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婚姻費用の減額を弁護士に依頼することはできるのでしょうか。

婚姻費用の減額を弁護士に依頼することはできるのでしょうか。

婚姻費用の減額を弁護士に依頼することはできるのでしょうか。
どのような場合には、婚姻費用の減額ができるのか、事情変更として認められる場合はどのような場合なのかを解説させて頂きます。

婚姻費用の減額については、事情の変更が認められた場合に減額が認められることがあります。事情の変更といえるためには、判断の基礎となった事実関係について、
① 判断当時に当事者が予測することが不可能な事情であること
② やむを得ない事情の変更が発生していること
③ その事情の事情変更による婚姻費用による婚姻費用の変更が大きい場合には、
婚姻費用の減額が認められることがあり得ます。

失業、病気、事故、転職による昇給等により、収入が大きく減少した場合などは、養育費の減額が認められることがあり得ます。

もっとも、自らの意思によって定収入に甘んじているといった場合には、減額が認められないことがありえます。
例えば、歯科医が調停成立時には、病院勤務として月額6万円の合意をしたものの、その後退職し、大学の研究生として勤務しながらアルバイトをしているため、月額1万円へのげんがくを求めた場合には、自らの意思で低い収入に甘んじている場合には、減額が認められない事例があり得ます(大阪高裁平成22年3月3日決定)。

婚姻費用の減額を求めていくと同時に、既に別居期間が長期間に及んでいる場合には、離婚を求めていくといったことも検討されるとよいでしょう。
有責配偶者であったとしても、既に長期間の別居をしており、婚姻関係が破綻している場合には、離婚調停、離婚訴訟を行っていくことで、離婚に至ることができることがあり得ます。

婚姻費用の減額と合わせて、離婚に至る準備を進めておくことも検討しておきましょう。

(想定事例)

浮気を行い、別居を初めてすでに5年になります。別居時には、婚姻費用分担の調停を行って月額4万円を支払うことを約束していました。
継続的に支払いをしていたのですが、コロナの影響があって、会社の収入が大きく下がり、私の収入もこれまでの1/2程度になってしまいました。
また、残業もしないように言われているため、少しでも増やすことは難しい状態にあります。
転職や副業も考えていますが、副業は会社から禁止されており、転職市場も難しい状態です。
減額してもらえるように配偶者に連絡をしましたが、認めてもらえませんでした。
弁護士に頼んで、婚姻費用の減額を依頼できないのでしょうか。

弁護士の回答

1 やむを得ない事情変更の有無により判断される

当事者の自由な意思に基づいて婚姻費用に合意であるため、通常は当事者の合意が尊重されるのが原則です。
調停での合意がなされている場合には、決定された婚姻費用を一方的に削減するなどした場合には、給与の差押えなど強制執行を受ける危険性が存在します。
そのため、減額を行うにあたっては、当事者での合意や調停などにより減額金額を定めるとよいでしょう。
合意当時予測できなかった重大な事情の変更が生じるなど、金額の変更がやむを得ない事情変更として、
①債務名義作成当時に予測することが不可能な、
②やむを得ない事情変更が生じ、
③その事情変更による婚姻費用の変動が大きく、従来の債務名義を維持することが不合理、不公平である場合には、
事情変更により婚姻費用の減額が認められることとなります。

2 婚姻費用減額調停の申立て

婚姻費用分担の減額の申立てについては、相手方の住所地の家庭裁判所
又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てることとなります。

申立人 夫又は妻
申立先  
【調停】 相手方の住所地の家庭裁判所
     当事者の合意で定める家庭裁判所
【審判】 夫又は妻の住所地の家庭裁判所
     当事者が合意で定める家庭裁判所

婚姻費用減額請求の申立書を利用します。
申立ての趣旨、毎月金〇〇円に減額して支払う
申立ての理由に、
・同居・別居の時期
・婚姻費用の取決めについて
・婚姻費用の支払状況
・婚姻費用の分担の増額又は減額を必要とする事情
を記載することとなります。

申立書に付随して、婚姻費用分担の減額を必要とする事情について、従来の債務名義の内容、債務名義作成当時に前提とされている事実がその後どのように変化していったのかを主張、立証していくことが必要となるでしょう。

添付書類として、
・夫婦の戸籍謄本
・過去の調停調書など
・事情変更を裏付ける資料として
① 双方の収入資料
② 失業の原因、失業を示す離職票、失業保険の受給証明書
③ 病気、就業不能を診断書
④ 扶養義務者の増加、住民票、戸籍謄本などの資料
を用意することとなります。

収入印紙    1200円
予納郵便切手  連絡用の郵便切手として各家庭裁判所が定める金額を収めることになります。

婚姻費用減額についても始期については、請求の時からとされます。
内容証明郵便等により減額請求を行い、その配達記録を残していくことが必要となるでしょう。

金額については、それぞれの収入、資産などを踏まえて、定められていくこととなるでしょう。

3 注意すべき事項

(1)当事者の予測することが不可能なものであること

従来の婚姻費用を定める調停、審判において、一定の事情の変更が考慮されていることがあり得ます。
当事者において既に判明していた事情を前提として婚姻費用を定める場合には、原則として婚姻費用の減額が認められる事情変更であったといえない可能性があります。

家庭裁判所において主張する事情が、前の調停・審判によって考慮されていたかを検討しておきましょう。

(2)やむを得ない事情の変更であること

減額が認められるためには、事情の変更がやむを得ないものであることが必要であります。
婚姻費用の義務者として婚姻費用の支払いを免れるために自己都合で退職した場合や会社の役員報酬から自ら減額した場合には、減額理由として認められないことがあり得ます。

4 離婚調停・訴訟について

長期間の別居などになっている場合には、離婚原因となる可能性があります。
離婚原因は、婚姻を継続し難い重大な事由があることが必要となります。

浮気などの有責配偶者があった場合にも、将来にわたって離婚が認められないわけではありません。
・別居期間が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当な長期間に及ぶこと
・未成熟の子がいないこと
・相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛烈な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事の認められないこと
などの要件から検討がなされます。

別居期間が長期間にわたっている場合には、離婚調停、離婚裁判を進めていくことを検討しなければなりません。

離婚にあたっては、
・離婚原因
・離婚慰謝料
・財産分与
・親権者
・養育費
・面会交流
・年金分割
など考慮しなければならないことがあります。

5 減額が認められるかどうかについて弁護士と相談しておきましょう。

婚姻費用の減額が認められるか、将来の離婚に向けての戦略として弁護士に相談をしておくことが大切です。天王寺総合法律事務所には、離婚問題に取り組む弁護士が所属しておりますので、婚姻費用減額調停、婚姻費用減額審判、離婚調停、離婚訴訟についてはご相談ください。

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