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有責配偶者はいつまで離婚をすることはできないのでしょうか。

有責配偶者はいつまで離婚をすることはできないのでしょうか。

有責配偶者から離婚が認められるかどうかは、
①夫婦の別居が両当事者の延齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、
②未成熟の子が存在しないこと、
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛烈な状況におかれるなど、
離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するという特段の事情が止められないことという3つの要素から検討がなされます。

通常は、有責配偶者であった場合には、6~8年程度の別居期間が必要とは言われています。
しかし、未成熟の子がいない場合や婚姻期間が短い場合には、より短い期間でも認められることがありえるでしょう。
また、双方に有責性があるとして、有責配偶者からの離婚請求とまではいえない場合には、そもそも有責配偶者からの離婚請求とまではいえないとして、比較的短期間の別居であったとしても、客観的にみて婚姻関係が破綻しているとして、で離婚が認められる場合もあり得るでしょう。

1 有責配偶者とは

有責配偶者とは、婚姻関係の破綻について専ら生み出した配偶者のことをいいます。
典型的には、不貞行為、浮気行為を行った配偶者や家庭内暴力などを行っていた配偶者などは有責配偶者といえる可能性があるでしょう。
また、虐待や重大な侮辱など、夫婦間の婚姻義務に違反する行為があった場合には、有責性があるといえるでしょう。
しかし、婚姻関係の破綻について、双方の同程度の責任があるとされる場合には、有責配偶者とは認められないことがあるでしょう。

2 有責配偶者からの離婚請求について

従来は、有責配偶者からの離婚請求については、原則として認められないと解されてきました(最判昭和27年2月19日)。

しかし、婚姻関係の実態が喪失しているにもかかわらず、婚姻関係が破綻している場合には、離婚を認めるべき場合が存在するといえるでしょう。
最高裁判例昭和62年9月2日によれば、夫婦が長期間別居し、客観的に婚姻が回復不可能な状態に達し、すでに破綻したと認められる場合には、原則として離婚を認め、有責配偶者からの離婚請求が信義誠実の原則に反し許されないときには、離婚請求を棄却すべきとの判断としました。
検討すべき要件として、
① 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
② 夫婦の間に未成熟の子が存在しないこと
③ 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれるなど離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められないこと
を行います。

3 長期間の別居とは何か

別居期間については、10年を超える場合には、年齢や同居期間との対比等を検討せずとも長期間と判断されることがあり得ます。

有責性が高い場合や婚姻期間が長い場合については、10年程度の別居期間を検討するとよいでしょう。

別居期間と同居期間との対比を行う、有責性の程度を検討するなどして、6~8年程度の別居となっているのかを検討していくこととなるでしょう。

4 有責配偶者であった場合にはどのように離婚を進めていくべきか。

(1)有責性が立証できるのかを確認しておきましょう。

有責配偶者であった場合には、どのように離婚を進めていくべきなのでしょうか。
まずは、証拠によって有責配偶者といえるかを検討していくとよいでしょう。
不貞行為といったことについては、写真や調査報告書などにより立証ができているのかを確認しましょう。

(2)相手方にも有責性がないかを主張していくことがあり得ます。

有責性の立証が十分でない場合や双方に有責性がある場合には、離婚を進めていくことが可能な場合があり得ます。
相手方にも婚姻関係を破綻させるような証拠がないかを確認しておきましょう。

(3)協議離婚によって離婚合意を行う

協議離婚によって解決ができないかの検討をしましょう。
協議離婚の場合には、合意が成立すれば離婚をすることができます。
先に離婚合意を得ておくなど、協議離婚で離婚をすることができないかを検討しておきましょう。

(4)調停・訴訟離婚について

有責配偶者であった場合には、別居期間が上記のような一定期間を確保していないと離婚が難しいと判断されることがあり得ます。
もっとも、調停、離婚訴訟を行っている間に、1~2年程度かかることがあり得ます。
協議段階で別居時間がかかっている場合には、有責性の程度や他の婚姻関係などを踏まえて、離婚を求めることがあり得ます。

5 まとめ

有責配偶者からの離婚が直ちに認められるかについては難しい部分があります。
離婚するまでの間に婚姻費用が問題となるなど、費用などが掛かってくることもあるでしょう。
弁護士に相談をして、離婚に向けてのプランを立てていくことが大切となりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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