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略式命令とは何でしょうか。罰金の納付期限はいつとなるのでしょうか。

略式命令とは何でしょうか。罰金の納付期限はいつとなるのでしょうか。

略式命令、略式手続きでは、在宅事件における検察庁で直接仮納付を行う場合には検察庁に出頭した日時に罰金相当額を納付することとなりますが、郵送形式が取られた場合には、略式裁判の確定、検察庁からの納付告知書の送付などで一定程度の時間がかかることがあります。きちんとした納付を踏まえて、罰金相当額を用意しておくとよいでしょう。

1 略式命令とは何か。

略式手続とは、簡易裁判所が管轄する程度の事件について、検察官の請求によって100万円以下の罰金または科料を科す手続きをいいます。

犯罪をしてしまってもすべての事案で裁判所での公開の裁判を受けるわけではありません。
これは軽微な案件まで公開の法廷に立たせることは負担が大きすぎること、事実関係に争いがない事件の場合には、迅速に手続きを行うことができることから、簡易な訴訟手続として、略式手続として罰金の納付を命じる手続きが存在します。

刑事訴訟法461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

刑事訴訟法461条以下には略式手続に関する規定がおかれています。

2 略式手続の流れ

(1)検察官が書面で略式命令の請求を行う。

略式裁判を行うためには、検察官が、裁判所に対して裁判を求めるとともに、略式命令の発布を書面にて求めることとなります(462条)。

検察官が略式命令の申立てを行う場合には、事前に、被疑者に対して、略式手続きという制度を理解してもらうために必要な事項の説明がなされることとなります。

刑事訴訟461条の2では、検察官は、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の裁判手続きを受けることができる旨が告げられ、略式手続によることについて異議がないかどうかを書面で確認されることが定められています。

(2)略式命令の発令について

略式命令では、罪となるべき事実、適用して法令、略式命令の告知があった日から14日以内に正式再案の請求をすることができる旨の記載がなされています(464条)。

実際には、検察官は、被告人を検察庁の庁舎内に在庁させて略式命令を請求し、即日に、略式命令が発令されたのを受けて、裁判所に被告人を連れていき、裁判所から被告人に略式命令謄本の告知がなされるという「在庁略式」といった形式でなされることが多くあります。

(3)逮捕勾留がなされている場合(身柄事件の場合)

逮捕・勾留がなされており、身体拘束を受けている場合には、略式命令謄本の送達(甲府送達)と同時に釈放がなされることとなります(345条)。

刑事訴訟法345条 …刑の全部の執行猶予、…、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。

罰金については、略式裁判が確定した後(刑事訴訟法470条)、すなわち、正式裁判の請求期間(14日以内)が経過したあとに、罰金の納付が求められることとなります。

略式裁判が確定しますと、刑の執行を受けて、検察庁から「納付書(納付通知書)」が送付されてきます。

納付書が送付されてきた場合には、おおよそ10日ほどで納付期限が定められることが多いでしょう。

場合によっては、検察庁から略式命令を受けるといわれてから納付までの期間が1か月程度かかる場合がありますので、一定程度時間がかかる場合があることを注意しておくとよいでしょう。

検察庁の徴収係の窓口にて直接罰金を収める場合や納付書で利用ができる金融機関で罰金を収めることとなります。

(4)在宅事件の場合

逮捕・勾留(いわゆる在宅事件について)がなされていない場合には、略式命令については、裁判所か略式命令書が本人の自宅に郵送の方式で送付されることがあります。

在宅事件においても、在庁略式の形式をとり、検察庁に呼び出され、予定された罰金を当日に用意して納付手続まで行うといった流れをとることがあります。

本来は、判決が確定しない限りは刑事罰を執行することはできませんが、罰金の仮納付によって、当日のお金を収める場合があります。

在宅事件で在庁略式の形式となる場合には、納付期限は、仮納付として、略式命令を受ける日時ということとなるでしょう。

刑事訴訟法348条 ① 裁判所は、罰金、科料又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
② 仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。
③ 仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。

(5)罰金を支払うことができない場合には

略式命令について、罰金をどうしても一括で納付することができない場合には、一部について分納をすることを申し出ると、徴収担当者がやむを得ない事情があるのかどうかを調査し、検察官の許可を受けて分納が認められることがあるといわれています。

徴収事務規程16条(一部納付の申出等)

第16条 徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があった場合において,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,一部納付願を徴して検察官の許可を受けるとともに,検察システムによりその旨を管理する。
2 徴収金が送付された場合において,その金額が納付すべき金額の全部に満たないときも,前項と同様とする。ただし,この場合において,やむを得ない事情があるときは,一部納付願はこれを要しない


罰金の支払いができない場合には、労役場留置といった手続きが取られることとなります。

罰金刑を収めることができない場合には、1日あたりの金額(例えば1日5000円と評価をして)に応じて、労役場留置にて労務に服することとなります。

罰金の支払い期限が経過したからといって直ちに収監されるわけではありませんが、罰金をどのようにして用意をするのかを検討しておくとよいでしょう。

3 略式命令の効力

(1)正式裁判を求める場合には

略式命令は、早期に事件の終結・身体の解放を受けるというメリットがあり、不起訴処分が見込まれない場合には、略式命令を求めていくといったことが考えられるでしょう。

もっとも、事実関係で争いがない事件であることが前提となっていますので、やはり事実関係について争いがあった場合には、正式裁判を求めることがあります。

略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができることとなります。

正式裁判の請求は略式命令を受けた裁判所に対して書面にて行うこととなります(465条)。

刑事訴訟法465条 略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
② 正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。

(2)罰金を納付した場合にも前科はつくこととなります。

前科とは、有罪判決により刑が言い渡された事実をいいます。略式裁判を受けた場合でも有罪判決に変わりはありませんので、前科がついている状態ということができます。

なお、前歴とは、警察や検察などの捜査機関によって被疑者として捜査の対象となったことをいいますので、略式手続が取られている段階にて、前歴はついている状態となっています。

4 刑事事件については弁護士に相談を。

刑事事件については、示談交渉、再犯防止のために積極的に活動をしていかなければより重い刑事罰が科される恐れがあり得ます。
刑事事件については、迅速な対応が不可欠となるますので、できるだけ早い段階で弁護士に相談をしていくとよいでしょう。
天王寺総合法律事務所では、刑事事件、少年事件に取り組む弁護士が所属しておりますので、刑事事件に関するご依頼はぜひお気軽にお問合せください。

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