大阪天王寺・堺・松原の遺産分割協議の弁護士

大阪天王寺・堺・松原の遺産分割協議の弁護士

遺産分割協議弁護士

遺産分割協議を弁護士に依頼されたい方へ。遺産分割協議は弁護士に依頼することでスムーズに対応することができる場合があります。大阪市、堺市、和泉市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、八尾市、柏原市、東大阪市など大阪近郊で遺産分割協議を依頼されたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

✅ 相続手続きをどのように進めていったらよいかわからない
✅ 遺産分割協議に不安がある
✅ 遺産分割協議、調停、審判を争っていきたい
✅ 遺産分割で損をしたくない方
遺産分割は法的問題として多くの論点が含まれています。そこで、弁護士に依頼、相談をして遺産分割を進めていくとよいでしょう。

1 遺産分割協議を弁護士に依頼するメリットは

① 法律を前提に遺産分割協議を行うことにより協議がスムーズに行うことができる
 遺産分割を行うには、法律を前提として正しい知見が必要となります。また、相続財産の中に土地・建物といった不動産がある場合には、誰が、どのような分割方法で遺産分割協議を行うかについては紛争となってしまうケースが少なくありません。令和2年4月1日からは、配偶者居住権・配偶者短期居住権を考慮して進めていくことが考えられます。
 弁護士に遺産分割協議を依頼することで、法律を前提に、遺産分割調停、遺産分割審判を想定した話し合いを行うことにより遺産分割協議をスムーズに行うことができるでしょう。

② 弁護士が代理人となるため話し合いのストレスから解放される
 多くの方は家族間で財産の話し合いを行うことにあまり慣れてはいません。家族であるために遠慮をしたり、追及をしすぎたりとバランスのある話し合いを行うことは大きなストレスとなります。関係性が悪化するなどして、遺産分割協議はまったく進まないといった事態が発生する場合があり得ます。弁護士を代理人とすることで、直接の話し合いを行うといったストレスから解放されることとなるでしょう。調停、審判手続を経ることで最終的な解決へと導いていくことも可能となります。
 したがって、弁護士が代理人となることで話し合いのストレスから解放され、最終的な解決を行っていくことができるしょう。

③ 特別受益と寄与分といった主張を行うこと損をしない交渉ができる
 遺産分割協議は自由な当事者での話し合いであるために、自らに有利な主張を行わなければ協議に十分に反映することができません。一見して公平に分配してように見えても、特別受益や寄与度の主張を行っていないために損をしていると場合も存在します。
 遺産分割を行うにあたっては、弁護士に法的な分析をしてもらい、特別受益、寄与度などといった法律を踏まえて主張を行い、損をしない交渉を行うことができるでしょう。

④ 遺産分割手続を裁判所での手続きについてサポートを受けることができる
 遺産分割協議がまとまらない場合に、家庭裁判所に分割を求めることができ、裁判所での調停により話し合い、調停に適さない場合に審判を進めていくことが考えられるでしょう。
弁護士は、遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判といった流れを進めていくことができ、遺産分割が終了するまでにサポートを受けることができます。調停、審判については他の業種が行うことができない分野であり、弁護士に相談、依頼をされて進められるとよいでしょう。

⑤ 遺産分割協議書において将来の紛争を避けることができる
 遺産分割を行った場合にも話し合いの結果をきちんと書面に残しておかなければ後々の紛争につながることとなってしまいます。遺産分割協議において相続人調査を行っていなければ、1人でも相続人が欠けていた場合には、遺産分割協議には効力がないといったことがあります。まだ不動産での私道など財産関係にて遺漏があった場合には、遺産分割協議で対象としていなかった財産がでてきてしまい、再度の調整が必要となる場合がありえます。協議書において、財産の遺漏があった場合の条項を設けるといった対応をすることがありえるでしょう。
 したがって、弁護士において将来の紛争を避ける遺産分割協議書を作成を依頼していくとよいでしょう。

2 遺産分割手続きの大まかな流れとは

 遺産分割とは、相続の開始によって共有状態になっている相続財産の相続人への分配を確定的に決める手続きをいいます。相続は被相続人の死亡により開始し、相続開始と同時に被相続人の財産は相続人に移転をします(民法882条、896条)。
 相続人が1人の場合には、相続財産の分配は問題とならず、単純承認、限定承認、相続放棄を行うといったことを検討することがメインとなるでしょう。
 相続人が数人の場合には、遺産について共有関係が生じるため(898条)、共有状態を解消して、だれに帰属させるのかを定める遺産分割が必要となります。
 遺産分割の手続きとしては、①遺言による指定分割、②協議による分割、③調停による分割、④審判による分割の制度を設けています。
 遺言がある場合には、遺言による指定分割を行い、共同相続人間で話し合いが必要な場合には、協議→調停→審判の流れを辿ることが多いでしょう。

3 依頼から解決までの流れ

① お問い合わせ、ヒアリング
 まず、当事務所に遺産分割のお問い合わせをいただき、当事務所において対応可能な案件であるかをヒアリングさせていただき、弁護士との法律相談日程を調整させていただきます。
 ご相談時には、
・身分証明書(運転免許証など)
・印鑑(認印可)
・内金1万円(ご契約を頂かない場合にはいただきません。)
・法律相談料金(30分5500円 当日、ご契約を頂いた場合には不要です。)
〇遺言書の有無
・検認を受けた遺言書 (検認を受けていない場合家庭裁判所での検認手続きが必要です)
〇親族関係の確認
・戸籍謄本(相続関係図をお願いする場合がございます)
・不動産登記簿謄本
・通帳など
・被相続人の死亡日がわかる資料(相続放棄、限定承認を行う場合には、熟慮期間は3か月となるため早期にご相談ください)。
・ご依頼の希望(現物分割、代償分割、換価分割の希望、相続放棄などの希望)
などの収集、ご持参をお願いする場合がございます。

〇 分割方法とは?
・現物分割:遺産をそのまま共有状態で分ける方法です
・代償分割:共同相続人の一部に具体的相続分を超えて遺産を現物で取得させ、具体的相続分に満たない者に対して代償金の支払いを行う分割方法です。
・換価分割:遺産を売却し、その売却代金で分配する方法です。
                 ▽
② 法律相談、お見積り
 法律相談において事情の聞き取りをさせていただき、どのような解決策が適切であるのかをご提案をさせていただきます。
 もっとも、遺言書の有無、相続財産の調査など前提事項を訴訟にて解決しなければならない場合がありますので、現時点で把握している事情によりお見積りとなってしまう点についてあらかじめご了承ください。
 
                 ▽
③ 委任契約を締結し、着手金の支払いを受けて、ご契約いただいた委任事項を実現するために調査を行います。
 相続関係については、調査には一定の事項が必要であり、
(1)遺言書の存否
(2)相続人の確定・遺産分割協議の当事者の確定
(3)遺産の範囲の確定
(4)相続分の確定
(5)遺産分割協議の検討
(6)遺産分割調停の検討
(7)遺産分割審判の検討
(8)保全の検討
(9)前提事項について訴訟の検討
 などを検討し、具体的な対応方針・手続きを決めていきます。
              ▽
④ 具体的な対応方針手続を決定し、委任事項を実現していきます。

4 遺産分割の手続きの種類とは

(1)遺言により指定分割

 遺言により、分割の方法を定め、分割の方法を定めることを第三者に委託することができます(908条)。
 遺産分割方法の指定をできる第三者は、相続人、包括承継人は含まれず、第三者は、現物分割、換価分割、代償分割などを行います。
 相続が開始した場合には、まずは遺言書がないか確認しましょう。①自宅に自筆証書遺言・秘密証書遺言が保管されていないかを探す(検認手続きが必要ですので発見してもすぐに開封をしないよう注意しましょう。)、②公証人役場に公正証書遺言が保管されていないか・秘密証書遺言を作成していないかを遺言検索システムで検索を行う、③法務局の自筆証書遺言保管制度により保管をされていないかを遺言書保管所にて検索を行う、④親しい知人や弁護士・司法書士、金融機関に預けていないかなどを確認し、遺言書を探すこととなるでしょう。
 遺産分割をすることによって共同相続人間の共有状態であった権利関係は確定的に帰属し、遺産分割の効力は、相続開始時に遡って生じることになります(909条)。

(2)協議による分割

 共同相続人の全員に合意により遺産分割を行うことができます。共同相続人は、遺言で分割方法を指定された場合や分割を禁じた場合を除き、いつでも遺産分割をすることができます。協議による分割は、共同相続人全員の意思の合致が必要であるため、戸籍謄本を確認し、漏れている相続人がいないかを確認しておくとよいでしょう。
 分割の内容は共同相続人の自由になされており、特定の相続人が取得をしないといった合意をすることができます。分割の態様も、現物分割、換価分割、代償分割など自由な分割方法を定めることができます。
 協議が整った場合には、紛争を避けるために、遺産分割協議書を作成し、各相続人が印鑑証明を添えて、署名押印を行い、不動産登記の移転などを行える状態にしておきましょう。

(3)調停による分割

 協議による分割を行うことができない場合には、家庭裁判所により遺産分割調停を申して、そこで分割することを目指すこととなります。相続人全員が調停手続きに参加し、調停委員が各当事者の主張をきいて、調整、あっせんを図っていきます。調停調書には、確定した審判と同一の効力があります。
 調停の参加を希望しない相続人がいる場合には、相続人が相続放棄をした場合には放棄申述受理証明書を提出するといった方法や他の相続人に相続分譲渡及び脱退届を提出させるといった方法により調停に参加せずとも済む状況を作ることがあり得るでしょう。
 当初より遺産分割審判を申し立てることもできますが、家庭裁判所の職権により調停に付されることができ(家事274条1項)、多くの事件では一度調停での話し合いができないかを試みられることとなるでしょう。

(4)審判による分割

 遺産分割調停が不成立となった場合には、審判手続に移行することになります(家事272条4項)。家庭裁判所は調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のための衡平に考慮をして、職権で、事件の解決のために必要な審判をすることができます(家事284条2項)。調停に代わる審判には異議の申立てができます(家事286条1項)。
 審判においては、遺産の分割の基準として、遺産に属する物、権利の種類、性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活状況その他一切の事情を考慮するとの基準(民法906条)があり、各相続人の法定相続分を踏まえて、実質的な公平になるように分割を行います。
 審判手続きにおいて、家庭裁判所は、当事者の陳述を聞き(家事68条)、事実の調査を行い、申立て又は職権で必要と認める証拠調べをすることになります(家事56条1項)。当事者は主張立証責任を負うわけではありません。しかし、家庭裁判所が当事者の主張しない事実や証拠を探知することには限界があるために、事実の調査及び証拠調べに協力し、自己に有利な主張、証拠提出は積極的に行う必要があるでしょう。第1回審判期日において、調停での主張・書証の推移、争点についての把握、審理計画を策定していくことになるでしょう。以後の期日において争点整理を行い、事実の調査、証拠調べを行うこととなるでしょう。事実の調査及び証拠調べは、対席方式で行われます。当事者本人の調べは、原告として陳述書、審問によります。当事者の請求により行う場合には、尋問事項書の提出を求め、交互尋問方式に行うこととなるでしょう。審判手続を終結前に調停案を示し、当事者間の合意の見込みがないかを検討し、調停の成立見込みがないかを探ることもあります。
 裁判をするのに熟したときに審判がなされます(家事73条)。相当の猶予期間をおいて審理を終結する日付が設けられ(家事71条)、審判日が定められます(家事72条)。審判は、訴訟での判決のように言い渡しは不要であり、相当と認める方法により告知がなされます(家事74条1項)。審判に対する即時抗告は、審判の告知をうけた日から2週間以内にしなければなりません(家事86条)。
 遺産分割の審判については、即時抗告ができますので、即時抗告が経過すると確定します(家事86条)。金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有するため(家事75条)、審判に従わない場合には強制執行を行うことができます。

5 各事項ではそれぞれどのようなことを検討するのか。

(1)遺言書の存否

・遺言書については、被相続人が知人、周囲の者に告げている可能性がありますので、遺言書が作成されていないかをご確認ください。
・公正証書遺言、秘密証書遺言については公証人役場で作成していたかどうかを確認できます。自筆証書遺言についても法務局の遺言書保管所に保管されているかどうかを確認しましょう。自宅にあった遺言などは家庭裁判所の検認が必要となりますのでご注意ください。
・遺言では、①推定相続人の廃除、②特別受益の持戻しの免除、③遺産分割方法の指定・指定の委託、④遺贈、⑤遺留分侵害額の順序、割合の指定などが行われます。
・遺言によって、相続人の遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害額請求(1042条)を請求するかどうかを検討します。遺留分侵害額請求権の1年の消滅時効となります。

(2)相続人の確定・遺産分割協議の当事者の確定

・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票の取得を行い、相続関係図を確定させていきます。戸籍の附票、住民票を取得し、相続関係者の住所地の調査も行います。
・戸籍附票が職権消除などにより住民票が不明である場合には、最終住所地の実地調査を行い、不在者財産管理人の選任を求めていくことになります。7年以上生死不明であった場合には失踪宣告の申立てを検討します。除籍謄本等が取得できない場合には、他に相続人が存在しない証明書を印鑑証明書を添付して作成することとなるでしょう。
・事案によって、相続順位の確定、相続放棄、相続欠格事由、推定相続人の廃除事由、婚姻、離婚、養子縁組等の有効性がないかの確認を行います。

(3)遺産の範囲の確定

・遺産の概要について、プラスの財産(不動産、自動車、貴金属、現金、預貯金、小切手、株式、貸付金、売掛金、知的財産権、ゴルフ会員権)、マイナスの財産(借金、買掛金、振出小切手、未払いの税金や家賃、保証債務)などがないかを確認してください。
・ライフプランノート、エンディングノートがある場合には、これらに遺産が確認できる場合があります。
・プラスの財産について、預貯金、保険証書、不動産、株式、自動車、売掛金などの資料を把握していきます。預貯金、スマホのアプリから、金融機関を特定し、残高証明書の発行や金融機関からの名寄せを行います。不動産について固定資産評価証明書、名寄帳を確認するといったことを行います。証券会社からの取引報告書や郵便物をみて取引残高証明書を取得していくとよいでしょう。証券保管振替機構に登録済加入者情報の開示を求めることいきます。
・マイナスの財産について、信用情報機関への情報開示を行う、契約書、通帳からの支払履歴、確定申告書、収支内訳書、帳簿などから借入金の把握を行います。

〇 遺産の範囲に争いがある場合には、遺産分割手続内での解決を行うか、遺産確認訴訟での解決を行うかを検討します。

(4)相続分の確定


 相続分の具体的計算を行い、特別受益、寄与分の考慮をして、有利な遺産分割協議を目指します。

① 特別受益について

 特別受益制度は、被相続人から特別受益を受けた相続人の相続分を修正し、共同相続人間の公平を図る制度です。
 相続人に対して遺贈及び一定の生前贈与といった財産分与とみられるものがなされている場合には、その遺贈等を特別受益といい、その価額を加えたものを相続財産とみなされます(903条)。
 遺産分割に際しては、相続財産に特別受益である生前贈与を加えたものを相続財産とみなし(みなし相続財産)、これを基礎として各相続人の相続分(一応の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この一応の相続分から特別受益分を控除し、その残額をもってその特別受益者が現実に受けるべき相続分(具体的相続分)として計算がなされます。
 特別受益が一応の相続分を超過する場合においては、超過分を返還する必要はなく、相続において新たに財産を取得することができないとされています。
 持ち戻し免除の意思表示をした場合には、被相続人が生前贈与や遺贈を相続分の算定にあたって考慮しないこと等の遺言を作成したいえる場合や生前贈与につきそのような意思表示があった場合には、遺留分に反しない有効となります。

② 寄与分について
 寄与分は、共同相続人中に、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者がある場合には、他の相続人との間の実質的公平を図るために、その寄与相続人に対して相続分以上の財産を取得させる制度です(民法904条の2)。
 寄与分を受けるのは、共同相続人に限られており、共同相続人であれば、限定承認をしている場合や、特別受益を受けて具体的相続分がない場合においても寄与分を主張できます。代襲相続人は、共同相続人に当たるため、寄与分を主張ができます。共同相続人以外の家族が財産増加に多大の影響を与えても原則は寄与分を主張できず、共同相続人の行為と同視できる、共同相続人の補助者として行動していたといったことが必要となるでしょう。
 寄与分の算定にあたっては、家庭裁判所は、寄与の時期、方法および程度、相続財産の額その他一切を考慮してその額を定めることとなっています(904条の2第2項)。
 共同相続人に寄与者がいるときは、被相続人が相続開始の時において有していた財産の価額から寄与分を控除した価額をみなし相続財産として、これに指定相続分または法定相続人の割合を乗じて算定したうえで、寄与者はこれに寄与分を加えた具体的相続分を算定することとなります。
 寄与の類型、態様として、①事業従事型、②財産出資型、③療養看護型、④扶養型、⑤財産管理型ごとに寄与をした時期、その方法、態様、通常の扶養義務の範囲を超える程度の特別の寄与であったこと、その結果どのようにして財産が維持され増加したのかの関連性が明確に示すこと、寄与の態様に応じた立証方法を検討することが必要となります。
 寄与分の決定は、共同相続人間の協議により、まとまらない場合には、家庭裁判所の調停、審判によることとなります。

(5)遺産分割協議

① 前提問題の検討

 相続人の確定、遺産の範囲および評価、相続部の算定を行い、遺産分割協議の準備を行います。遺言と異なる内容の遺産分割をすることもでき、遺留分に配慮して遺産分割協議により遺産を取得させることができます。

② 分割協議の実施

 協議は、電話、メール、手紙、持ち回り方法での協議を行うこともでき、遺産分割協議書を相続人の1人を作成し、回覧に供する形で遺産分割協議をする方法があります。財産目録を作成し、遺産を特定しましょう。分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割の提案を行います。

③ 遺産分割協議書の作成

 遺産分割協議に合意ができた場合には、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、法律上作成が要求されているわけではありませんが、遺産分割の結果について合意内容を明確にし、紛争を避けるために作成するほうがよいでしょう。不動産の相続登記のため、実印と印鑑登録証明書を使用しましょう。

④ 協議結果に基づき遺産を分割
 不動産の登記移転手続き、金融機関の定める所定の手続き、証券会社などの手続きを行っていきます。

(6)遺産分割調停

① 調停の申立て

 調停・審判について書面で申立てを行います。申立権者は、共同相続人(907条2項)、相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者(990条)、相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者(1012条)が遺産分割の申立てができます。
 添付書類として、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の出生時から死亡までの全ての戸籍、相続人全員の住民票、子の出生時から死亡時までの全ての戸籍、不動産事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し又は残高証明書、遺言書の写し、相続分譲渡証書、遺産目録、特別受益の有無及びその内容を準備します。
 管轄は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄を行う、相手方が複数いる場合にはそのうち1人の住所地を選ぶことがあります。なお、遺産分割審判申立は、管轄が異なる点に注意が必要です(家事191条)。
 申立てを行うと、形式審査がなされ、調停期日の調整、家庭裁判所での呼び出しが行われます。家庭裁判所からは照会書が送付され、遺言の有無、共同相続人の確認、遺産の葉に、特別受益や寄与分の有無、その他相続に関する事実関係、分割の希望などの調査がなされます。

② 第1回調停期日

 第1回調停期日では、当事者・手続代理人などは、呼び出された調停期日に出向きます。それぞれ別々の待合室が用意されており、顔を合わせなくともよいように配慮がなされています。待合室から調停室に呼ばれ、紛争の実情や調停に至る経緯、当事者の事情、分割案の希望を聴取していくこととなります。調停は非公開の手続きで行われます。

③ 調停期日

 調停期日は1か月に1回の頻度、1回につき数時間で行われます。調停期日に向けて、遺産分割の主張、特別受益の主張、寄与分の主張、相続債務の取り扱いなどについて主張、資料の提出の準備を行うこととなります。

④ 調停終了(成立、取下げ、調停しない、不成立→審判手続)

 調停手続は、調停の成立(家事268)、調停の不成立(家事272)、調停の取下げ(家事273)、調停をしない処置(家事271)といったものが取られます。調停において当事者の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立し、確定した審判と同一の効力を有します(家事268条第1項)。調停調書に、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他給付義務を定めた合意内容が記載されると、執行力ある債務名義と同一の効力を有します(家事75条)。

(7)遺産分割審判

① 審判の申立て

 遺産分割審判においては、申立ての趣旨及び理由を記載し、申立書を家庭裁判所に提出して行います。申立書には、特別受益の有無、内容、遺産目録を添付します。
 審判の管轄は、相続開始地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。遺産分割審判においても、訴状事項を(相続人の範囲、遺産の範囲、遺言の効力)を審理・判断することができます。

② 審判手続

 審判手続においては、家庭裁判所は当事者の陳述を聞き、申立て又は職権により、事実の調査や証拠調べを行います。事実の調査には、制限はありませんが、家庭裁判所調査官による調査命令、官公署に対する調査嘱託・銀行等に対する報告請求、書記官による事件関係者の照会、家事審判官による事件関係人の聴取、参与人に対する聴取を行います。
・調停の最終期日において、調停から審判に移行する場合、審判に備えて、調停が不成立となった原因を明確にしておき、審判期日での主張立証、書証の維持、争点の準備を行ってきます。
・第1回審判期日においては、全当事者に立ち会いの機会を加えたうえで審判期日を実施し、争点の整理、今後の審理計画を算定していきます。
・争点整理において、当事者には立会権があり、対席方式で審理を行っていきます。
・当事者本人の調べは、原則は陳述書、審問によることになります。当事者の請求により証拠調べを実施する場合には、尋問事項書を提出し、交互尋問方式にて行います。第三者の調べは、当事者の立会の下での証人尋問の方法で行われます。
・審判終結前には、調停案を提示し、合意見込みがある場合には、調停手続に付します。

③ 審判
 審判の終了には、審判(家事73条)、審判申立ての取下げ(家事82条)、調停の成立(家事274条、268条)があります。家庭裁判所は、一部が裁判をするのに熟した場合にも、審判をすることができます(家事73条2項)。審判の告知は、相当の方法で行われ、審判書謄本を書記官におる交付送達または特別送達して告知がなされることが多いでしょう。審判の効力発生は、告知を受けた日から2週間の即時抗告期間に行われない場合には、遺産分割の効力が生じます。
 審判内容は、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有することとされており(家事75条)、審判は執行力を有します。なお、遺産分割審判は、実態法上の権利義務の存否を終局的に確定する手続きではなく、既判力は有しないと解されており、相続人は相続財産の存否を争うなどを行うことがあり得ます。
 即時抗告を申し立てる場合には、高等裁判所宛てに書面を原審家庭裁判所に提出します。寄与分を定める処分審判についてのみ即時抗告をすることはできませんが、遺産分割審判についてのみ即時抗告をすることができ、双方の審判について即時抗告ができます。抗告審においては、不利益変更禁止の原則は適用されないため、不服申し立てがなされた場合に原審よりも事実上不利な判断がなされることがありえます。

(8)保全の検討


 遺産分割調停または審判を申し立てる際に、当事者は、審判が効力を生じるまでの間に財産の現状を維持するために、相続人の生活が困窮することのないように、遺産の管理者を選任して当該管理者に遺産の管理をさせたり、遺産の一部につき相続人に対して、処分禁止の仮処分や占有移転の仮処分を行い、遺産の一部について生活が困窮する相続人に対して仮に分割する仮処分を検討することなど審判前の仮処分を検討することがあります。
 保全処分には
・遺産分割事件を本案とする財産管理者の選任又は事件の関係者に対する財産管理事項の指示(家事200条1項)。
・遺産分割事件を本案とする相続財産についての保全処分(家事200条2項)。
・遺言執行者解任事件を本案とする職務執行停止又は職務代行者選任(家事215条1項)。
・事件関係人の窮迫の危険を防ぐために必要があるときは、本案事件の申立てなどにより、金銭の支払、物の引渡しその他の必要な保全処分(家事200条3項)。
訴訟事項(相続人の範囲、遺産の範囲、遺言の効力)を本案とする保全処分は民事保全法上の保全処分をすることとなります。
① 保全申立書の作成、保全処分の申立て
  申立ての趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにして申立てを行います。保全処分を求める事由は疎明をしなければなりません(106条)。担保が必要とされる場合があります。
② 審判手続きが開始する
③ 保全処分の内容を実現する

6 遺産分割Q&A

Q 誰が相続人となるのでしょうか。
A 配偶者は常に相続人となります。
一定の血族の者には、順位がつけられ相続人となります。先順位がある場合には、後順位の者は相続人となりません。
① 第1順位 子及びその代襲者
 被相続人に子がいる場合には、その子は第1順位の相続人となります。実子、養子、嫡出子、非嫡出子の区分は問われません。
② 第2順位 直系尊属
 第1順位の相続人がいる場合には、被相続人の直系尊属が相続人となり、直系尊属が複数存在する場合は、近い者が相続人となります。
③ 第3順位 兄弟姉妹
 第1順位、第2順位の相続人がいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。第3順位の相続人には、その子についてのみ台数相続が発生します。

Q 推定相続人の廃除とは何ですか?
A 遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、もしくは重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったとき、被相続人の請求に基づいて家庭裁判所が相続権を剥奪することができます(892条、893条)。生前廃除、遺言廃除について、管轄の家庭裁判所に廃除の申立てを行い、家庭裁判所は、具体的状況を考慮して廃除事由の該当性を審理し、審判を出します。廃除が認められた場合には、廃除請求者は排除確定日から10日以内に市町村役場の戸籍課に相続人の廃除の届出を行います。

Q 相続人の欠格事由とは何ですか。
A 民法891条には、相続人の欠格事由が規定されており、法律上当然に相続人の相続権を奪う制度となっています。
① 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処された者。故意には、殺害による相続上の利益を得ることの故意が必要と解されます。執行猶予付きの判決を受けた者は、執行猶予期間が経過すれば刑の言い渡しの効力を受けないため、相続欠格とはならないでしょう。
② 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告発しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときはこの限りではないと判断されます。
③ 詐欺、強迫によって被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取消、変更することを妨げた者
④ 詐欺、強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取消させ、変更させた者
⑤ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、隠匿した者
欠格事由の効果は、法律上当然に発生し、被相続人や他の相続人等の利害関係人の主張は必要ありません。相続欠格者に直系卑属がいるときは、代襲相続が開始することとなります。
相続欠格事由は、廃除のような審判手続や公示手続はないため、相続回復請求や遺産分割に関連性して主張されることとなるでしょう。また、相続人が原告となり、欠格該当性を主張し、相続権不存在確認請求訴訟、所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟などを提起して主張していくこととなるでしょう。

Q 遺産からの賃料が発生した場合はどのように処理すればよいのでしょうか。
 相続開始後、遺産分割がなされるまでに生じた賃料などについては、遺産そのものではないため、その配分について争いがある場合には、訴訟などで清算すべきこととなります。
 最高裁平成17年9月8日判決は、遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生じる金銭債権とは、遺産とは別個の財産というべきであり、共同相続人において、相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解されると考えられています。もっとも、便宜的に、当事者全員の合意がある場合には、一括して遺産分割の対象として処理することができます。

Q 遺産が火災などにより失われ、保険金請求権、損害賠償請求権に変わった場合には遺産分割では、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
 相続開始時から遺産分割時までに相続財産が滅失するなどして代償財産となった場合には代償財産は原則として、遺産分割の対象とはならないと解されます(最高裁昭和52年9月19日判決)。もっとも、共有持分権を有する共同相続人全員によって他に売却された各土地は遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに、その売却代金は、これを一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含める合意をするなどの特段の事情のない限り、相続財産には加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得すべきものと解されています(最高裁昭和54年2月22日判決)ので、代償財産について、共同相続人全員によって遺産分割の対象に含める旨の合意があれば、遺産分割の対象とすることができます。

Q 遺産の算定はどのようにして行えばよいのでしょうか。
 遺産分割は、相続開始時により相当期間が経過することがあり、相続財産をその分割の時点において、相続分に応じて分割するので、相続財産の評価時点は、遺産分割の時点と解されます。特別受益や寄与分がある場合には、評価は相続開始時を基準とすることとなるでしょう。
 相続財産の評価については、客観的価値を把握することが大切となります。鑑定という、家庭裁判所から選任された鑑定人がその専門的知識により鑑定を行い、裁判所に鑑定結果を報告するものを利用することがあり得ます。不動産には不動産鑑定士、非上場株式には公認会計士が選任されることとなるでしょう。鑑定費用については、当事者の法定相続分に応じて予納されることになります。
① 不動産の評価
 不動産には、時価(実勢価格)、公示価格、基準価格、固定資産税評価額、相続税路線価をもとに算定されます。固定資産税評価額は、公示価格の7割程度、相続税路線価は、公示価格の8割程度となります。不動産の正式な鑑定には、原価法(不動産の再調達原価について原価修正を行って価格と求める方法)、取引事例比較法(多数の取引事例から事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較や個別的要因の比較を行って価格を行うもの)、収益還元法(不動産が将来生み出す純収益の原価の総和を算出し、還元利回りで還元して価格を求めるもの)があります。それぞれの地域などから適切な算定方法を行っていくことになるでしょう。
・土地賃借権は、更地価格に対して借地権割合を乗じて計算を行います。更地価格の50~90%程度となるでしょう。
・土地使用借権は、堅固建物の場合には、10~30%、非堅固建物の場合には、10~20%となります。
② 株式の評価
 上場株式は、取引相場から算定を行います。非上場株式の場合には、相続税申告書に記載した評価額を参考とし、算定する場合には、純資産評価方式、収益還元方式、配分還元方式、類似業種比準方式を利用することとなるでしょう。
③ 現金、預貯金、債権
 回収の見込み可能性が高いものは、回収見込評価額を用い、債権の存否や現在額に荒尾市があるものは、対象財産から除外します。
④ 動産
 宝石、絵画、骨董品などは、専門家の鑑定におることとなるでしょう。
 自動車は中古販売業者で査定金額を参考にします。

Q 特別受益の算定において注意すべきことはどんなものがありますでしょうか。
① 特別受益の対象となる財産とは
 特別受益として考慮されるのは、遺贈および婚姻若しくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与をされたものとなります(903条)。特別受益として持ち戻しの対象となるかは、生前贈与が相続財産の前渡しとみられる贈与であるか否かを基準にしながら相続人間の衡平を考慮して判断されるべきであり、被相続人の生前の資産、収入、家庭状況に照らして総合的に決定がなされます。
・持参金、嫁入り道具、結納金、支度金など婚姻又は養子縁組のために特に被相続人に支出してもらった費用については、特別受益となります。
・生計の資本として贈与とは、贈与金額、贈与の趣旨などから判断し、生計の基礎として役立つような、ある程度まとまった相当額の贈与となります。居住用の不動産の贈与、取得のための金銭の贈与、事業資金の贈与は、生計の基礎として役立つ資本の贈与ということになります。扶養のために付与された財産は、特別受益とはなりません。
・学費は、普通教育以上の高等教育を受けるための学費は、将来の生計や生活の基礎となるので特別受益に該当することがあり得ます。被相続人の生前の資力、生活状況、家庭の状況、社会的地位などに照らして、通常の扶養義務の範囲内に支出の一環といえるかどうかを検討します。共同相続人全員が同程度の受益を受けていた場合には、黙示の持戻免除の意思表示があったと認められることがあります。
・生命保険金は、被相続人は、最高裁平成16年10月29日決定において、特段に事情がない限りは、原則として否定されています。特段の事情の有無は、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断し、保険金額が遺産総額の少なくとも3分の1を超える状態にある事案においては、特段の事情を肯定することがあり得ます。
・死亡退職金については、法律、条令、就業規則等の根拠規定その他の状況から個別に判断し、功労報酬的側面が強い場合には、特別受益には当たらず、生活保障としての正確が強い場合には、特別受益に当たると解されています。
・生前の浪費については、特別受益とはならないと否定する見解もありますが、被相続人が自分で身元保証をしていた共同相続人の夫の勤務先での不祥事について、金銭の支払それを同夫に対して求償しなかったことは、当該相続人に対する相続分の前渡しとして生計の資本としての贈与にあたるとした裁判例があります(高松家裁丸亀支部平成3年11月19日審判)。
・不動産の無償使用分については、遺産である土地の上に相続人の1人が建物を建て、その土地を無償で使用している場合には、相続開始時における遺産土地について使用貸借を生計の資本として贈与ととらえ、使用貸借相当額について特別受益となります。もっとも、被相続人と同居をしていた場合には、黙示の持ち戻しの免除意思があると判断されることがあるでしょう(最高裁平成8年12月17日)。
② 特別受益者の範囲
・共同相続人の配偶者、子、孫に対する贈与は原則として特別受益には当たりません。贈与の経緯、価値、性質、これにより相続人が受けている利益などを検討し、実質的に相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときに相続人の特別受益とみることができるでしょう(福島家裁白川支部昭和55年5月24日審判)。
・代襲相続人については、被代襲者が特別受益を受ける場合、代襲相続人は、原則として被代襲者に対する持戻義務を引き継ぎます。もっとも、一身専属的性格のものについては、持ち戻し義務を否定する審判例が存在します。代襲相続人が被代襲者の特別受益によって現実に経済的利益を受けている場合に限り持ち戻しをさせるべきとする事案も存在します。
 代襲者自身が受けた贈与は、代襲原因発生前の受益は特別受益に該当しませんが、相続人となった後に受けたものは特別受益に該当することとなります。
・再転相続における第二次被相続人から受けた贈与は、最高裁平成17年10月11日にいて、第二次被相続人から特別受益を受けた者があるときは、その持戻しをして具体的相続分の算定をしなければならないと判断されています。
③ 特別受益者の相続分の算定
 特別受益者の対象財産の評価時期は、相続開始時となります。贈与の目的物の滅失又は価値の増減については、相続人間の衡平を維持するため、その目的物が相続開示当時、贈与当時の状態のままで存在するものとみなし、目的物を相続開始時の時価により算定します(904条)。

Q 寄与分の算定において注意すべきことはどんなものがありますでしょうか。

 寄与分の決定は、共同相続人間の協議により、これがまとまらないときには、家庭裁判所の調停、審判におることとなります。

〇 寄与分を受ける者の範囲
 寄与分を受けるものは、「共同相続人」と規定されていることから、原則として共同相続人に限られています。相続人の配偶者は、共同相続人ではないため、寄与分を受けることはできません。
 相続放棄者、相続欠格者、被廃除者は、寄与分を主張することはできません。包括受遺者は寄与分を主張できません。代襲相続は共同相続人ですから、寄与分を主張することができます。共同相続人以外の者の寄与については、共同相続人でないため、原則として寄与分を主張することはできません。しかし、相続人以外の者の寄与行為が相続人の寄与分と同視しうる場合には、その相続人の寄与に含めて主張をすることができます。
 相続人とその配偶者および子が、老人痴呆症にかかった被相続人の介護のために療養看護に尽くしたという事実を、相続人の寄与分算定の資料として考慮した審判がありえるでしょう。

〇 寄与分の成立要件

① 寄与行為があること
 寄与行為とは、首都して無償若しくはこれに準ずるものであることが多いでしょう。相当の対価を得ているのであれば、既に決済が済んでいるものとして寄与分として主張すべき部分は残存していないと考えられます。寄与の方法と態様については、労務や金銭などの出損によって被相続人の財産が増加した場合に限らず、労務の提供によって価値の減少を防いだり、被相続人の療養看護を引き受けて被相続人の病気により出損を減らした場合にも維持した場合には寄与があったといえるでしょう。

② 寄与行為が特別の寄与と評価できること
 寄与行為は特別なものであることが必要となります。特別とは、身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献をいうと解されます。夫婦間の協力扶助義務、直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務、直系血族及び同居の親族には扶養義務の範囲内である場合には、寄与分として相続分を修正する事由は認められません。

③ 被相続人の財産の維持または増加があること
④ 寄与行為と被相続人の財産の維持または増加との間に因果関係があると評価できること
 特別の寄与があったことにより被相続人の財産が減少しなかった、又は増加したことが必要となります。財産の維持又は増加に直接のかかわりのない被相続人に対する精神的な援助等は含まれません。
 共同相続人に同程度の特別の寄与がある場合が認められる場合には、寄与分は共同相続人間の実質的衡平を図る制度であるため、寄与分の存否は他の共同相続人との間で相対的に決まります。特別の寄与の程度が異なる場合には、相続人より多い分かで他の相続人に特別の寄与が認められる場合があります。

〇 寄与の類型・態様

① 事業従事型
 被相続人の営む事業に対して無鳳雛あるいはそれに近い状態で従事し、労務を提供して相続財産の維持または増加に寄与する類型をいいます。特別の寄与にあたるか否か、①第三者を雇用した場合の給付との差の有無、②従業期間の長短、③専従者性が認められるか否か、④身分関係、⑤寄与行為時の社会通念や家業の通常の経営形態などの事情が総合的に検討されます。労務の提供時期の期間に明確は定めはありませんが、特別な寄与によって遺産管理に資したという要件としては、3年くらいの従事は必要となるでしょう。
従業員である場合「寄与者の受けるべき相続開始時の年間給与額×(1-生活費控除割合)×寄与年数」との算定方法、実質的に共同経営者である場合「(寄与相続人の受けるべき通常得べかりし報酬+利益配分)-現実に得た給付」との算定方法を取ることとなります。

② 財産出資型
 被相続人やその事業に対して、財産上の給付あるいは財産的な利益を提供して財産を維持・増加させ、あるいは、債務の返済等により被相続人の財産の維持に寄与する類型となります。寄与分となるかは、①無償性、②相続開始時の出資の結果の残存、③出資全部を寄与分として認めることが相当であるかによって判断されます。
・不動産取得のために金銭を給付したような場合は、「相続開始時の不動産価額×(寄与者の出資金額÷取得時の不動産価格)」にて算定します
・不動産の贈与の場合は、「相続関係時の不動産価額×裁量的割合」による算定します。
・不動産の使用貸借の場合は、「相続開始時の賃料相当額×使用年数×裁量的割合」により算定します。
・金銭贈与の場合は、「贈与当時の金額×貨幣価値変動率×裁量的割合」により算定されます。

③ 療養看護型
 被相続人の療養看護を行い、医療費や監護費用の支出を避けることによって相続財産の維持に寄与する類型となります。相続人やその他の療養看護をした場合には、寄与度をどのように検討するかは、①療養看護の必要性、②身分関係、受持機関、専従性が考慮されることとなります。療養看護の必要性は、介護保険において要介護度2度以上の状態であることが目安となります。
・相続人が実際に療養看護した場合(寄与分額=付添の日当額×療養看護日数×裁量的割合)
・第三者に療養看護させ費用を負担した場合(寄与分額=費用負担額)

④ 扶養型
 特定の相続人のみが被相続人を扶養し、被相続人の支出を減少させその財産の維持に寄与する類型がある。特定の相続人が被相続人を現実に引き取って扶養する場合、特定の相続人が扶養料を負担する場合が考えられます。寄与度については、①扶養義務の有無及び分担義務の限度、②相続人が受けた利益(同居の無償など)が考慮要素となります。
・現実の引取り扶養の場合(寄与分額=「現実に負担した額」又は「生活保護基準による額」×期間×(1-寄与相続人の法定相続分割合))にて算定を行います。
・扶養料の負担の場合(寄与分額=負担扶養料×期間×(1-寄与相続人の法定相続分割合))にて算定を行います。

⑤ 財産管理型
 被相続人の財産管理をし、被相続人が管理費用の支出を免れるなどにより被相続人の財産の維持に寄与する類型を言います。この類型は、①不動産の賃料管理、占有者の廃除、売買契約の締結という形態、②建物火災保険料、修繕費、不動産の公租公課の負担を行うことがあるでしょう。
①の場合には、(寄与分額=第三者に委任した場合の報酬額×裁量的割合)
②の場合には、(寄与分額=負担額―相続人の利用利益)
によって算定を行っていきます。

〇 寄与分と特別受益との関係
 寄与分と特別受益が重なった場合には、寄与の報いる十分な生前贈与が認められている場合には、寄与分は清算がなされており、それ以上に寄与分を認められないこととなります。寄与分が認められないと同時に、生前贈与や遺贈については、持戻し免除の黙示の意思表示を設定する等の法律構成により寄与分対価と認められる限度において持戻しの対象としない取り扱いとなるでしょう。

〇 寄与分と遺留分の関係
 寄与分には上限に関する規定はありません。遺留分を侵害するような寄与分を定めることができるとされています。裁判所において、寄与分を定める場合は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を定めることとなり、他の相続人の遺留分を侵害する結果となるかどうかについても考慮すべきとする裁判例があります(東京高決平成3年12月24日)。

Q 遺産分割後の移転手続きはどのように進めたらよいのでしょうか。

① 不動産登記手続
 遺産分割の対象に不動産がある場合には、その遺産分割の内容に沿って登記手続を行うこととなります。遺産分割協議書、遺産分割調停、遺産分割審判の内容を踏まえ、必要な登記事項の確認をし、遺産分割協議書、調停調書、審判書の内容で不動産登記名義の変更が可能かを確認し、権利変更に困難が生じる場合には、調停調書や審判書の更正を求めていくこととなるでしょう。
 共同相続財産の管理として、相続登記がなされていた場合には、共同にて登記を行う必要が生じることがあります。遺産分割調停、審判の場合は、調停調書や審判書に登記義務者に登記手続をすべきことを命じる条項や登記義務者が登記手続をする旨の条項があれば、登記権利者は調停調書正本、確定審判の審判書を提供して単独で登記申請をすることができます。

② 自動車名義手続
 自動車・船舶などの有体動産には登録制度がありますので、自動車の登録名義の移転、船舶の登録名義の移転を行うこととなります。
・被相続人の戸籍謄本
・相続人の範囲の証明書
・特定相続人が当該自動車を取得することになったことについて証明書(遺言書・遺産分割協議書、調停調書正本、審判書正本など)
・申請書・印鑑登録証明書
・自動車検査証、車庫証明書・自動車税納付済証など

③ 預貯金債権等の名義変更
 預貯金債権は、相続開始と同時に、法定相続人に応じて分割され、各相続人に移転します。特定遺贈がなされた場合には、預貯金債権は、相続開始時から受遺者に移転します。
必要な書類を準備して遺産預貯金の名義替えないし払戻し請求します。
・遺産分割協議書(印鑑登録証明書)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・各相続人の戸籍謄本
・当該金融機関の株式による払戻しないし名義書換請求書などを用意することとなるでしょう。

④ 株式の名義変更
 遺産分割により株式の全部又は一部を取得することとなった場合、株式の名義変更が必要となります。証券会社の相続人名義の口座へ振替手続を行うこととなります。

〇 まとめ

 遺産分割協議、調停、審判などを弁護士に依頼することで、遺産分割などを進めていくうえでよりよい解決となっていくことができるでしょう。遺産分割について悩みある方は、相続問題に取り扱って言う弁護士にぜひご相談を依頼するとよいでしょう。遺産分割について弁護士を依頼されたい場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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