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【少年】不定期刑とはどのようなものでしょうか。

1 不定期刑とは

大阪天王寺・堺・松原での刑事事件・少年事件のイメージ

少年事件においては、懲役刑などが出される場合には、不定期刑の判決が出されることとなります。では、不定期刑とはどのようなものなのでしょうか。

少年法では、判決時に少年である場合、有期の懲役・禁固の実刑を課す場合には、不定期刑としなければならないこととになっています。(少年法52条)。

例えば、
主文 被告人を懲役4年以上7年以下に処するといった判決文で出されることとなります。

一方で、成人の場合には、有期の懲役の場合には、懲役7年となどの一定の刑期を定める定期刑によって判断がなされます。

2 刑の執行を終了するのかどうかを地方更生保護委員会が決める。

不定期刑については、不定期刑を言い渡された場合には、その刑の短期を経過したときは、地方更生保護委員会は、刑事施設のまたは少年院の長の申出にもとづき刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、刑の執行を終えたものとすることになります(更生保護法43条、44条)。

不定期刑では、最も重いものは、刑の長期(上限)は15年、短期(下限)は10年を超えることができないとなっています。

また、不定期刑の短期については、

① 不定期刑の長期が10年以上のときには、長期の2分1を下回らない範囲内で定めること

② 不定期刑の長期が10年未満のときは、長期から5年を減じた期間を下回らない範囲内で定めること

という短期と長期の間に制限が設けられています。

裁判所での手続きのイメージ

3 不定期刑の趣旨 実際の長期を基準に運用

少年法で不定期刑で判断をしなければならない理由としては、少年の改善更生の状況に応じて弾力的に刑の期間を定め、本来の刑期より短い期間での社会復帰を可能とする制度となります。

もっとも、保護統計年報などによると不定期刑受刑者の刑の執行率は高く,短期が経過したからといって刑の執行が終了することは少なく、長期の80%以上とならないと仮釈放が許可されていない傾向があるよう分析がなされている見解も存在します。

成人の場合にも、刑法28条において、懲役又は禁錮に処せられた者に改悛しゆんの状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができるとして、仮釈放の制度が設けられています。

犯罪白書などでは、7割以下の服役で仮釈放がほとんど認められておらず、8割以上の服役が必要となっているといわれている傾向を踏まえると、不定期刑と判断がなされたからといって早期の刑の終了や仮釈放となっているとまでは言い難い部分があるように思われます。

少年法58条1項では、仮釈放が可能となる期間も成人よりも短縮がなされていますが、早期の仮釈放が行われている事案もほとんどないことが指摘されています。

したがって、不定期刑となっていたとしても、長期を基準として運用がなされ、短期を基準として早期に釈放されるといった事態はほとんどないと考えられます。

(不定期刑)
少年法第52条 少年に対して有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の2分の1(長期が10年を下回るときは、長期から5年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて、これを言い渡す。この場合において、長期は15年、短期は10年を超えることはできない。

2 前項の短期については、同項の規定にかかわらず、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の2分の1を下回らず、かつ、長期の2分の1を下回らない範囲内において、これを定めることができる。この場合においては、刑法第14条第2項の規定を準用する。

3 刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。

更生保護法43条、44条

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の申出)

第43条 刑事施設の長又は少年院の長は、不定期刑の執行のため収容している者について、その刑の短期が経過し、かつ、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、地方委員会に対し、刑の執行を受け終わったものとすべき旨の申出をしなければならない。

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の処分)

第44条 地方委員会は、前条に規定する者について、同条の申出があった場合において、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。

2 地方委員会は、前項の決定をしたときは、速やかに、その対象とされた者が収容されている刑事施設の長又は少年院の長に対し、その旨を書面で通知するとともに、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。

3 第一項の決定の対象とされた者の刑期は、前項の通知が刑事施設又は少年院に到達した日に終了するものとする。

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