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親権者変更の判例 共同親権に服している場合の変更について

親権者変更の判例 共同親権に服している場合の変更について

1 共同親権に服している場合に親権者変更の申立て、親権者喪失の審判について

・父母の離婚で一方が親権者になった場合
・婚外子について父が認知して親権者に定められた場合などで、
子の福祉、利益のために必要と認められる場合には、家庭裁判所は、子の親族の請求によって親権者を他の一方に変更することができると規定されています(民法819条6項)。

離婚後に、虐待など子どもの健全な成長を行うためには親権者の変更をしなければならないことがあり得ます。
そこで、子の親族などによって、家庭裁判所において、親権者変更申立てを行うこととます。

では、離婚後に元妻が再婚し、再婚相手と養子縁組をしていた場合にも、元夫は、親権者変更の申立てをすることはできるのでしょうか。

問題となる事例としては、子どもの親権者を妻と定めて離婚したのちに、妻と再婚した再婚相手と養子縁組をしたものの、再婚相手が子どもをしつけと称して虐待をしていた場合に、親権者を変更を求めていきたいとのことがあるでしょう。

最高裁判所は、親権者変更の申立ては、子が単独親権に服している場合に限って認められるとして、養子縁組によって共同親権となっている場合には、親権者の変更をすることができないとの判断がなされています(最高裁平成26年4月14日決定)。

したがって、共同親権に服するといった場合には、親権喪失の審判を申し立てるといった方法によって対応することとなるでしょう。

2 最高裁決定について

最高裁での事案は以下のようなものです。
子どもの実の父親であるXが、子どもの親権者である実の母親であるYとYと再婚し、養子縁組ZからXに変更する審判に基づいて、

親権者変更届出を提出したものの、戸籍事務管掌者に対して、届出を不受理とする処分をしたのが不当であるとして、戸籍法121条に基づいて、受理を命じることを申し立てた事案です。

① 父親Xと母親Yは、平成14年8月に婚姻し、子どもを設けました。
② 平成18年10月には、子どもの親権者をYと定めて、協議離婚しました。
③ 母親Yは、平成20年1月に、Zと再婚し、Zは、平成20年3月に、子どもと養子縁組を行いました。
④ 養子縁組により、母親Yと養親Zの共同親権に服すること状態になりました。
⑤ 養親Zは、子どもに対して、しつけと称して
・背かき棒や手拳でその身体を叩いたり
・長時間正座させるなど体罰を繰り返しました。
・平成23年1月、小学校から児童相談所、警察への虐待通報がなされていた。
・平成23年4月、子どもは、児童相談所に一時保護されることになりました。
⑥ Zが子どもに対する体罰を行っていたことを知った父親は、親権者を変更することを求める調停、審判を求めていきました。
⑦ 平成24年1月に、親権者をYとZからXに変更する旨の審判を行いました。
⑧ Y・Zは、即時抗告を行いましたが、高等裁判所は、即時抗告を棄却する決定がなされました。
⑨ 平成24年3月には、親権者変更届出をしましたが、平成24年5月には、当該親権者変更の申立てを請求し得る法律上の根拠がなく、また、当該申立てによる審判に基づく届け出も戸籍法上許容されていないため、受理しなかったことを証明するとして、不受理届が出されました。
⑩ ⑨の判断に対して、原審は、審判を取消、本件申立てを却下しました。
A 離婚して親権者となった実親の一方が再婚し、子がその再婚相手と養子縁組をして当該実親と養親の共同親権に服する場合には、民法819条6項に基づく親権者の変更をすることはできないから、YとZからXへの親権者変更を認めた審判は民法819条6項の解釈を誤った違法なものであること
B 審判は、民法の予定しない申立てを許容したもので、実体法規に反するものであることが形式上明らかであるから、本件届出を不受理とする処分をしたことに違法はないこと
を判断しました。

最高裁は、⑩の判断に対して、Aの判断は認められるが、Bの判断は是認することができないとしています。

(1) Aについての判断について

・民法819は、1項から5項までにおいて、子の父母が離婚する場合等には、子は父又は母の一方の単独の親権に服することを前提として、親権者の指定等について規定している。
・これらの規定を受けて、民法819条6項において、親権者の変更について規定し、親権者を他の一方に変更することができるとしている。
・このような同条の規定の構造や同条6項の規定の文理に照らせば、子が実親の一方及び要親の共同親権に服する場合、子の親権者を他の一方の実親に変更することは、同項の予定しないところというべきである。
・他方、上記の場合において、親権者による親権の行使が不適切なもので子の保護の観点から何らかの措置を取る必要があるときは、親権喪失の審判等を通じて子の保護を図ることも可能である。
・そうすると、子が実親の一方及び養親の共同親権に服する場合、民法819条6項の規定に基づき、子の親権者を他の一方の実親に変更することはできないというべきである。

との判断をした上で、審判の判断について、民法819条6項の解釈適用について法令半がある、Aの判断は認められると示しています。

(2) Bについての判断について

しかし、審判による親権者の変更は、その届出によって親権者変更の効力が生ずるものではなく、審判の確定によって形成的に親権者変更の効力が生ずるのであるから、たとえ当該審判が誤った法令の解釈に基づいたものであったとしても、当該審判が無効であるため、その判断内容にかかる効力が生じない場合を除いては、確定審判の形成力によって、

親権者変更の効力が生じ、当該審判によって親権者変更の効力が生じ、

当該審判によって、親権者とされた者は子の親権者として親権を行使することができることになるとしました。

そのため、このような親権者の変更が戸籍に反映されないとすると、子の親権に関して、無用な紛争を招いて子の福祉に反することになるおそれがあるほか、身分関係を公証する戸籍の機能を害する結果ともなる。

戸籍事務管掌者は、戸籍の届出について法令違反の有無を審査する権限を有するが、法令上裁判所が判断すべきものとされている事項についての確定審判に基づく戸籍の届出の場合には、その審判に関する審査の範囲は、当該審判の無効をもたらす重大な法令違反の有無に限られるものと解されると判断しました。

以上を踏まえた上で、戸籍事務管掌者は、親権者変更の確定審判に基づく戸籍の届出について、当該審判が無効であるためその判断内容に係る効力が生じない場合を除き、当該審判の法令違反を理由に上記届出を不受理とする処分をすることができないと
いうべきであると判断しました。

本件では、審判は、民法819条6項について、Aと異なる解釈を採って、養親Zが子どもに対してしつけの名のもとに体罰を繰り返してきたことなどから、子ども親権者を母親Yと養親ZからXに変更してものであるところ、このような解釈を採ったことをもって直ちに審判が無効となるものということはできないと判断されました。

そして、本件届出を不受理とすることができないにもかかわらず、不受理とする処分をしたのであれば、処分は違法となる。原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

3 まとめ

離婚の際には、親権者を父 又は 母 と定めても、その後、家庭裁判所の審判又は調停で、親権者の別の父 又は 母 に変更することができるとされています。

一旦親権者と定めたものの、親権者が所在不明である、虐待が存在しているなど子どもの福祉のために不適当であることが判明した場合には、変更ができるとしています。

再婚相手と子が養子縁組をした場合ときに、養子縁組が虐待をしていた場合など対応をしなければならないことがありえますが、親権者変更では対応ができないことが最高裁で示されておりますので

親権制限、親権喪失を選択することとなります。親権の制限では、親が児童虐待を行ったり、監護養育を怠るような場合に、親権を制限するといった方法、

家庭裁判所は、父又は母により虐待、悪意の遺棄があるとき、その他父又は母による親権の行使が著しく困難、不適当であることにより子の利益を著しく害するときには、親権喪失の審判をする方法(民法836条)があります。

親権については子どもの意思や子どもの福祉、現状を維持すべきとの観点などを踏まえて、弁護士と相談をしていくとよいでしょう。


天王寺総合法律事務所では、親権問題に取り組む弁護士がいますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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