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【不在者財産管理人・失踪宣告】遺産分割協議で連絡が取れないときの対応方法

遺産分割協議で連絡が取れないときの対応方法

遺産分割協議を行おうとしても、相続人に中で連絡が取れない者がいた場合には、どのように対応をしていったらよいのでしょうか。遺産分割協議は、すべての相続人と行う必要があるため、誰かのみを除いて遺産分割協議を行うといったことはできません。そこで、この記事では、連絡が取れない者がいる場合の探し方、見つからない場合の法的対応として不在者財産管理人の制度と失踪宣告の制度について解説させていただきます。

1 連絡が取れない調査方法

まず、遺産分割協議が必要であるのかを確認しておきましょう。連絡を取ることができない相続人がいたとしても、遺言書が存在する場合には、遺産相続の方法が定められていた場合には、遺言によって相続財産を取得することができることとなります。

この場合には、連絡が取れない相続人がいたとしても相続の手続きを進めることはできます。

一方で、遺言がない場合には、相続人全員で遺産をどのように分けるのかの遺産分割協議を行うこととなります。遺産分割協議をする場合には、相続人善人が合意をしなければならず、行方不明の相続人を除外した場合には、無効となります。

したがって、連絡が取れない、行方不明の相続人がいたとしてもきちんとした手続きを経て相続の手続きをしなければなりません。

相続人を探す方法としてよく取られる方法としては

① 戸籍の附票の請求を行うことで、住民票の移動の履歴が判明することがあります。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍の原本と共に保管されている書類であり、戸籍が作成されてから現在に至るまでの住所が記録されているものです。

相続人がこちらの認識では行方不明であっても、住民票をきちんと移動させている方に対しては、本籍地から戸籍の附票によって現在住所地が判明することがありえます。相続に当たっては、亡くなられた方の戸籍謄本、除籍謄本などを追っていくこととなりますので、それらを追っていくことで、本籍地が判明することがあります。

戸籍の附票が請求ができる者については、本人またはその配偶者、父母、祖父母、子、孫などの直系の親族については戸籍の附票の写しを交付することができます(住民基本台帳法20条)。
また、弁護士などの専門家については、職務上請求によって戸籍の附票を入手することができます。

なお、弁護士などは、裁判手続きまたは裁判外における紛争手続きの代理人として請求する場合など利用目的が必要であり、戸籍の附票のみの取得としてご依頼を受けることはできません。

戸籍の附票を取得することで、住民票上の住所が判明し、通知書などをお送りするといった流れとなるでしょう。

② 警察に捜索願を提出する方法

警察に捜索願(行方不明者届)を出し、行方不明者を探してもらう方法はあります。しかし、警察は、犯罪被害者や事故遭遇者などの事件性がある場合には、積極的な捜索が行われますが、それ以外の場合には、パトロールや交通取り締まりなどを契機に見つかることを待つといったことになるでしょう。

③ 探偵事務所、興信所を利用する方法

特定の人物を探すために、探偵事務所、興信所を利用するといったことはあり得ます。もっとも、費用などが相当かかりますので、遺産分割協議を行うとの観点からは、失踪宣告などの対応をするほうがよいといったことはありえるでしょう。

④ 周囲の人や最終住所地付近にて聞き取りを行う方法

携帯電話を変えるなどで連絡先が不明となっており、周囲の人や最終住所地にて聞き取りをすると連絡先を知っている方がおられる場合はあり得ます。地道な方法ではありますが、共通の友人などで連絡先を知っている者がいないかを確認するといった方法があり得るでしょう。

いくつかの情報収集手段を利用してもなお行方不明である場合には、不在者財産管理人選任の申立てを行うなどを検討しておきましょう(民法25条)。

2 不在者財産管理人の選任の申立て

遺産の相続権のある不在者が財産管理人を置いていなかった場合には、遺産分割協議などを勧めるために不在者財産管理人の選任申立てを家庭裁判所に行うことができます(民法25条)。

不在者とは、従来の住所又は居所を去り、容易に帰来する見込みがない者をいいます。
不在者財産管理人制度は、本来は不在者のために残された財産の散逸を防ぐという財産の管理、保存が本来的な任務ですが、家庭裁判所の権限外行為許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割協議を行うことができます(民法28条)。

【申立人】
① 利害関係人(不在者の配偶者、相続人、債権者など)
  遺産分割における共同相続人は、利害関係人に当たるでしょう。

② 公益の代表者として検察官

【申立先】
不在者の従来の住所地、居所地、最後の住所地など

【申立てに必要な費用】
① 収入印紙 800円
② 各裁判所で定める連絡用の郵便切手
③ 事案によって財産管理費用として数万円から数十万円の予納を求められる場合があります。

【申立書類】
① 申立書
② 不在者の戸籍謄本、戸籍の附票
③ 財産管理人候補者の住民票
④ 不在の事実を証明する資料(捜索願受理証明書、不在者宛の返戻郵便物、最終住所地についての報告書等)
⑤ 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書、預貯金残高証明書など)
⑥ 遺産分割協議の場合には、相続関係の戸籍謄本
申立書には、所在が判明をしていないこと、共同相続人間で遺産分割協議を行うこととなったが不在者が財産管理人を置いていないため、分割協議ができないため、不在者の財産管理人の選任するとの審判を求める旨,財産管理人として選任希望者(本籍、住所、氏名、職業、不在者との関係、連絡先)などを記載します。

家庭裁判所は、申立書や所在不明の資料の確認、関係者への書面照会、参与員からの聞き取り、審問などを行い、おおむね1~2か月程度で、審判を行い、不在者財産管理人を選任するといわれています。

不在者財産管理人は、財産の管理について善管注意義務を負い、財産調査などを行って家庭裁判所に財産状況を報告することとなります。

不在者財産管理人が、民法103条の保存行為や利用・改良行為を超えて権限を行使するためには、家庭裁判所での権限外行為許可の申立てが必要となりますので、遺産分割協議などを行う場合には、不在者財産管理人から、家庭裁判所に対して権限外行為許可の申立てを行うこととなります。家庭裁判所において権限外行為許可の申立てがなされて、不在者に代わって遺産分割協議を行うこととなるでしょう。

不在者財産管理人自体は、親族らもなることはできますが、遺産分割協議を行う関係上は、相続人はなることはできません。また、不在者財産管理人の職務は、遺産分割協議後にも、不在者の死亡や失踪宣告がおこなわれるまで続くことになることには注意が必要となります。

また、不在者であるからといって不在者の相続分をゼロとするような内容で合意することはできず、法定相続分に応じた遺産分割協議の内容となるでしょう。

3 失踪宣告の申立て

不在者の生死が7年を超えて明らかでない場合には、連絡が取れず行方不明である相続人について失踪宣告の申立てを行い、不在者を死亡したものと取り扱って遺産分割協議を行うことが考えられます。

このよう生死不明の者について一定の期間が経過した場合に利害関係人の請求によって死亡したものとみなす制度を失踪宣告といいます。

① 普通失踪:不在者の生死が7年以上明らかでない場合
② 危難失踪:地震、水害などの天災、沈没した船舶にいた等危難に遭遇し、死亡の事実が確認できないまま1年以上生死不明の場合
③ 利害関係人(民法30条)の申立てによって、失踪を宣告することができます。

【申立人】
利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、財産管理人など失踪宣告を求めるについて法律上の利害関係を有する者をいいます。)

【申立先】
不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所が管轄となります。

【申立てに必要な費用】
① 収入印紙 不在者1名につき800円
② 連絡用の郵便切手(各家庭裁判所によって定められています)。
③ 官報広告費4816円(失踪に関する届出の催告、失踪宣告の費用となります。金額などは家庭裁判所にご確認ください。)

【申立書類】
① 申立書
② 不在者の戸籍謄本(戸籍記載事項証明書)
③ 失踪を証明する資料(戸籍の附票、捜索願を出した事実、郵便が戻された事実など)
④ 申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本など)
申立ての趣旨;不在者に対して失踪宣告をするとの審判を求める。
申立ての理由:不在者の利害関係
  行方不明となったいきさつ、警察に捜索願を出したこと
  親戚、知人、友人に照会しても行方不明となっていること
  遺産分割協議を行う必要があるが、不在者の行方が不明であり、相続人全員で協議ができないため、失踪宣告の申立てを行うことなどを記載します。

【失踪宣告の流れ】
① 家庭裁判所にて、牡牛縦人に利害関係がないか、不在者が真に行方不明であるかどうか、生死不明となった日時はいつか、失踪期間を経過した申立てなのか事実関係についての調査が行われます。家庭裁判所調査官によって、申立人や不在者の家族への調査が実施されたり、事案によっては、警察などでの行方不明者の状況の紹介がなされる場合もあるかもしれません。
② 公告
  裁判所は、申立てを相当と認める場合には、官報や裁判所の掲示板において、3か月の公告期間を設けて、不在者や不在者の生死を知る者に対して、一定の期間までの届出をすべきことが記載されることとなります。
③ 家庭裁判所における失踪の宣告
  不在者の生死が不明のまま公告期間が満了した場合には、不在者に対して失踪の宣告が出されます。
④ 即時抗告
  不在者、利害関係人は、失踪宣告の申立てを却下する審判に対しては、即時抗告期間内に即時抗告をすることができます。
⑤ 届出
 ・家庭裁判所から通知
  失踪宣告の審判が確定しますと、裁判所書記官は遅滞なく公告を行い、不在者の本籍地の戸籍事務の管掌者に対して通知を行います。
 ・失踪届の届出
  失踪宣告の申立人は、10日以内に不在者の本籍地、申立人の所在地の市長村長に対して、失踪宣告の審判が確定した旨の届出をしなければなりません。
手続きには、おおむね半年程度がかかる場合があるといわれています。

【効果】
・普通失踪の場合には、失踪者の生存を証明しうる最後のときから失踪期間が7年満了したときに死亡したものとみなされます(民法31)
・危難失踪の場合には、危難が去った時に死亡したものとみなされます

なお、危難失踪と類似の制度で、水難、火災、爆発などで死亡したことは確実であるが、死体が見つからない場合には、行政機関が一定期間調査を行い、死亡したと推定する制度を認定死亡といいます(戸籍法89条)。認定死亡では、本人の生存が確認された場合には、戸籍が訂正されますが、失踪宣告では、取消のための裁判をしなければなりません。

4 まとめ

相続人に行方不明者がいる場合には、①戸籍の附票などによって相続人を調査する方法、②不在者財産管理人の選任を行い、家庭裁判所から権限外行為許可を得たうえで遺産分割協議を行う方法、③失踪宣告により死亡したものとみなし、相続人で遺産分割協議を行う方法があり得ます。これらの手続きをおひとりで取られることはかなりの困難を伴う場合がありますので、弁護士などの専門家にご相談されるとよいでしょう。天王寺総合法律事務所では、相続問題、不在者財産管理、失踪宣告などに取り組む弁護士が所属しておりますので、相続などでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。

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