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子どもが突然逮捕されました。面会をすることはできないのでしょうか。

子どもが突然逮捕された場合、面会をすることはできないのでしょうか。

子どもが突然逮捕された場合には、逮捕の期間(72時間)には面会をすることができない状態となってしまいます。また、その後も勾留(10日、最大20日間)や勾留に代わる観護措置(10日)、家庭裁判所送致後の観護措置(4週間程度)など面会はできるものの、会う時間が限られてくるといった場合があるでしょう。
少年事件では、早期に弁護士をつけて、アドバイスを受けて進めていくことが大切となりますので、お近くの少年事件を取り扱いを行っている弁護士にご依頼をさせることをオススメ致します。

このページでは、子どもが逮捕されてから少年審判までの流れを解説させていただきます。

1 子どもが逮捕されてからの流れ

子どもに対する事件については、いくつか流れがあります。
この逮捕されてからの流れとしては、逮捕、勾留、少年鑑別所、少年審判との経過をたどった場合について紹介をさせていただきます。

① 逮捕 (警察署) (48時間)
    ▼
② 検察庁
・勾留請求を行うのか。
・勾留に代わる観護措置決定を行うのか。
・勾留を行わず家庭裁判所に送致を行うのか。
を決める。
   ▼
③・勾留の場合(警察署 最大20日間)
 ・勾留に代わる観護措置決定(少年鑑別所 最大10日間)
    ▼
④ 家庭裁判所への送致 
    ▼
⑤ 観護措置(少年鑑別所)(通常4週間、最大8週間)
    ▼
⑥ 少年審判(家庭裁判所)
    ▼
⑦ 保護処分(少年院送致、児童自立支援施設送致、児童養護施設送致、保護観察など)

2 逮捕はどのような場合になされるのか。

子どもが犯罪をしたかどうかが疑われて、逮捕される場合には、通常の刑事訴訟法に基づいて逮捕がなされることとなっています(少年法40条)。

逮捕には、
・令状逮捕:裁判所が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があり、逮捕の必要性がある場合に令状によって逮捕をする場合です。
・緊急逮捕:死刑、無期、もしくは長期3年以上の懲役、禁固にあたる罪を犯し、罪を犯したことを疑るに足りる十分な理由があり、令状を入手する時間的余裕がない場合に、行う逮捕手続きです。
・現行犯逮捕:現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者、血痕など犯罪の顕著な証拠 が残っているなど一定の理由があり、罪を行い終わって間もないと認められる場合に、現行犯で逮捕される場合をいいます。

逮捕をされると、警察は、原則は48時間以内に、検察官に送致がなされます。
事件の送致を受けた検察官は、
・24時間以内、勾留請求を行うか
・勾留に代わる観護措置を行うか
・家庭裁判所に送致を行うか
を決定していくこととなります。

逮捕をされている期間は、ご家族であっても、72時間(3日間)は、子どもとの接見をすることはできない点に注意が必要です。

ポイント
少年事件でできるだけ早期に弁護士を接見させる意味とは?

子どもの事件では、できる限り早期に弁護士の接見の依頼をされるとよいといわれています。これは、子どもは未熟で、被暗示性、迎合性が高く、取調べを受けるとその事実を認めないといけないのかと思い込んでしまい、自分の意思に反する供述調書が作成されることがありえます。供述調書において一度認めてしまったものをのちに覆すことは難しいことがあります。子ども自身が自分の意見をしっかりと反映させるために、弁護士と早期に接見をしていくことが大切と言われています。私選弁護人であった場合には、ご家族からの伝言などを伝えることもでき、不安な状態にいる少年にとって大きな助けとなってきます。

3 勾留決定、勾留に代わる観護措置について

(1)勾留とは何か。

勾留とは聞きなれない言葉であるかもしれませんが、逮捕よりも長期間の間、被疑者等の身体を拘束する手続きであると思ってください。

勾留は、原則10日間、勾留の延長がなされた場合には、最大20日間の警察署などの施設において引き続き身体拘束を受けることとなってきます。

勾留については、接見禁止措置が取られていない間は、ご家族は留置施設の条件に従って面会を行うことができます。

面会の時間の制限や警察官の立ち合いがあるものの、現在どのような状況なのかの会話をすることができます。また、本や便箋など差し入れが可能な物などがあります。便箋を入れておくことで、手紙でのやり取りができるようにもなるでしょう。

弁護人を依頼し、勾留に不服がある場合には、勾留に対する準抗告の申立てなどを行うことがあります。勾留については、罪証隠滅のおそれがあるのかを検討されますので、これまでの捜査状況から罪証隠滅がなされる客観的可能性などを主張していくことが大切となるでしょう。

なお、逮捕をされたものの、勾留がなされることなく、身柄が解放されることもあります。
しかし、身柄が解放されたからとしって事件についてお咎めがなくなったわけではない点に注意が必要です。

子どもの事件、少年事件は、全件送致主義(少年法41条、少年法42条)がとられています。犯罪の嫌疑があった場合には、すべての事件が家庭裁判所に送致がなされますので、家庭裁判所における審判について準備を進めることが必要となってきます。

家庭裁判所での少年審判において、少年を裁判所などの機関により保護の必要性がないことを準備するため、弁護士に環境調整、被害弁償などを依頼していくとよいでしょう。

(2)勾留に代わる観護措置(少年法43条1項)

検察官は、子どもの起こした事件について、裁判官に対して、勾留の請求に代えて、少年鑑別所において、観護措置が取られることがあります。
実務上は、京都などを除いて、勾留に代わる鑑別措置が取られることは少ないこととなります。

勾留に代わる観護措置が取られる場合のほとんどは、少年鑑別所に収容されることとなります。

勾留に代わる観護措置の期間は、10日間で、延長はできないこととなっています(少年法44条3項)。

勾留に代わる観護措置の場合には、職員の立ち合いのもとに、家族との面会が認められることとなります。

面会ができる日時、時間(15分程度)などには制限がありますので、予め確認をしておくとよいでしょう。
観護措置が取られている施設、少年鑑別所などに問い合わせを行い、面会の時間などを確認するとよいでしょう。

4 家庭裁判所への送致

(1)家庭裁判所に送致から観護措置について

捜査機関は、家庭裁判所に充てて、送致書を送付することで行われます。
家庭裁判所に送致されると、送致書と共に捜査機関で収集した書類や証拠物などが家庭裁判所に送付されることとなります。

家庭裁判所に送致された日には、家庭裁判所において、子どもに対して観護措置を行うのかどうかが決めることとなります。

家庭裁判所においては、観護措置決定に先がって審問という手続きが行われ、子ども自身からの聞き取り、ご家族からの聞き取り、付添人の意見などを踏まえて、観護措置をとるかどうかが決まります。

観護措置が取られなかった場合には、一時帰宅として、自宅に帰り、その後、家庭裁判所からの調査、審判を受けることとなります。

観護措置決定がなされると、子どもはそのまま家庭裁判所から少年鑑別所に主要されることになります。

(2)観護措置とは

観護措置とは、
① 少年が事件を引き起こした原因は何か、家庭環境、生活環境を少年鑑別所にて心身のチェックしていく手続きとなります。
心理テスト、行動状況、少年鑑別所の心理技官、家庭裁判所調査官などから質問、聴取を受けることで、何が非行の原因なのか、子どもが抱えている問題について調査を行うこととなります。
② 少年鑑別所において、おおむね4週間、最大8週間過ごすこととなりますので、事実上は身体拘束を受けている状態となります。
③ 少年鑑別所においては、面会をすることはできますが、日時、時間には制限がありますので、鑑別をうける施設に確認をしておくとよいでしょう。

これまで在宅事件として、身体拘束を受けずに進めてきた事案においても、少年の心身鑑別の必要性があるとして、観護措置決定が取られることがあり得ます。

(3)鑑別措置に対する不服申立てについて

少年鑑別所は、少年に対する処罰として入れられる施設ではなく、少年の心身、環境の状況を把握し、非行を起こす原因の解消、家庭環境、生活環境、本人の資質などを調べてものですので、観護措置のすべてが子どもにとって好ましくないとは限らない場合があります。

子どもによって個々に異なる非行の原因を把握するうえで有益な場合も存在します。

一方で、家庭内での更生が十分に可能な場合、観護措置の必要性が低い場合などを主張し、観護措置に対する異議申立て(少年法17条の2)、観護措置の取消し(少年法17条8項)を行うことがあり得ます。

観護措置取消しの申立てには、前歴がなく、身体拘束によって家庭裁判所での処分の可能性が高い場合などに申立てを行うことが考えられます。

5 少年審判について

(1)家庭裁判所において少年審判について

少年審判では、家庭裁判所での審判廷で行われることなります。
審判には、家庭裁判所の裁判官、裁判所書記官、家庭裁判所調査官、少年本人、少年の保護者、付添人がついている事件では付添人が出席します。

少年審判においては、審判の期日までの家庭裁判所調査官の調査報告書、付添人の意見書、鑑別結果通知書、法律記録、社会記録などの各種の記録、審判期日における少年、保護者への質問などにおいて判断がなされていくこととなります。

審理の対象としては
① 非行事実があるのか
② 少年の要保護性があるのか
どうかが判断されることとなります。

(2)少年審判の期日の進め方について

少年審判では、裁判官の裁量が大きいものとなっています。
少年法の規定は、審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対して自己の非行について内省を促すものとしなければならないとされています。

審理の時間は概ね45分から1時間程度であることが多いでしょう。

① 人定質問・黙秘権の告知
       ▼
② 非行事実の告知とそれに対する少年、付添人の陳述など
       ▼
③ 非行事実の審理
       ▼
④ 要保護性の審理
       ▼
⑤ 調査官・付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
       ▼
⑥ 決定の言渡し

がなされることとなります。
子どもに対する質問と親権者などの保護者に対する質問が主たる内容となるでしょう。

(3)審判期日における決定について

家庭裁判所では、終局決定がなされる場合と中間決定がなされる場合とがあります。
ア 保護処分
① 保護観察(少年法24条1項1号)
② 児童自立支援施設または児童養護施設送致(少年法24条1項2号)
③ 少年院送致(少年法24条1項3号)
イ 児童福祉手続きとして、児童相談所長送致(少年法18条1項)
ウ 刑事手続きとして、検察官送致
エ 不処分 保護処分に付すことができないとき、付する必要がないとき(少年法23条)
オ 試験観察(中間決定・少年法25条)

といった種類があります。
終局処分が保護処分(保護観察、児童自立支援施設、児童養護施設送致、少年院送致)、児童相談所送致、検察官送致、不処分があります。
中間決定として、試験観察(試験観察は家庭裁判所で終局処分をいったんは留保し、少年の生活態度を相当期間、家庭裁判所調査官として観察に付すこととなります。)

試験観察となった場合には、通常は3~4か月、長い案件では、半年から1年程度となります。大阪ではあまり試験観察となりにくく、否認事件ではない場合には、1回目の期日で終局処分までが決まることが多いでしょう。

6 まとめ

子どもが逮捕された場合には、当初はご家族でも面会はできず、少年は自分自身の主張をしっかりと伝えることが難しいこととなります。緊急接見対応など弁護士に接見を依頼をされるとよいでしょう。
また、今後の展開として、最終的には家庭裁判所に送致を受け、家庭裁判所で審判を受ける可能性があります。家庭裁判所の審判に向けては、できるだけ早期、弁護士、付添人を選任して、審判に向けての活動をしていくとよいでしょう。
天王寺総合法律事務所では、刑事事件、少年事件に取り組む弁護士が所属しておりますので、子どもが逮捕されたなどのご事情があり弁護士が必要な場合にはぜひお問合せください。

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