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夫が生活費を渡してくれなくて困っています。どうすればよいのでしょうか。

夫が生活費を渡してくれなくて困っています。どうすればよいのでしょうか。

【想定事例】
夫の帰りがだんだんと遅くなり、普段はおしゃれに無頓着だったのがこだわるようになる。おしゃれなパンツを買うようになる。仕事に行くときにウキウキしていくなど様子が変わってきました。おそらくは、夫が浮気をしているようなのですが、明確な証拠はまだつかめていません。そして、最近は、これまで家計を私が管理をしていたのを自分で管理すると言い出し、生活費として10万円を渡せば十分であるとして、生活費を渡してくれなくなりました。夫の年収は相当程度あるのですが、これだけあれば十分といって聞きません。家賃や子どもの学費などを払ったら食費を出すことも厳しいです。夫にきちんとした生活費を渡してもらうことはできないのでしょうか。

【弁護士の回答】
① 浮気、不倫を行っている疑いがある場合には、証拠がないかどうかの調査を行っておきましょう。もし、今後、離婚となった場合に向こう側に有利に進めないようにするためには、証拠があることが大切です。

② 生活費については、婚姻費用分担として、いくらの金額を支払ってもらえるのかが問題となってくるでしょう。それぞれの総収入とこれまで渡してもらっていた費用を算定して、夫婦婚姻生活を続けるうえでどれだけの金額が必要なのかを伝えていくことが大切です。
 協議が整っていかない場合には、婚姻費用、養育費の算定表を修正した上で、同居中の子人費用分担請求を行っていくことを検討しましょう。

③ 将来にわたって、婚姻生活を続けることができるか不明の場合には、財産分与、親権などの紛争に備えて準備をしておくことが大切となるでしょう。

1 同居中の婚姻費用分担を請求することはできるのか。

 民法760条は、夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮した上で、婚姻から生じる費用を分担することができることが定められています。これは、夫婦となった場合には、同居、協力、扶助の義務を負い、夫婦共同生活から発生する費用をそれぞれの収入に応じて負担をしなければならないこととなります。未成年の子どもの生活費や医療費、教育費などは婚姻費用に含まれることとなります。

 多くの案件では、離婚までの別居期間の間に、婚姻費用分担を求め、婚姻費用の支払いを求めていくといったパターンが多いでしょう。では、別居ではなく、同居の場合でも婚姻費用を支払ってもらっていない、十分に支払ってもらえなくなったとき分担を求めていくことはできるのでしょうか。
 この点、民法は夫婦共同性生活として自己と同一の生活を保持させる費用を分担することを定めており、最低限の生活費を支払えばよいのではなく、収入、資産に見合った金額を負担することが必要となります。

2 具体的な金額について


 
 婚姻費用の分担の金額については、当事者の合意やそれぞれの夫婦の収入、資産から決定されることとなります。具体的な金額の算定については、養育費・婚姻費用算定表(東京・大阪養育費等研究会「簡易迅速な養育費等の算定を目指して―養育費・婚姻費用の算定方式と算定法の提案―」といった研究によって金額が示されることとなりました。
 令和元年には、現在の社会情勢を踏まえて、金額などが修正された算定表が公表されています。

 それぞれの権利者、義務者の総収入を認定し、算定を行っていくこととなります。
 もっとも、算定表も別居時を想定しているため、同居の場合にも同様の金額となるわけではない点に注意が必要となります。
 同居をしている場合には、権利者が実際には支払っていない特別経費があるために考慮されている特別経費を控除するといった方法や同居することによって義務者が支払うこととなっている費用を控除するといった方法があり得るでしょう。
 具体的な金額については、個別の事案によって算定をしていくこととなるでしょう。

3 婚姻費用分担の調停について

 婚姻費用を支払ってもらえない場合には、まずは法的に支払義務があることを踏まえて、協議によってきちんと支払ってもらうことが大切となります。夫婦といえども細かい家計を相互に理解できていないことがあり得ます。生活をするためにはこれだけのお金がかかること、子どもにはこれだけのお金がかかることなどきちんとした明細を示すことで、生活にはこれだけのお金が必要であるといったことを説得していくことも大切です。
 多くの離婚紛争においては、妻がお金を使い込んでいるといった主張がなされても十分に家計支出を把握できていないといった場合もあり得ます。
 したがって、共同で夫婦生活を送っている中では、それぞれのお金をきちんと話し合いをして示し、相互に理解をしておくことが大切となってくるでしょう。

 それでも、生活費を渡してもらえない場合などには、婚姻費用分担の調停を申し立てて、家庭裁判所によって定めることが考えられます。家庭裁判所での調停を申し立てることで、調停委員という第三者が入ったところで、婚姻費用についての話し合いができます。第三者が入ることで一方的な言い合いにならないことのメリットや家庭裁判所に生活費を適切に渡していないと判断されたくないために、一定の譲歩を得ることができることがあるでしょう。
 もっとも、家庭裁判所における婚姻費用の算定を行う場合には、実際に受け取る金額が増えるかわからない点に注意は必要です。それぞれの収入と資産から婚姻費用を定めいくことを踏まえると必ずしもすべての案件で算定表での婚姻費用が現在もらっているわけではない場合があることがあり得ます。

4 浮気の証拠収集、離婚となった場合のプランも

 浮気が疑わる場合には、浮気を止めるために何をするべきなのかいったことも検討しなければなりません。浮気の証拠と不倫の相手方を見つけ、慰謝料請求などを行っていくことで別れてもらうといったこと等も考えられるでしょう。
 もし、離婚の可能性があるのであれば、離婚に向けて、親権、財産分与、慰謝料、年金分割など検討すべきことは多岐にわたります。もし今後の離婚に至る可能性があるのであれば、離婚に向けてのプランニングや生活再建に向けてのプランを考えておくとよいでしょう。

5 離婚、浮気、婚姻費用の紛争については弁護士を

 離婚や浮気、婚姻費用については、様々な事項が問題となってきます。また、十分に準備をしていない中で離婚となると大きく損としてしまう危険性が存在します。そこで、早期に弁護士に相談、依頼をして進めていくことをお勧めいたします。天王寺総合法律事務所では、離婚問題に強い弁護士が所属しておりますので、ぜひお気軽にご相談をください。

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