【天王寺の弁護士が解説】離婚の段取り、手順はどうすればよいのでしょうか。
離婚の段取り、手順はどのようにすればよいのでしょうか。
統計では、離婚の圧倒的多くは、協議離婚で解決されますので、当事者の話し合いで進めることが多くあります。
そこで、協議離婚で決めておくべきことを確認しておくとよいでしょう。
1 協議離婚について
(1)離婚の解決の流れ
離婚とは、夫婦関係を解消することをいいます。法的な離婚手続きとしての流れには
① 協議離婚
② 調停離婚
③ 裁判離婚(審判離婚)
の方法があります。
当事者で協議離婚にすることに合意をして、離婚届を出すことで離婚に至ることが圧倒的に多いでしょう。
離婚届を出す場合には、親権者については定められることとなります。
離婚においては、財産分与、面会交流権、養育費、慰謝料、年金分割などについては定めなくても離婚届を出すことができます。
離婚の段取りとしては、
まず、離婚に合意ができるかどうかを考えましょう。
離婚の合意ができる場合には協議離婚、調停離婚を行い、
離婚の合意ができない場合には裁判離婚を行っていくとよいでしょう。
また、離婚条件について考えておきましょう。
① 親権者・監護権者
② 財産分与
③ 慰謝料
④ 養育費
⑤ 面会交流
⑥ 年金分割
そして、離婚後の生活設計を立てて負いましょう。
離婚後の生活設計について、住所、収入をどのようにするのかを検討しておきましょう。
(2)離婚条件について定めるべきこと
法律の立場では、離婚条件で定めるべきことには
① 親権者・監護権者
② 財産分与
③ 慰謝料
④ 養育費
⑤ 面会交流
⑥ 年金分割
があります。
これらについては、親権者は、子どもの監護のために、定めなければなりません。
親権者とは、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、その子を代理して法律行為をする権利・義務を負うこととなります。
離婚届には、親権者を記載しなければなりません。
②財産分与については、離婚条件として必ず定めなければならないものではありません。
しかし、離婚においては財産分与が最も大きな金銭となりますので、離婚条件として定めるべきといえるでしょう。
財産分与には
・清算的財産分与:夫婦共同財産の清算を行い給付を行うものです。
・扶養的財産分与:離婚時に片方が困窮する場合に扶養として離婚給付を行うものです。
・慰謝料的財産分与:離婚が不法行為等に該当する場合に財産分与を行うものです。
離婚後2年以内には財産分与請求権がありますが、期限があること、証拠が散逸しているために具体的な金額を定めることには困難を伴います。
したがって、財産分与を行うにあたっては、離婚時に証拠を押させておくなど一定の準備をしておくべきでしょう。
③慰謝料については、離婚時にいつでも慰謝料の請求ができるわけではありません。
離婚原因、婚姻関係が破綻する原因に不法行為があった場合には、不法行為に基づく慰謝料請求としてはじめて請求ができるものです。
離婚原因として慰謝料責任を負うものとしては以下のようなものがあります。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・性交渉の不存在
・暴行行為
・生活費の不払などがあります。
慰謝料については、不法行為に基づく損害賠償請求権であるため、離婚と共に行わなくても請求ができます。
④養育費については、それぞれの基礎収入から、養育費・婚姻費用算定表などを用いて、金額を算定することとなります。
養育費については、子どもの成長のために利用するお金であるため、離婚後に支払われない場合には、子どもの福祉に利益に反する場合があり得ます。
離婚後にも養育費の支払いを求めていくことは可能ですが、過去の養育費が認められるかどうかには争いがあること、強制執行ができない状態となってしまうため、公正証書、調停調書などを作るなどするとよいでしょう。
したがって、養育費については、離婚条件でしっかりと定めておくべきとなるでしょう。
⑤面会交流権については、父または母が子どもと面接し、もしくはそれ以外の方法で親子として交渉する権利を言います。
離婚後には、子どもの福祉として、子どもの面会交流を行っていくことがあります。
面会交流については、子どもの福祉のために行われるものである一方で、離婚後には実施していくことが難しいことが多くあります。
したがって、離婚前に条件について一定程度話し合っておくべきこととなるでしょう。
⑥年金分割については、平成20年4月以降に、配偶者の一方が第3号被保険者であった期間について、保険料納付実績の2分の1を分割を行うことができます。
3号分割については、当事者において合意する必要はなく、請求をすれば、2分の1の割合で分割されることとなります。
もっとも、平成20年4月以前において、年金の分割をする場合には、合意分割となります。
(3)離婚条件については書面、公正証書を作成しておきましょう。
① 合意事項ごとに書面をまとめておきましょう。
離婚条件について一度にすべての話し合いを行うことは難しいこととなります。
② 離婚協議書の書面を作成しましょう
離婚協議書については、各離婚条件について署名、押印を行い、正式な離婚協議書を作成しましょう。
また、養育費などの将来の強制執行を行う場合には、強制執行文言付の公正証書の作成を合意しておきましょう。
③ 公正証書を作成する場合
公正証書を作成する理由としては、強制執行認諾条項を設けることで、不払いがあった場合には、相手方への資産を強制執行することができることがあります。
そこで、離婚協議書については将来の不履行に備えて、強制証書で作成することをオススメいたします。
・公証人役場に連絡、予約を取りましょう
・公証人と合意条項案を詰めておきましょう
公証人役場ではすぐに作成できるわけではなく、公証人役場で条項案をまとめていく、具体的な作成日程の調整を行うことが必要となります。
・公証人役場にて離婚公正証書を作成しましょう。
④ 離婚給付の実現を行っていきましょう。
・財産分与などにおいて不動産、自動車などがあった場合には登記変更手続き、名義変更 手続きが必要となります。
・子の氏の変更が必要となる場合には、変更手続きを行っておきましょう。
⑤ 社会保険等の手続きを行っていきましょう。
・年金手続きについては、被保険者種別変更届を出すなど、市区村長役場に相談をしておくとよいでしょう。
・医療保険について、各種市区村長役場、国民健康保険組合、年金事務所などについて確認しておきましょう。
・児童扶養手当、子ども手当、福祉手当については、各市区村長によって異なる場合があります。お住まいの地方自治体に確認をしておきましょう。
2 話し合いが決裂した調停離婚・裁判離婚を行うこととなります。
離婚条件について話し合いがまとまらない場合には、離婚調停、審判、裁判を申し立てることとなってきます。
離婚においては、様々な事項が問題となるため、ご自身で対応されると不利になってしまうおそれがありえます。
そこで、離婚問題に取り組む弁護士に相談しておくとよいでしょう。
天王寺総合法律事務所では、離婚問題対応を行っておりますので、ぜひ一度お問合せください。
大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。