【大阪天王寺の弁護士】強制執行・財産開示手続・情報取得手続きの流れ

【大阪天王寺の弁護士】強制執行・財産開示手続・情報取得手続きの流れ

【大阪天王寺の弁護士が解説】強制執行・財産開示手続・情報取得手続きの流れとは?

養育費の支払いがなされない、慰謝料の支払いがなされないなど債権の回収ができない場合、強制執行手続を行っていくことになります。

しかし、強制執行手続きを行っても相手方の財産は把握できていない場合には、十分に効果を発揮することができません。

そのため、令和元年に改正された民事執行法で拡充された財産開示手続、情報取得手続を利用していくことになります。

☑ 強制執行手続きとはどのような手続きとは

☑ 財産開示手続とはどのようなものか

☑ 第三者の情報取得手続き(不動産、預貯金、給与)

そこで、この記事では、大阪天王寺の弁護士が、強制執行手続の概要、財産開示手続、情報取得手続について解説させていただきます。

1 強制執行とは

遺言書の弁護士

養育費や慰謝料などの具体的債務の不履行があった場合には、民事執行法の規定に従って強制執行をすることなります。

民事執行法は、①強制執行、②担保権の実行として競売(担保権実行)・民法、商法、その他の規定による換価のための競売、③債務者の財産状況の調査を定めた法律です(民事執行法1条)。

① 強制執行とは、債権者が判決、支払督促、公正証書等の債務名義を取得し、それに基づいて各種執行の申立てを行い、目的物や権利を差し押さえて換価・引渡しをして債権の満足を図る手続きを図るものです。

② 担保権の実行とは、債権者が、その目的物または権利に対して有する担保権(留置権を除く)により、担保権の目的物または権利を差し押さえて担保物の換価、担保物の収益から、債権者の満足を図るものです。

③ 債務者の財産状況の調査とは、債権者が、債務者の財産に関する情報を取得できるようにするための手続きで、債務名義などを有する債権者は、一定の要件に該当し、財産開示が相当であると判断された場合、財産開示期日において、債務者は宣誓し、その財産を陳述することとなります。

なお、養育費については、履行の確保の観点から一定の特則が設けられています。

(1)強制執行の手続き

強制執行では、司法上の給付兼を国家機関が関与して強制的にその実現を図る制度であり、強制執行手続きの種類には、金銭債権の強制執行には、①不動産に対する強制執行、②預金債権等の金銭債権に対する強制執行、③動産に対する強制執行があります。

なお、非金銭債権の強制執行には、④不動産等の引渡し、明渡しの強制執行、⑤動産の引渡しの強制執行、⑥代替執行、⑦間接強制、⑧意思表示義務の強制執行等があります。

強制執行手続きを行う前には、財産調査として、これまでの事情から財産を収集する、財産開示手続、調査会社や弁護士会照会を利用して財産状況を把握していくとよいでしょう。

 強制執行は、執行文の付与された債務名義の正本に基づいて実施がなされます(民事執行法25条)。

ア 債務名義とは

債務名義とは、一定の給付請求の存在と範囲とを示した文章で法律によって執行力が認められているものを言います。

強制執行の申立てを行うためには、債務名義の正本が必要となり、債務名義の正本の発行については裁判所や公証人役場にて発行を受けることとなります。

● 債務名義の種類

民事執行法22条では、

① 確定判決                      (22条1号)

 判決に対して相手方が上訴せず、上訴期間が経過した給付判決などを言います。

② 仮執行の宣言を付した判決              (22条2号)

 判決の主文において、この判決は、仮に、執行することができると記載されているものを言います。仮執行の宣言を付したばあいには、判決が確定する前でも強制執行をすることができます。

③ 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(22条3号)

代替執行の費用前払決定(民事執行法171条4項)、間接強制の金銭支払命令(民事執行法172条1項)、不動産引渡命令(民事執行法83条)などが債務名義となります。

④ 仮執行の付した損害賠償命令             (22条3号の2)

刑事訴訟において、犯罪被害者保護法での不法行為に基づく損害賠償請求、仮執行宣言付損害賠償命令が債務名義となります。

⑤ 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令        (22条3号の3)

消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律で、簡易確定手続において、簡易確定決定がなされたものは債務名義となります。

⑥ 仮執行宣言付支払督促                (22条4号)

支払督促について債務者が異議を述べない場合には、仮執行宣言が付され、仮執行宣言付支払督促の正本は債務名義となります。

⑦ 訴訟費用等の額を定める裁判所書記官の処分      (22条4号の2)

訴訟や強制執行などの費用に関する裁判所書記官の決定は債務名義となります。訴訟費用額の具体的な金額は、裁判所書記官によって確定されることになります。

⑧ 執行証書:金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの          (22条5号)

⑨ 確定した執行判決による外国裁判所の判決       (22条6号)

執行判決のついた外国裁判所の判決は債務名義となります

⑩ 確定した執行決定のある仲裁判断          (22条6号の2)

仲裁判断に基づく民事執行をしようとする場合には、裁判所に対して仲裁判断に基づく民事執行を許す決定を受けることになります。

⑪ 確定判決と同一の効力を有するもの         (22条7号)

和解調書・認諾調書・家事調停調書などは、確定判決と同一の効力を有するものは確定判決となります。

などが債務名義となります。

イ 執行文の付与とは

 執行文とは、執行当事者間において債務名義の執行力の存在と範囲とを公証するために、執行文付与機関が債務名義の正本の末尾に付記した公証文言をいいます。(民事執行法26条1項)

 執行文付与は、裁判所書記官又は公証人等が債権者又はその承継人の申立てにより、執行し得べき債務名義の正本の執行文を付与し、これを申立人に交付する手続きをいいます。

 執行文の種類について

① 単純執行文   : 債務名義の内容をそのまま執行力を公証する単純執行文

② 条件成就執行文 : 停止条件の成就、不確定期限の到来を確認した条件成就執行文 (民事執行法27条1項)。

③ 承継執行文   : 債務名義に表示された者以外の者を債権者又は債務者とする執行を許す承継執行文(民事執行法27条2項)

④ 債務者不特定執行文 : 一定の要件で、債務者を特定することなく付与される承継執行文(民事執行法27条3項)

が存在します。

債務名義が少額訴訟における確定判決、仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決もしくは支払督促(民事執行法25条ただし書)、執行力のある債務名義と同一の効力を有するという旨の定めがあるものであって、それに基づき、それに表示された債権者がそれを表示された債務者に対して債権等執行をするときには、執行文の付与は不要となります。

そのため、養育費などの給付を命ずる審判、調停調書によって強制執行をする場合には、執行文の付与を要しないこととなります(家事事件手続法75条、268条1項)。もっとも、給付に条件がある場合には、条件成就執行文の付与や当事者に承継があったときは承継執行文の付与を行う必要があります。

また、家事事件の別表第2事件を除く一般調停事件の調査による場合には、執行文付与が必要となります(家事事件手続法268条1項)。

● 債務名義の正本で執行文の付与が必要なもの

判決正本、和解調書正本、公正証書正本、訴訟費用確定処分正本等

家事調停で慰謝料や解決などを請求する場合の家事調停調書正本の執行文が必要となります。

● 債務名義の正本で執行文の付与が不要なもの

養育費・婚姻費用等の扶養義務に基づくもの、遺産分割、財産分割等を請求するものなど家事調停調書正本、仮執行宣言付支払督促正本、仮執行宣言訴訟判決などは、執行文は不要となります。

● 執行文付与の手続きについて

公証人役場で作成した公正証書などについては、その原本を保管する公証人が執行文を付与することとなります。

他の債務名義については、裁判所書記官に執行文を付与する申請を行い、執行文の付与が行われます。

 執行文の付与は、債権者が債務者に対して、その債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨の債務名義の正本の末尾に付記する方法となります(民事執行法26条2項)。

ウ 送達の手続きについて

● 債務名義の送達手続きについて

強制執行の開始をするためには、民事執行法29条前段では、債務名義の正本または謄本があらかじめまたは同時に債務者に送達されていなければなりません。

執行証書以外の債務名義のときには、裁判所書記官に対して、債務名義の送達を申請し、送達の完了後に送達証明書を取得することになります。

執行証書の債務名義のときには、公証人に対して、債務名義の送達を申請し、送達証明書類を取得することになります。

既に送達証明書を取得している場合には、執行の申立書に添付を行うことになります。

● 執行文等の送達手続きについて

民事執行法27条の規定により、債務名義の正本に条件成就執行文または承継執行文が付与されたときには、執行文および同条の規定により債権者が提出された文章の謄本があらかじめまたは同時に債務者に送達されていなければ、債権等執行をすることはできません(民事執行法29条後段)。

そして、執行文が付与された債務名義の正本によって執行をするときは、あらかじめ、執行証書以外の債務名義のときには、その債務名義を作成した裁判所の書記官に対して、執行証書のときには、公証人に対して、送達を申請し、送達の完了後に送達証明書を取得することになります。

 なお、同時送達として、債務者への送達と執行開始の隙間をなくすため、動産執行などの場合には、強制執行のための動産差押えに赴く執行官に、執行と同時に送達させることになります。

エ 執行開始の要件について

債務名義の内容によっては、債務名義に表示された債権の弁済期の到来後、履行遅滞などの状況になっていなければすることができない(民事執行法30条1項)。

担保を立てることを強制執行の実施の条件として債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文章を提供したときに限り、開始することができる(民事執行法30条2項)。

弁済期の到来をしているのかどうかについては

① 債務名義の弁済期が確定期限であるとき

② 債務名義に表示された弁済期が不確定期限または停止条件に係るものであるとき

③ 債務名義に弁済期が表示されていないとき

といった種類に分かれます。

① 債務名義の弁済期が確定期限であるとき

債務名義に表示された請求が確定期限の到来にかかる場合には、確定期限が到来しているときに、強制執行手続きをすることができます(民事執行法30条1項)。

弁済期の確定期限については到来が明らかであるので、期限が到来したことを証明する必要はありません。

② 債務名義に表示された弁済期が不確定期限または停止条件に係るものであるとき

債務名義に表示された弁済期が不確定期限のときや停止条件の成就に係るものであるときは、不確定期限の到来、停止条件が成就したことが必要となります。

・不確定期限とは、ある特定の人の死亡にように、将来到来することが確実であるが、到来する時期が不確定な期限のことをいいます。

・停止条件とは、効果の発生が将来の実現または到来が不確実な事実に係るものであることをいいます。

不確定期限や停止条件を証明する事実の立証が必要となることがあります。

申立人の側で証明する必要があるときには、事実の到来を主張し、条件成就執行文の付与を受ける必要があることになります(民事執行法27条1項)。

③ 債務名義に弁済期が表示されていないとき

 債務名義が成立する前にすでに弁済期が到来しているときには、弁済期による制限はないことになります。

(2)不動産執行手続き (民事執行法43条以下)

強制執行には、主として、「不動産執行手続き」「債権執行手続き」「動産執行手続き」があります。

不動産執行手続きについては、不動産強制競売、不動産の強制管理の方法によることになります。

強制競売は、執行裁判所が債務者の不動産を売却し、その代金をもって債務者の債務の弁済に充てる手続きです。また、不動産の強制管理とは、債務者所有の不動産を換価などすることなく裁判所が管理人を選任し、収益をもって債務の弁済にあてる執行方法である(民事執行法93条)。

ア 強制競売の申立て

不動産執行の申立てについては、書面でしなければなりません。

管轄の裁判所は、その不動産の所在地を管轄する地方裁判所となります(民事執行法44条)。

イ 競売開始決定・差押え

申立てが適法になされていると認められる場合には、裁判所は、不動産競売を始める旨及び目的不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います(民事執行法45条)。

開始決定がされると、裁判所書記官が、その決定の証明を登記原因証書として、管轄法務局に対して、目的不動産の登記簿に「差押」の登記をするように嘱託を行います(民事執行法48条)。

そして、債務者と所有者に開始決定正本に送達がなされます(45条2項)。差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者が送達されたときに生じますが、差押え登記がその開始決定の送達前に、登記がされたときに生じることになります(民事執行法46条)。

ウ 現況調査・評価

① 執行官による不動産の現況調査(民事執行法57条):執行官は、裁判所の現状調査命令によって、不動産の形状、占有状況、施入者の権原等と調査し、現状調査報告書を作成し、裁判所に提出されます。

② 不動産評価人(通常の場合、不動産鑑定士が選任されます)による評価(民事執行法58条):不動産評価人は、裁判所の評価命令によって、目的不動産の評価額の調査を行い、評価書を作成し、裁判所に提出されます。

③ 執行官の現状調査報告書、評価人の評価書に基づいて「売却基準価格」を決定することになります(民事執行法60条)。

買受けの申出の額は、売却基準価格あらその10分の2に相当する額を控除した金額(買受可能価格)以上でなければなりません(民事執行法60条3項)。

エ 物件明細書の作成

裁判所書記官は、売却の準備として、物件明細書を作成することとなります(民事執行法62条)。

物件明細書には、①不動産の表示、②不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの、③売却により設定されたものとみなされる地上権の概要が記載されています。

そして、物件明細書、現状調査報告書、評価書の写し(3点セット)は一般の閲覧に供されることになります(民事執行法62条2項)。

3点セットは、インターネット上の不動産競売物件情報サイトに掲載されることになります。

オ 売却・代金納付

裁判所は、売却実施命令を発して、この命令により売却の日時、場所、売却の方法が定められることになります(民事執行法64条)。

通常は、期間入札の方法がとられ、日刊新聞等で売却広告がなされている入札期間内に、売却基準価格以上で最高額を入札した者が売却許可決定によって買受人となります。

売却許可決定が確定後、裁判所書記官の定める期限まで買受人が代金を納付することで、代金納付時点で、所有権を取得することになります(民事執行法79条)。

民事執行法64条の2で、内覧制度が設けられていますが、あまり利用はされていません。

不動産の引渡しについて、引き続いて居住する権利を主張できる人がいる場合には、すぐに引渡しをしてもらうことはできません。執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対して、代金を納付した日から6か月以内であれば、不動産の引渡命令を出してもらうことができます(民事執行法83条)。

カ 配当手続

執行裁判所は、代金の納付があった場合には、債権者の債権・執行費用を弁済できない場合などの場合には、一定の基準に従って配当手続を行います(民事執行法84条1項)。

債権者が一人である場合 又は 債権者が二人以上であって売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、売却代金の交付計算書を作成し、債権者に弁済期を交付し、剰余金を債務者に交付されることになります(民事執行法84条2項)。

配当の順位については、法律上の優先権を有するのかどうかによって配当順位が変わってきます。

キ 予納金

不動産競売の場合には、予納金が高額であるため、債権の金額や千住院の抵当権者などによって配当が予想されるのかを検討する必要がある。予納金については、不動産が売却されなかった場合にも、申立人に返却されるわけではないため、売却可能性が低い場合などに注意が必要となります。

(3)債権執行手続き (民事執行法143条以下)

裁判所での判断のイメージ

債権執行手続きでは、民事執行の大部分を占めるものであり、金銭債権として、給与債権、銀行預金債権、売買代金請求権、賃料債権などがあります。

ア 債権執行申立て

債権執行の申立てをするには、管轄する執行裁判所に対して、債権執行の申立書(債権差押命令申立書)を提出しなければなりません。

管轄は、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄となります(民事執行法144条1項)。

債務者の住所地がわからないときには、差し押さえるべき債権の所有地を管轄する裁判所の所在地が管轄となります。

通常は、第三債務者に対する陳述催告の申立ても同時に提出することが多いでしょう(民事執行法147条)。

事案によっては、差押命令申立てと同時に、転付命令の申立てをすることがあります(民事執行法159条1項)。

適切な方法を弁護士に依頼し、債権差押命令申立を行っていくとよいでしょう。

イ 債権差押命令・送達

申立てが相当と認められると、執行裁判所は、債権差押命令を発することになります(民事執行法145条1項)。

大阪地方裁判所では、債権差押命令は、第三債務者に送達したあとに債務者に送達されることになります(民事執行法145条3項)。

差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達されたときに生じることになります(民事執行法145条5項)。差押命令によって、第三債務者は、債務者に弁済することができなくなり債務者は差押債権の取立てや譲渡等の処分が禁止されることになります。

ウ 陳述催告と陳述書の提出

陳述催告の申立てがあったときは、第三債務者に対して、差押えに係る債権についての陳述が催告がなされます(民事執行法147条)。

陳述催告の申立てがあったおきは、執行裁判所から第三債務者に対して、差押債権の存否、内容などについて陳述催告がなされ、第三債務者は2週間以内に陳述書を提出することになります。

第三債務者は、催告に対して、故意又は過失により陳述をしなかったとき、又は不実の陳述をしたために、これにより申立債権者に損害が発生したときは、第三債務者に賠償責任が生じることになります(民事執行法147条2項)。

エ 取立て

債権者は、債務者への差押命令の送達御1週間が経過すれば、差押債権を自ら取り立てることができます(民事執行法155条1項)。

第三債務者が、供託をした場合には、配当や弁済期交付手続などにより供託金が分配されることになります。

第三者が任意に支払わない場合には、第三債務者を被告として取立訴訟を提起することになります(民事執行法157条1項)。

給料などの民事執行法152条1項・2項に定める債権について、その差押命令が債務者に送達されて4週間を経過するまでは取り立てることができなくなっていますが、差押債権者の債権に養育費などが含まれている場合は除かれます。

オ 転付命令

取立てという方法以外に、債権者は差押申立て以降に転付命令を申し立てることができます(民事執行法159条)。

転付命令がなされると、転付債権が存在する限り額面学の限度で転付債権が移転し、弁済されたのと同じ効果が生じることになります。

転付命令の場合には、債権者が差押債権を確定的に取得することができるので、差押債権を独占して回収を図ることができる一方で、第三債務者が無資力であった場合など取得債権が回収ができない危険を負うことになります。

銀行預金債権について、転付命令などを受けることがあり得るでしょう。

カ 第三債務者の供託

第三債務者は、差押えに係る金銭債権を供託することにより、その履行について免れることになります(民事執行法156条1項)。

また、差押債権者が競合する場合には、必ず供託をしなければなりません(民事執行法156条2項)。

供託された事情は執行裁判所に届出されるため(156条3項)執行裁判所において配当手続きが実行されることになる契機となります。

キ 配当

執行裁判所は、提出された債権計算書に基づいて、各債権者の優先権に従って配当表を作成し、異議がなければ各債権者への配当などを実施することになります(民事執行法166条)。

ク 差押禁止債権について

差押禁止債権について債務者の生活を保護するために、一定の債権については差押えが4分の3部分(ただし、手取月額44万円以上の場合には、33万円を超える部分はすべて差押えが可能となります。)は差押が禁止されています。

① 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付いかかる債権:国民年金・厚生年金などの受給権、児童手当受給権、生活保護受給権

② 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権:給与、賞与、退職金など

債権差押えについては、債務名義を取得した場合によく利用される強制執行手続きとなりますので、預貯金・保険の解約返戻金などに対して行っていくことになります。

債権執行について弁護士に相談をして進めていくとよいでしょう。

(4)動産執行手続き (民事執行法122条以下)

大阪地方裁判所のイメージ

ア 動産に対する強制執行の申立て

 動産などを対象として動産執行の申立てを行い、強制執行を行うことができます。

 動産の執行については、執行官が行うことになります。

 申立ては、差し押さえるべき動産の所在地の執行官に対して、書面によって申立てを行うことになります。

 動産執行については、簡易・迅速に回収ができるメリットがある一方で、換価金額が小さいため実効性が低いとのデメリットがあります。

イ 差押え

 動産の差押えは、国の執行機関である執行官が差押目的物のある執行場所に出向き、執行債権額に達するまでの動産を差し押さえることになります(民事執行法122条から124条)。

 債務者の住所その他債務者の占有する場所に立ち入ってその場所において捜索などを行い、鍵を開けるなど必要な処分をすることになります。

ウ 換価

換価手続として、執行官が、入札、競り売りにより売却などを行うことになります(民事執行法134条)。実務上は、手配した道具屋など買い取ることが多いこととなります。

エ 配当

配当は執行官が行うことになります(民事執行法139条)。動産執行で配当手続が行われることはほとんどないといわれています。

オ 差押禁止動産(民事執行法131条)

民事執行法では、差押禁止動産として、一定の動産類を差押えすることができないことを規定しています。

66万円以下の現金についても、標準的な世帯の2か月の必要生活費などとして、差押えが禁止されています。

① 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具

② 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料

③ 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

④ 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

⑤ 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

⑥ 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)

⑦ 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの

⑧ 仏像、位牌はいその他礼拝又は祭祀しに直接供するため欠くことができない物

⑨ 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類

⑩ 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物

⑪ 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具

⑫ 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの

⑬ 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物

⑭ 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

大阪天王寺の不倫慰謝料弁護士
大阪弁護士の刑事弁護

2 財産開示手続とは何か

強制執行手続では、裁判所が相手方の財産を探してくれるわけではなく、弁護士会照会などを利用し、債権者の側で債務者の財産を調査するなどを行う必要があります。

平成15年には、財産開示手続の制度が新設され、令和元年の民事執行法改正により、申立権者が拡充されるなど制度の拡張が行われました。

そこで、養育費に基づく強制執行手続きなどでは、財産開示手続及び第三者に対する情報取得手続を利用し、強制執行をより実効的に行っていくことが期待されています。

ここでは、財産開示手続の一般的な流れについて確認していきましょう。

(1)財産開示の申立手続き

財産開示手続の一般的な流れとしては、①財産開示手続の申立てを行い、②裁判所が財産開示実施決定を出し、③裁判所で財産開示期日、財産目録提出の指定がなされ、④財産開示期日を迎えるといった流れとなります。

財産開示手続では、債務名義を有する債権者が、強制執行を実施しても完全な弁済を得ることができなかった場合や知れている債務者の財産に強制執行を実施しても、完全な弁済を得ることができない見込みである場合に、申立てをすることができます(民事執行法197条1項1号、2号)。

管轄の裁判所は、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所であり、多くは債務者の現在の住所地や法人の場合には本店所在地などで判断されることになるでしょう(民事執行法196条)。

財産開示の申立て手続きができる者は、

● 執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者

● 債務者の財産について、一般先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

が債務者の財産開示手続の申立てを行うことができます。

かつては、債務名義のうち、暫定的な判断にすぎない仮執行宣言付判決や執行調書については、債務名義の執行力がのちに否定された場合に、開示前の状態に戻すことができないとして、確定判決等を有する債権者などに限定されていました。

しかし、令和元年の民事執行法の改正によって、申立人の範囲が拡張されました。

令和2年4月1日以降

① 確定判決

② 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判

③ 訴訟費用額・執行費用額の確定処分

④ 確定した執行判決のある外国判決

⑤ 確定した執行決定のある仲裁判断

⑥ 確定判決と同一の効力を有するもの

⑦ 仮執行宣言付判決

⑧ 仮執行宣言付損害賠償命令

⑨ 仮執行宣言付届出債権支払命令

⑩ 仮執行宣言付支払督促

⑪ 執行証書

執行調書(金銭等の支払いを目的とする内容の公正証書)によっても、財産開示手続が利用可能となったため、強制執行文言付きの公正証書で養育費などを定めていた場合には、申立てを行うことができることになりました。

財産開示手続の申立てにつちえは、それぞれの債務名義ごとに、必要な添付書類がありますので、①申立書、②執行力のある債務名義、③債務名義の送達証明書・確定証明書など、④債務者の住民票、⑤「強制執行不奏功」を示す、配当表・弁済期交付計算書や財産調査結果報告書及び疎明資料、⑥債務名義還付申請書・受領書、⑦予納費用を納めて、手続きを進めていくことになります。

(2)開示手続の申立要件

では、開示手続が認められる要件はどのようなものでしょうか。

ここでは、執行力のある債務名義の正本を有する債権者(民事執行法197条1項)の場合で解説していきましょう。

なお、一般の先取特権を有する債権者(民事執行法197条2項)については、要件が別途(①債務者の財産について一般の先取特権を有する債権者であること、②一般の先取特権を実現できない場合でないこと)を満たす必要があります。

開示手続の要件としては、下記のような要件があるといわれています。

① 執行力のある債務名義の正本を有する債権者であること

② 執行開始要件を備えていること

③ 強制執行を開始することができない場合に当たらないこと

④ A 又は Bのいずれかに該当すること

A 強制執行又は担保の実行における配当等の手続(申立日の6か月以上前に終了したものを除きます。)で完全な弁済を受けることができなかったとき

B 知れている債務者の財産に強制執行(担保権実行)をしても完全な弁済を受けられないことの疎明があったとき

⑤ 債務者が申立日前3年以内に財産開示の手続きをした者でないこと

ア ① 執行力のある債務名義の正本

 主たる債務名義の例は、判決、和解に代わる決定、家事審判、和解調書、民事調停調書、家事事件調停調書、訴訟費用額確定処分、執行証書等があります。

 通常の正本については、原告として執行文が必要となりますが、養育費のような金銭の支払いを命じる旨の家事審判、家事事件手続法別表第二に掲げる事項(婚姻費用や養育費等)に関する調停調書等については、執行文は不要なります(なお、執行文が不要とされている債務名義についても条件成就や承継執行文等が必要となるケースがあります)。

 離婚の公正証書において、養育費の支払いが離婚の成立を条件としている場合には、条件成就執行文が必要となる場合があり得るでしょう。

イ ② 執行開始要件を備えていること

 財産開示手続の申立てを行うためには、通常の強制執行と同様に執行開始要件を有していることが必要となります。

・送達要件:債務者に当該債務名義の正本又は謄本が送達されていること(民事執行法29条前段)

・執行文付与の送達:条件成就執行又は承継執行文が付与された場合は、執行文の謄本および証明文章の謄本が送達されていること(民事執行法29条後段)

・請求が確定期限の到来に係る場合には、その起源が到来していること(民事執行法30条1項)。

等の要件が必要となります。

ウ ③ 強制執行を開始することができない場合でないこと

破産開始決定、会社更生手続開始決定、民事再生手続開始決定及び特別清算手続開始決定がなされている場合には、強制執行を開始することができないので、財産開示手続を行うことができないことになります。

エ ④-A 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より6か月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が金銭債権(被担保債権)の完全な弁済を得ることができなかったこと(民事執行法197条1項1号及び2項1号)

 6か月以内に実施された動産・不動産・債権に対する強制執行、担保権の実行における配当・弁済期の交付において、完全な弁済を得ることができなかったことを主張していくことになります。

 

オ ④-B 散られている債務者の財産に強制執行(担保権実行)をしても完全な弁済を受けられないことの疎明があったとき(民事執行法197条1項2号及び2項2号)。

 債権者として、通常行うべき調査を行った結果、知れている債務者の財産がどれだけ存在するのかを調査し、それらの財産に対する強制執行を実施しても、完全な弁済を得られないことを具体的に主張し、調査結果として、【財産結果報告書】の提出を行います。

(3)財産調査結果報告書

 財産調査結果報告書を作成するためには、①債務者の住所地の不動産が存在するのか、②その他の場所の不動産が存在するのか、③債務者の給与(報酬・賃金等)、④債務者の預貯金の有無、⑤債務者の動産(生活必需品を除く)、⑥債務者のその他の財産(保険金、株式、売掛金、貸付金、暗号資産(仮想通貨)等)を調査していくことになります。

● 不動産について

 不動産について、所有者であるのか、賃貸等であるのかを検討するとよいでしょう。

 所有者が債務者であった場合には、不動産では完全な弁済を得られないことを疎明するため、固定資産税評価証明書、不動産業者の評価書を取得して、抵当権等の被担保債権額との計算をして、完全な弁済を得られない旨を記載していきます。

 不動産については、所有者でない場合には、債務者住所地の不動産の所有でない旨を報告書に記載します。

● 給与について

 債務者の勤務先を知っている場合には、勤務先に対して弁護士会照会や電話による確認を行って、判明した勤務先の所有地、会社名、給与携帯や給与額などを報告書に記載します。

 J債務者に連絡をしたものの回答がない場合には、勤務先に関する調査が困難であるとして報告書に記載を行っていきます。

● 預貯金について

 弁護士会照会を行い、調査した結果判明した預貯金のある金融機関名、支店名、残高などを報告書類に記載していきます。

● 動産について

 所有している動産のうち差押禁止財産に該当しない骨董品や宝石類などがあれば記載を行いますが、知らない場合には知らない旨を記載していきます。

● その他の財産の調査について

 保険金、株式、売掛金、貸付金、仮想通貨等があり、それらの財産を把握していれば記載を行いますが、知らない場合には知らない旨を記載していきます。

(4)決定および決定後の手続き

 財産開示手続の申立てがなされると、民事執行法197条1項の要件を満たす場合には、財産開示手続決定を出されることになります。

 財産開示手続実施決定がなされたあと1か月程度の先で、財産開示期日が指定して、申立人と債務者に呼出しがなされます(民事執行法198条)。

 なお、申立人は期日に出頭しなくても、財産開示手続は実施をすることができます(民事執行法199条)。

 債務者は、裁判所に対して、財産目録の提出をしなければならず、提出された財産耄碌については、申立人などは、閲覧・謄写をすることができます。

● 申立人の質問権について

 財産開示期日の手続きは非公開ではありますが(民事執行法199条6項)、申立人は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産の状況を明らかにするために、執行裁判所の許可を得て開示義務者に対して質問をすることができます(民事執行法199条4項)。

(5)開示拒否・虚偽への罰則

 債務者が財産開示期日に出頭しなかった場合には、手続きは終了します。

 もっとも、執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は、宣誓を拒んだ開示義務者は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(民事執行法213条5号・6号)。

 そして、開示義務者が正当な理由なく財産開示期日に出頭をしない場合には、捜査機関などに対して告発を行うことが考えられます。

3 第三者からの情報取得手続(預貯金・不動産、給与債権)

Q&Aのイメージ

 債務者の財産に関する情報を第三者から取得する情報取得制度が令和元年の民事執行法改正で加えられることになりました。

 第三者からの情報取得手続きについては、①不動産に関する情報、②給与(勤務先)に関する情報、③預貯金に関する情報、④上場株式、国債等に関する情報などがあります。

 情報取得手続は、第一次的には、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄うる地方裁判所、第二次的には、情報の提供を命じられるべき者の所在地を管轄する違法裁判所が、執行裁判所として管轄となります(民事執行法204条)。

● 申立人とは

 申立人とは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者等のことをいいます。

 給与(勤務先)に関する情報については、申立てができる者が限られており、民事執行法151条の2第1項各号に掲げる義務(養育費や婚姻費用など)に係る請求権か人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の執行力のある債務名義正本を有する債権者に限られます(民事執行法206条1項)。

 和解書に解決金や和解金などと記載されている場合には、民事執行法206条1項に掲げられた請求権に該当することが明らかであるため、申立てが認められない可能性があります。

 

(1)金融機関からの情報取得手続き

 預貯金に関する情報については、銀行や信用金庫などの金融機関が第三者となります。

 金融機関に対する情報取得手続きについては、①執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者について強制執行を開始するための一般的要件を満たすこと、②先に実施した強制執行が奏功しなかったことなどが必要となっています。

 一方で、金融機関からの情報取得手続きについては、財産開示手続の前置が求められてはいません。

(2)市町村等からの情報取得手続き

 市区町村、日本年金機構などの厚生年金を扱う団体などが第三者となります。

 給与に係る情報取得の申立てについては、①強制執行を開始するための一般的な要件を満たすこと、②先に実施した強制執行が奏功しなかったこと、③先行した財産開示手続が実施され、かつ、財産開示期日から3年以内であることが必要となってきます。

(3)登記所からの情報取得手続き

 第三者は、東京法務局になります。

 登記所からの情報取得手続きについては、①執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者について強制執行に開始するための一般的要件を満たすこと、②先に実施した強制執行が奏功しなかったこと等、③先行して財産開示手続が実施されており、かつ、当該財産開示期日から3年以内であることが必要となってきます。

(4)第三者の情報開示手続の流れ

申立てについては、債務者ごとに申立書を作成し、事件ごとに申立てを行います。

同じ債務者であっても、対象となる財産の種類が異なる場合には、それぞれを作成し別の事件として申立てを行っていきます。

申立書には、頭書、当事者目録、請求再建目録、所在地目録あんどを記載し、添付書類として、法人の資格証明書、委任状、執行力のある債務名義の正本、送達証明書などを準備をしていきます。

情報提供命令は、債務者に対して正本が送達されます。債務者は、自らの財産に係る情報が債権者に開示されるという不利益があるため、1週間の普遍期間内に執行抗告を行うことがありえます(民事執行法205条)。

4 まとめ

債務者の財産開示・情報取得手続きなどを利用し、強制執行手続きをより活用して、債権回収を行っていくことがありえます。

強制執行、財産開示手続、第三者の情報取得手続きについては、養育費、慰謝料の強制執行でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

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