺言書作成の形式を決める
  遺言書の作成、形式などを決め、遺言書文案を作成します。
⑥ 自筆証書・公正証書遺言の作成
  公正証書遺言を作成する場合には、公証人役場にて作成を行っていくこととなります。
  作成までの依頼の場合には、委任範囲としては作成にて終了となります。

⑦ 遺言執行者の指定など
  遺言執行者の指定があった場合には、遺言の作成段階などで手数料などをお見積りをさせていただきます。

4 遺言書作成の弁護士費用

遺言作成     15万円~
相続人調査    5万5000円~
財産目録作成   5万5000円~

事案によって別途お見積りをさせていただきます。

遺言書作成の相談 30分     5500円
出張相談     60分   1万6500円

事案の内容を踏まえて別途お見積りさせていただきます。
交通費は別途必要となります。
公証人役場での日当、費用は別途必要となります。

5 遺言で定めることができる事項とは

(1) 身分に関する事項

① 認知(民法781条2項)
非嫡出子がいる場合に、その子を認知し、法的親子関係を発生させることができ、認知をすることで相続人とすることができます。
・未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条1項、848条)
死亡により未成年者の親権者がいなくなる場合には、信頼のできる者を後見人や後見監督人に指定することができます。

② 相続に関する事項
・相続人の廃除、排除の取消(893条、894条)
相続人から虐待や重大な侮辱を受けた場合、著しい非行がある場合に相続人の廃除を遺言書に記載し、遺言執行者が遅滞なく相続開始地を管轄する家庭裁判所に廃除の申立てをし、審判にて相続人廃除をするかどうかを決定することになります。家庭裁判所は、被相続人の宥恕、相続人の会心等の諸般の事情を総合的に考慮し、後見的立場から廃除事由に該当する事実の有無を審理、廃除することが相当かの判断されます。

③ 相続分の指定、指定の委任(902条)
法定相続分と異なる相続分にしたい場合にそれぞれの相続人の相続分を具体的に指定、この指定を第三者に委託することができます。被相続人が共同相続人の相続割合を定める場合には、その割合が尊重されます。遺留分を侵害された場合にも遺言は有効ですが、遺留分侵害額に対する請求がなされる可能性があるため、注意をしておくことが必要となるでしょう。

④ 特別受益の持戻しの免除(903条)
特別受益とは、共同相続人に被相続人から生前に贈与を受け、遺言によって遺贈を受けた者がいる場合には、公平を図るために、特別受益を考慮してうえで具体的相続分の計算することを特別受益の持戻しといいます。特別受益は被相続人の意思による財産処分であるため、被相続人の意思による持戻しの免除が認められ、遺言書により行うことができます。

⑤ 遺産分割方法の指定、指定委託、相続開始から5年を超えない機関での遺産分割の禁止(908条)
特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合などには、各財産を誰にどのように相続させるかを具体的に指定し、この指定を第三者に委託させることをいいます。現物分割、代償分割、換価分割、共有分割かの分割方法を指定し、相続人は原則としてこの指定に従って遺産分割をすることになります。現実には、分割方法の指定だけではなく、遺産に属する特定の承継先となる相続人を指定することが多いでしょう(特定財産承継遺言)。
 特定の遺産を、特定の相続人に、相続させる旨の遺言が行われた場合には、原則として遺産分割の方法の指定と解されるが、この遺産分割方法の指定がなされているときは、原則として遺産分割を要せず、当該遺産を被相続人の死亡のときに直ちに相続による承継取得されると解されています(最判平成3年4月19日)。相続人が法定相続分を超えて遺産を取得する場合には、相続分の指定も併せ含む遺産分割方法の指定をしたものと考えられます。
 改正民法により、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方で被相続人が他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与したときは、持ち戻し免除の意思表示が推定されることになります(904条4項)。

⑥ 共同相続人の担保の減免、加重(914条)
 財産について、数量の不足、滅失、毀損、瑕疵等が存在し、遺言の効力発生時に被相続人が想定していたほどの価値が認められない場合に、相続人間で担保責任が問題となりますが、遺言により担保責任を減免などをすることができます。遺言執行者の指定や担保負担を理由を記載することで相続人間の紛争に対する抑止となることがあるでしょう。

⑦ 受遺者又は受贈者の負担額(1047条1項2号)
遺贈は、被相続人が遺言によって他人に自己の財産を与える処分行為です。そして、遺贈は財産処分を行うものですので、相続人に対して遺留分を侵害していた場合には、遺留分侵害額請求がなされることがあり得ます。民法は、贈与と遺贈が併存するとき、遺留分侵害額はまずは受遺者(遺贈を受ける者)が負担し、それでも足りない場合には受贈者(贈与を受ける者)が負担することを定め(1号)、受遺者が複数あるとき、受贈者が複数あるときにおいて、その贈与が同時にされたものであるときは、受遺者または受贈者がその目的の価格の割合に応じて負担します(2号)。但書において、遺言者がその遺言において別段の意思を示したときは、負担の割合を定めることができることになるでしょう。なお、受遺者、受贈者の順序については強行法規であるため、遺言でも変更できません。

(3)相続財産に関する事項


① 相続財産の全部または一部を処分すること(遺贈)(964条)
 相続権がない者にも財産を残したい場合等には、その者に財産を贈与する遺言をすることができます。遺贈には、財産のうち割合のみを示す包括遺贈と贈与財産を特定して行う特定遺贈があります。包括遺贈を行った場合には、包括受遺者や相続人が複数いる場合とその全員で遺産分割協議を行う必要が生じますので、相続人以外の第三者に遺贈する場合には、トラブルを避けるために特定遺贈にしておくとよいでしょう。遺贈には、受遺者に負担を課す負担付遺贈や条件・期限を付した条件付遺贈・期限付遺贈を着けることができます。
 遺言の対象となる財産は遺言者個人に帰属している譲渡可能な積極財産は対象となります(不動産、動産、債権、預貯金、株式、出資金、知的財産権)。法人の財産は遺言者の個人に帰属している財産ではないため、法人格を有している場合には、株式は譲渡対象となっても会社財産は譲渡対象となれないために注意が必要です。その他、譲渡ができない財産(一身専属権や死亡退職金、遺族年金、生命保険金、香典など遺言者に帰属しない財産)も遺言者に帰属しないために記載しないようにしましょう。債務、借金も遺贈の対象とならず、当然に法定相続分に従って相続されることになりますので、紛争を避けるために処理について検討しておくとよいでしょう。

② 一般財団法人の設立、一般財団法人への財産の拠出(一般法人法152条2項、164条2項)
 遺言によって一般財産法人の設立や財産への拠出が可能です。設立する意思を表示し、定款に記載すべき内容を遺言で定めておき、遺言執行者に財団法人設立の手続きを依頼しておくこととなるでしょう。遺言執行者を定めていない場合などは、相続人が家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行わなければなりません。相続税対策などとしてどのような法人を設立することが最もメリットがあるのかを専門家とよく打ち合わせをしておくとよいでそう。

③ 遺言による信託の設定(信託法2条2項2号、3条3号、4条2項)
 信託とは、委託者が、受託者に対して自己の財産の移転その他の処分をして、受託者がその信託目的に従って、受益者のために信託財産の管理・処分を行うことをいい、死後に家族に生活費の支出や支払の確保目的(永代供養、福祉、教育、芸術機関への助成金の支払)に利用されることがあります。遺言により信託が行われた場合には、遺言執行者は、受託者として指定された者に受託をするかどうか、必要に応じて受託者選任の申立て、信託管理者船員の申立てを行い、信託財産を受託者に移転させる手続きを行うこととなります。
 遺言信託に似たものでは、遺言代用信託として、委託者の死亡を時期として受益者又は信託財産にかかる給付を受ける権利を取得する受益者に定めのある信託を行うものもあります。高齢者・障害者の財産管理や事業承継に利用することがあります。信託契約に基づくものとして年金のように定期的な給付を受けることや相続手続きがなくともスムーズなお金の引き出しを行うことができます。
なお、信託銀行の遺言信託は、遺言書作成の支援、遺言書の保管、遺言の執行等をパッケージとして売り出しているものが多く、法律上の遺言による信託とは関係がありません。信託銀行は、紛争が発生した場合には、遺言執行者に辞任してしまう点に注意が必要で、信託銀行利用のメリット、デメリット、弁護士利用のメリット、デメリットを確認して利用するとよいでしょう。

(4) 遺言執行に関する事項の内容


① 遺言執行者の指定や指定委託(1006条)、遺言執行者の復任権に関する定め(1016条)、遺言執行者が数人ある場合の執行方法に関する定め(1017条)、遺言執行者の報酬に関する定め(1018条1項但書)。
 遺言の内容を定めてもそれを実現するために遺言執行者を定めておくことが大切となるでしょう。遺言の執行については、争いがない場合には、相続人が遺言の内容を実現することでできることもありえます。一方で、相続人が複数存在し、相続人間の意思統一ができない場合には、遺言執行を相続人全員で行うことができないことがあります。そこで、遺言書により遺言執行者の指定しておくことが考えられます。遺言執行者は、遺言者の意思を実現するために、遺言の執行を行い、相続人に対して中立的な立場で職務を行うこととなります。遺言執行者が選任されると、相続人その他利害関係人への通知を行い、相続財産の管理、相続財産目録を作成し、遺言事項の執行行為を行います。

(5)その他の事項


・遺言の撤回(1022条)、祭祀に関する権利承継者の指定(897条1項)、生命保険および傷病疾病低額保険における遺言による保険金受取人の変更(保険法44条、73条)。
 遺言は、遺言の方式に従って撤回をすることができます。遺言作成後に関係に悪化した場合には、遺言を撤回する遺言書の作成を行っておくこととなるでしょう。前の遺言と抵触する遺言を作成した場合には、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされますが(1023)、前の遺言を失効させなければ後の遺言の内容を実現することができない程度の矛盾といえるかには争いが生じやすい部分となるでしょう。法定撤回として、遺言者が遺言後の生前処分を行った場合(1023条2項)、遺言書の破棄、遺贈の目的物の破棄(1024条)も撤回してものとみなされます。遺言作成後に意図せず遺言と矛盾する処分を行ってしまった場合など、遺言書の書き直し、確認を定期的に行ってもよいでしょう。
 祭祀財産(墓地、墓石、位牌、仏壇、仏具、神棚、神具、系譜など)については、国民生活の習慣から、相続財産から切り離し、その承継者を相続とは別に定めることができます。
 保険受取人の変更は、遺言によっても、することができることが保険法に定められています。

〇 遺言書の中で、法定遺言事項以外の記載については、原則として法的な強制力がありません。法定遺言事項以外で実現を望む事項がある場合には、生前から親族に理解を得ておくことが必要となるでしょう。

6 まとめ


 遺言を作成していくことで財産を適切に分けることやご自身の希望により財産を分配し親族間の紛争ができる場合があります。相続には多数の紛争が含まれるため、作成、相談については弁護士に依頼されるとよいでしょう。遺言執行者の選任を行うことで、自己の意思を反映した遺言書執行をすることができるでしょう。遺言書についてご相談されたい方はぜひ天王寺総合法律事務所にご相談ください。

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