ブログ

【大阪天王寺の弁護士事務所】相続人の範囲、順位とは

【大阪天王寺の弁護士事務所】相続人の範囲、順位とは

相続は、人の死亡が原因として発生することとなります(民法882条)。では、誰が相続人となるのでしょうか。奥さんや子どもが相続人となるといったイメージはわかりやすいのですが、子どもがいない場合には?といったことを疑問にもたれる方もおられるでしょう。そこで、この記事では、相続人の範囲、順位について解説させていただきます。

なお、遺言がある場合には、遺言書の内容が尊重されることとなりますので、遺言書がない場合に、民法の定める相続人が、定められた順位と割合で相続をすることとなります。そのため、現実に相続が問題となった場合には、遺言書がないかどうかを自宅を探す、公証人役場、法務局にないかなどを確認するとよいでしょう。

1 相続人の種類と順位

相続をすることができる者は、民法で定められています。これを法定相続人といいます。
民法では、法定相続人について、それぞれの場合について、どのような割合で相続できるのかを決めています。これを法定相続分といいます。

ポイント!
① 戸籍などから相続人は誰なのかを確認しましょう!
② 法定相続分はどのパターンとなるのかを確認しましょう!

相続人には、
① 配偶者相続人 (民法890条)
② 血族相続人  (子:民法887条、直系尊属:民法889条1項1号、兄弟姉妹:民法889条1項2号)

相続人の決定の流れとしては、

1 配偶者がいる場合には、配偶者は常に相続人となる。

2 第1順位である子がいるか。
▼  子が先になくなっているときには、孫以下の下の世代がいるか。
▼ ※子や孫などの下の世代がいる場合には、第2順位の者は、相続人となりません。
3 第2順位である直系尊属がいるか。
▼  親が先に亡くなっていたときには、さらに上の世代がいるか。
4 第3順位である兄弟姉妹はいるか。
  兄弟姉妹が先になくなっているときは、兄弟姉妹の子までの代襲相続となります。
※ 第1順位、第2順位の相続人がいる場合には、第3順位は相続人となりません。
※ 相続放棄などによって相続人から第3順位までくるといったパターンもありえます。

(1) 配偶者 (民法890条)

被相続人の配偶者は常に相続人となるとされています。
ここでの配偶者とは、法律上の配偶者をいい、内縁の配偶者は含まれないことに注意が必要です。
婚姻関係にあるのかどうかについて戸籍によって確認することとなるでしょう。

(2) 子 (第1順位の相続人・民法887条1項)。

被相続人の子は、相続人となるとされています。

被相続人が亡くなるときに胎児であった場合には、生まれたときに相続人たる資格が与えられることとなっています(民法886条)。これは生まれてくる子どもの利益を保護するためのものです。

また、子どもが相続の開始以前に死亡していた場合、相続人の欠格や相続人の廃除によって相続権を失ったときには代襲相続といって、その子供が相続人となることとなります。

代襲相続とは、被相続人の死亡以前に、相続人となるべき子や兄弟姉妹の死亡、相続欠格、相続排除を理由に相続権を失ったときに、その者の子がその者に代わって、その者の受けるべき相続分を相続することであり、相続における子の利益を保護するものです。なお、相続放棄の場合には、初めから相続人でなかったとみなされますので、代襲相続はなされないこととなります。

〇 嫡出でない子の父子関係について

法律上の婚姻関係になり男女から生まれた子については、父子関係が明らかではないため、認知手続を行い、親子関係を確認しておくことが必要となります。

〇 養子がいる場合について

養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得するとされています(民法809条)。
そのため、第1順位の相続人となります。もっとも、縁組前に養子に子どもがいた場合には、その縁組前の子は被相続人の直系卑属に当たらないため、代襲相続権は認められないこととなります(民法887条2項但書)。

(3)直系尊属(第2順位の相続人・民法889条1項1号)。

第1順位の相続人がいない場合には、被相続人の直系卑属が相続人となります(民法889条1項1号)。直系尊属とは、被相続人の父母や祖父母など上の世代のことをいいます。複数の直系尊属がいる場合には、親などのより近い者が相続人となります(民法889条1項1号但書)。したがって、両親のどちらかが存命している場合には、存命している両親のどちらかが相続人となり、両親の2名ともが亡くなっており、祖父母が存命の場合には、存命している祖父母が相続人となっていきます。

親については、実親でも養親でも相続人となりますので、養子に子や孫がいない場合に、直系尊属(父母、祖父母など)が相続人となります(民法889条1項1号)

なお、配偶者の親については、直系尊属には当たりませんので、相続人には当たりませんので注意しておくとよいでしょう。

(4)兄弟姉妹(第3順位の相続人・民法889条1項2号)。

第1順位、第2順位の相続人がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
第3順位の相続人については、子どもは代襲相続が発生しますが(民法889条2項、887条2項)、孫以下には発生しない点に注意が必要です。

なお、実親側の養子や養親側の養子の兄弟姉妹の関係について、養子に子や孫がおらず、直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹は相続人となり、ここでの兄弟姉妹には、実親と養親での区別はないこととなります。

2 法定相続分の割合とは

同順位の相続人が数人あるときには、民法において相続分が定められています(民法900条)。

■相続人のみで第1順位~第3順位の相続人が存在しない場合
① 相続人が配偶者のみで、他に相続人となるべき者がいない場合
→ 配偶者のみ 全体

■第1順位の相続人が対象の場合
② 相続人が配偶者と子(直系卑属)の場合
 → 配偶者    :2分の1
   子(直系尊属):2分の1

③ 相続人が子(直系卑属)のみの場合
 → 子(直系卑属)のみ 全体(子の数に応じて等分)

■第2順位の相続人が対象の場合
④ 相続人が配偶者と直系尊属の場合
 → 配偶者 :3分の2
   直系尊属:3分の1(直系尊属の数に応じて等分)
⑤ 相続人が直系尊属のみの場合
   直系尊属のみ 全部(直系尊属の数に応じて等分)

■第3順位の相続人が対象の場合
⑥ 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
 → 配偶者 : 4分の3
   兄弟姉妹: 4分の1(兄弟姉妹の数に応じて等分)
⑦ 兄弟姉妹のみ :全部(兄弟姉妹の数に応じて等分)

それぞれの相続人がいるパターンに応じて相続人を確定と法定相続分の確定をしていくとよいでしょう。

3 まとめ

相続手続きにおいては、法律上の親子関係の確認や戸籍などの確定、財産の確定、遺産分割協議書の作成などの必要な部分が多々ありますので、相続、遺産分割協議でお困りの場合には法律事務所へのご相談をされることをオススメ致します。

お電話のお問合せはこちら

電話番号

メールでのお問合せはこちら

お問合せフォーム

最近の記事

  1. 臨時休業日のイメージ
  2. 大阪地方裁判所のイメージ
  3. 逮捕勾留のイメージ
  4. 逮捕勾留のイメージ
  5. 葬儀のイメージ
  6. 遺産分割でのアドバイス
PAGE TOP