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【判例・裁判例の解説】内縁関係を破棄にて慰謝料300万円の事案

【判例・裁判例の解説】内縁関係を破棄した男性に対して慰謝料300万円が認められた事例

内縁破棄がなされた場合には、慰謝料は認められるのでしょうか。

認められるとすればいくら程度が認められるのでしょうか。この記事では、京都地方裁判所平成4年10月27日判決にて、内縁関係の不当破棄に慰謝料が認められた事案を紹介していきます。

内縁関係で悩みの方はぜひご参考にしてください。

京都地方裁判所平成4年10月27日判決

事案の内容

原告は、当時未成年(19歳)であり、専門学校の学生の頃には、被告の男性に妻がいることを知っていた。
原告は、被告からは妻とは別れるという言葉を信じて交際し、妊娠をした。
原告と被告とは内縁生活に至り、子どもを出産したが、その出産直後に分かれるに至った。
同居期間は2か月であった。
このような内縁関係の不当破棄を理由とする慰謝料については、300万円及び弁護士費用30万円の損害を認める判断がなされました。

判決の内容

認定事実に基づき検討するに、
・被告は、妻子があるにもかかわらず、当時19歳で未婚の原告に対し、
・妻とは別れると言いながら交際を重ね、
・妊娠させた上
・いったんは原告と内縁生活に入り、
・子を出産させたが、
・その出産直後に、一方的に別れたものであって、
原告及び子どもの今後の生活等を考えると、被告が原告に与えた精神的苦痛は大きいものがある。

他方、原告は、被告に妻子があるのを知りながら同人と交際したものであって、
・被告の離婚する旨の言動を信じていたとはいえ
・このような結果になったことについて、原告にも幾分か責任があることは否定できない。
これらの事情のほか、原告の年齢、両名の内縁生活の期間等を総合して判断すると、
原告の精神的損害に対する慰謝料としては、300万円の損害賠償請求を認めるのが相当であると判断をしました。

1 不貞行為があったとしても内縁破棄による慰謝料請求が認められる場合がある

内縁とは、婚姻の社会的実体はあるが婚姻届の出されていない男女関係のことをいいます。
内縁関係の成立については、婚姻の意思と夫婦共同生活が存在していなければなりません。

法律上の妻がある男性が婚姻意思を有しないで、外の女性と愛人関係を結んだ場合や婚姻生活があっても共同生活の実体がない場合には、内縁関係といえるかに争いがあります。

本件では、婚姻意思を有していたこと、2か月という期間であっても、共同生活の実体が存在していたことから内縁ないし事実婚として法律上保護に値する利益があったと判断されたものであると考えられます。

そして、内縁の効果としては、同居協力義務、貞操義務、婚姻費用分担、日常家事連載債務、離婚の際の財産分与が認められると考えられています。

内縁関係の解消について、内縁関係破綻の現認が男性側にあったのであれば、内縁関係の不当な破棄として慰謝料請求が認められる場合があるでしょう。

今回の事案では、女性側が不倫関係であったことは知りつつも、未成年者であり、離婚して、結婚するという言動を信じて、子どもの妊娠、出産し、同棲に至っていたことから、慰謝料の金額として300万円を認容するといった事案となったようです。

2 内縁破棄の慰謝料の相場について

内縁破棄の慰謝料の相場としては、100~200万円と言われていますが
現実には事案によって異なることとなります。

慰謝料とは、精神的損害に対する金銭的評価を行うものであるため、事案の経緯、不法行為の内容などによって大きくことなってきます。

① 内縁関係に至る経緯
② 内縁関係の期間
③ 破棄に至る経緯
④ 破棄に正当な理由があるか
⑤ 不貞行為の有無、程度
⑥ 子どもの有無
⑦ 双方の年齢、社会的地位
⑧ 内縁破棄後のそれぞれの経済状況
などを踏まえて判断がなされることとなるでしょう。

内縁関係の期間が長い場合や破棄に至る経緯、正当な理由がない、子どもがいる等の案件では高額な慰謝料請求が認められることとなるでしょう。

内縁期間が長期間にわたる場合には、財産分与なども考慮しなければならないでしょう。

実際の事案においてどの程度の損害賠償を請求していきたいのか、他の事案からいくら程度であれば認められるのかを弁護士とよく相談をしておくとよいでしょう。

仮に判例の事案のように不貞行為自体があった場合には、配偶者より不貞行為に基づく損害賠償請求権がなされることも予想されます。
生まれた子どもの養育費などの対応もしなければなりません。

事案の解決にむけてどのように進めていくのかと検討しておくとよいでしょう。

3 内縁の不当破棄による慰謝料請求については弁護士に相談を

不法行為に基づく損害賠償請求については、
① 内縁関係の成立
② 不当破棄など不法行為該当性
についての立証が必要となってきます。

法律上の夫婦ではないとしても、夫婦婚姻生活を送る意思があるか、夫婦共同生活の事実があるのかをについて
・住民票の記載
・賃貸借契約書の記載
・健康保険の被扶養者
・給与明細書の記載
・事実婚証明書
・挙式の有無
・LINEやメールでのやり取り
・周囲の住民の陳述書
・会話の録音
などから立証していくことが必要となります。

不当破棄といえるのかについても、
不貞行為の有無、LINEやメールのやりとりなどから、どのような経緯により破棄がなされたのかを判断していくことが必要となるでしょう。

これらの証拠を収集、整理し、裁判所において主張できる形で整理していくことは相当負担が大きいものとなりますので、内縁関係の破棄、慰謝料請求、財産分与請求については弁護士に相談をして進めていくことをオススメ致します。

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