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親権とは何でしょうか。わかりやすく解説します。

親権とは何でしょうか。わかりやすく解説します。

離婚について親権というワードをよくきくことがあります。しかし、いざ親権を取得したらどうなるのかはわからない部分があります。そこでこのページでは、大阪の弁護士が、親権についてわかりやすく解説をしていきたいと思います。

1 親権とは何か。

ポイント

親権とは、子どもが立派な大人として成長できるようにしていくための親の責任

親権は、子どもが立派な大人として成長できるようにしていくために親として責任を負うことを意味すると考えてみてください。

子どもが立派な大人として成長するためには、大人の社会で生きていくためのルールや能力を教えていかなければなりません。

学校で教えてもらえることも多いでしょうが、一番の時間を過ごす家庭から教わることはとても多いことになります。人との話し方、食事の仕方、お店での買い物の仕方、電車の乗り方、交通ルールなど親御さんをいちばん近くの大人として子どもは多くのことを学んでいきます。

子どもは一度言葉で教えたらそのとおりになるわけではないでしょう。子どもは、失敗や成功を繰り返しながら、少しずつ大人になっていきます。自分自身の生活、収入を得ながら、子どもの成長していくための長い時間を共に過ごして、見守り続けるということは大変な負担となっていくでしょう。

親権をもつということは、子どものために、子どもが大人になるまで共に過ごして、大人として成長するまでを見守る責任を持つということになります。

2 子どもはひとつの人格をして尊重をしなければならない

ポイント

親権は、子どもの幸せのために使わなければならない

親権をもつこととなった親御さんには、子どもが成長するまで見守るために多くの法律上の権限を与えています。

しかし、子どもはいくら未熟な面があるとしても、ペットのように保護をすればよいといったわけではありません。当たり前のことですが、子どもは親の所有物や言いなりとなるものではなく、一人の人間として尊重をしなければならないこととなります。いうことを聞かないからといって虐待をしたり、必要な保護をせずに、育児を途中で放棄するといったことは許されません(なんらかの理由で子どもを育てることをができないこととなったときには、福祉事務所や児童相談所に相談をして保護が受けられる状態にしないといけません。)

児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)には、18歳未満のすべての子どもについて、すべての子どもは、自ら権利を有する主体であることを述べています。

子どもには、ひとりの人間をして意見や意思を大切にされなければならないことになっています。

親権を取得して、子どもを育てていく場合には、親権者として、子どものひとりとしての人格を大切にしつつ、子どものためにはどのようなことが最善の利益となるのかを考えて、見守っていくことが大切となります。

3 法律上はどのようなことが定められているのか。

ポイント

親権は、大きく分けて、身上監護 と 財産管理

では、日本の法律では、親権を持った親御さんが子どもの成長を見守る責任を果たすために、法的な義務や権限を与えているのでしょうか。

大きくは以下のような法的な義務や権限を与えていると考えられています。

・身上監護権
 居所指定権、懲戒権、職業の許可権、営業の許可、取消権
・財産管理権
 財産上の法律行為の法定代理権、未成年者の法律行為の同意見・取消権
・家族法上の行為の代理権・取消権
・責任無能力者の監督義務者の損害賠償責任

(1)身上監護権

 身上監護権とは、親権を行う者が負う子ども監護、教育をする権利義務を言います。具体的に書いていくと下記のようなないようとなるでしょう。

① 子どもの世話をみなければなりません。 (身上監護権 (民法820条))

 子どもの日々の生活や世話をしていくことが必要です。また、大人となって社会で生きていくための教育を受けるために、それぞれの子ども個性にあった教育を受けられるように学校に通わせたり、学校に通うことができない場合にも、インターナショナルスクールやフリースクールなど必要な教育を行うこととなるでしょう。

手術やワクチンを接種するときの病院でのどのような治療を受けることが適切なのかの同意をしていくといったことや海外に行くためにパスポートを申請するといったことも子どもの世話をみることに含まれるなど、親として様々な場面の権限があります。

② 子どもの住むところを決めなければなりません。 (居所指定権 (民法821条))

 子どもの世話をみるために、親権者は、子どもの住むところを決めるといったことができます。
もっとも、子どもを無理やり連れ去ることや子どもがひどいことがされる危険性がある施設に入れることはできません。

③ 子どもが非行や法律に触れることをするのであればしつけをしなければなりません。( 懲戒権 (民法822条))

 子どもの非行などをしてはならないことを教育するために適切な形で叱るといったことしなければなりません。
 しかし、注意をしなければならないのが、児童虐待といった事案が、懲戒権の名前を借りて行われてきたことがあることです。
 子どものために本当に必要な範囲を超えて、殴る、蹴るなどの暴行を加えることや言葉で脅したり、兄弟間で差別をしたりすること、ネグレクトはしてはいけません。

④ 子どもがアルバイトなどの仕事をする際に許可するかどうかを決めることができます。 ( 職業の許可権 (民法823条)

 また、営業として、自ら商売をするといったことも決めることができます

(2)財産管理権

 財産管理権とは、親権者は、子の財産を管理して、その財産についてその子を代理人となることができます。具体的に記載していくと下記のような内容となるでしょう。

⑤ 子どもの財産(お金や相続によって取得した土地など)を管理すること


 子どもの預貯金や相続によって多額の財産を取得した場合には、しっかりとした管理をしていくことが必要となります。子どもの利益を損なうような形で財産を費消することや自らの利益のために利用してはいけません。

⑥ 子どものした売買契約などに同意をする、取消をすること

 子どもが行った高額な契約についてその契約の同意をしたり、子どもが親の同意を得ないでしたものであるため、取り消すといったことができます。

(3)家族法上の行為の代理権・取消権


 相続を放棄する、養子縁組をするといったことについて代理などをすることなど法律上一定の権限が認められています。
 認知や氏の変更など様々な個別の権限があります。

(4)責任無能力者の監護義務者の損害賠償義務 (民法714条)

 何がしてはいけないことなのかを判断できない年齢のときに、他の人にわざと物を投げつけて被害を発生させたり、うっかりして自転車で人をひいてしまう事故を起こしてしまった場合に、親権者などの監督義務を負う人は損害賠償責任を負わなければならないことが定められています。他の人に対して損害を与えることのないよう監督していかなければならないということができるでしょう。

4 まとめ

 親権は、子どものために、様々な権利と義務を負うこととなります。
子どもが大人になって成長していくまで見守っていくものであるため、裁判所で親権を決めていく際には、これまでしっかりと子どもの面倒を見ることができてきたのか、今後子どもの面倒を見ていくことができるのかを両親の事情や子どもの事情、経済的な状況や子どもの意思などを検討してきめていくこととなります。
親権者となりたいと考えるとき、子どものためにどのようにしていくことが最もよいのかを考え、家庭裁判所で伝えていけるよう準備をしていくことが大切となるでしょう。

 親権にかかわる紛争についてご相談を希望されている場合には、天王寺総合法律事務所にご相談ください。

法律の用語は内容の正確にするためにわかりにくい用語になりがちですが、できるだけむずかしい言葉を除いて解説するため、正確な言い回しとなっていない点はご了承ください。

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