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【大阪天王寺の弁護士が解説】離婚財産分与で借金はどうなるの?

【大阪天王寺の弁護士が解説】離婚財産分与で借金はどうなるの?

借金は、財産分与の対象となるのでしょうか。
債務であっても、夫婦共同生活の中で生じた場合には、財産分与の対象となりえます。
一方で、夫婦生活と無関係な多額の浪費であった場合には、財産分与の対象とならない場合があり得るでしょう。

【想定事例】


夫と平成13年に結婚し、なんとか結婚生活を送ってきました。
子どもが生まれ、正社員の仕事をやめ、私の収入はパートで仕事をするようになりました。
平成15年には、子どもが生まれたことを機会に、住宅ローンを組みました。
住宅ローンについては、徐々に返していくことができていましたが、夫の外泊が増えるようになりました。
どうやら浮気をしているようで、不倫相手に対する交際費や外泊などの消費者金融で多額の借金を作ってしまいました。
夫は浮気を認め、離婚について話し合いを始めたのですが、借金も財産分与で考慮されるべきだといわれています。
財産分与において借金は考慮されるのでしょうか。

【弁護士の回答】

1 財産分与では、名義のいかんにかかわらず、婚姻後に夫婦の協力によって取得した財産を清算することがメインとなります。
2 本来は、夫婦各自の借金は、各個人の借金であった場合の清算の対象とはなりませんが、夫婦共同生活を営む上で生じた債務について、日常家事債務の範囲を超えるものであっても、一定程度は財産分与で考慮されることとなるでしょう。
不倫相手との交際費や外泊など、共同生活を営む上で生じた債務でないことを立証できた場合には、財産分与の対象から除くべきと主張することがあり得るでしょう。
3 住宅ローンについては、夫婦の生活の拠点である住宅購入であるため、夫婦共同財産の取得・維持の経費であるため、夫婦共同生活を営む上で生じた債務であるとして財産分与で考慮されることとなるでしょう。

1 財産分与とは何か。

財産分与制度は、夫婦は共同して財産を形成していくことから、離婚をするときには、共同で形成した財産を清算を行うことがメインとなります。

離婚時の財産分与では、
① 夫婦共有財産の清算を行う(清算的財産分与)以外にも
② 離婚後の扶養の性質としての財産分与(扶養的財産分与)
③ 離婚に伴う慰謝料としての財産分与(慰謝料的財産分与)
④ 未払婚姻費用としての財産分与
といった性質のものが存在します。

本件のように浮気、不倫が認められ、財産分与でも借金を考慮する場合には、離婚に伴う慰謝料分を財産分与の中で考慮することもあり得るでしょう。

夫婦共有財産の清算を行う清算的財産分与では、婚姻後に形成した財産に対して2分の1が分与されるのが原則となります。
よほどの特殊な技能により収入が高額など特別な事情がある場合には、寄与割合が変わることも考えられますが、多くの場合には、2分の1として考慮されることが多いでしょう。

婚姻前から夫又は妻名義の特有財産については、夫婦での寄与が基本的にはないため、財産分与の対象にはなりません。

2 借金は財産分与で考慮されるかについて

東京地判平成11年9月3日では、債務について、夫婦共同生活の中で生じたものについては、財産分与に当たり、その債務発生に対する寄与の程度、受けた利益の程度に応じてこれを負担させることができるというべきであり、その負担割合については、財産形成に対する寄与の場合と同様、特段の事情がない限り、平等と解すべきとの判断がなされているものがあります。

財産分与は、夫婦共同生活で生じた財産を分けるものであるため、マイナスの財産である借金については、日常家事で必要なもの、子どもの学費、医療費など婚姻共同生活から生じたものについては、財産分与として考慮されることとなります。

実務の家庭裁判所においては、財産分与の一覧表などを作成し、プラスの財産からマイナスの財産を控除した財産を対象財産とすることとなります。

一方の多額の浪費などについては、夫婦共同生活にかかわるものでないため、財産として考慮されないとの主張が可能な場合があるでしょう。

しかし、現実にどこまでが夫婦共同生活に関係しない財産といえるかには問題があります。
クレジットカードの使用履歴などから明らかに夫婦共同生活と関連しない借金であればよいのですが、物品などであった場合には、夫婦共同生活と関連するものかどうかについて判断が難しいことがあり得ます。

貸金業者からのキャッシングであった場合にはどのような趣旨であったのかを立証することが難しいことがあります。
借金をしていても、家計に寄与の影響があったことはあり得るので、夫婦共同生活に関連するかどうかを判断することが難しい場合がるでしょう。

したがって、借金の内容、利用の性質について、踏まえて財産分与の対象となるのかを検討することとなるでしょう。

3 住宅ローンについて

住宅ローンについて、夫婦の生活のために使う借金であるため、通常は債務として考慮されることとなるでしょう。
住宅ローンについては、オーバーローンとなった場合には、負債額が資産額を上回っている場合には、財産分与の対象となる不動産がないとの判断がなさえることとなるでしょう。

そのため、形成した財産分与の対象財産がないため、財産分与請求権がないこととなります。

この場合には、マンションを売却して弁済するか、どちらかが居住して、ローンの支払いをするかなどを協議することとなります。

では、借金の返済義務を財産分与などによって負うこととなるのでしょうか。
あくまで住宅ローン債権者との返済義務は契約者が負っていることとなります。

当事者間の合意をして、負債を負うとの約束をするか、他の財産分与で考慮することで公平を図るという方法によって、考慮することとなるでしょう。

4 まとめ

借金、財産分与で揉める可能性がある場合には、浮気、不倫と離婚について弁護士に相談をしておくとよいでしょう。天王寺総合法律事務所では、離婚問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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