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【大阪天王寺の弁護士が解説】認知・認知の調停、訴訟とは

✅ 結婚をしていない方と子供を設けました。当時は,子どもの責任を取るといっていたのですが,現在では,連絡が疎遠になってしまい,本当に責任を取ってもらえるのか不安です。どのようにすればよいでしょうか。

最初は,父親に対して自ら認知をしてもらうことがあります。
しかし,父親が任意認知をしない場合には,家庭裁判所に対して認知の調停の申立てを行います。
調停によっても認知がなされない場合には,認知の訴えを提起することとなります。

1 認知制度とは

認知とは,父又は母が結婚をしていない状況において生まれた子を,自分の子であると認める意思表示のことを言います。

結婚をしていない場合には,男女の間に生まれた子供の父子関係については直ちに判明しません。そこで,民法779条には,嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができると定めており,認知制度により法律上の父子関係が成立することを定めています。

認知をすることによって,父親と子の間に法律上の親子関係が認められることとなります。

なお,母子関係は,母親の認知を待たず,分娩の事実により当然に発生するため,母子関係において認知手続きを行うといったことはあまり考えにくいこととなります。

任意で認知をする場合には,認知する父親もしくは認知される子の本籍地,届出人の所在地の市町村役場の戸籍窓口に認知届を提出することとなります。

認知届書,届出人の印鑑,本人確認書類など必要な書類があります。

認知される子が成人している場合には,認知される子の承諾書
子供が胎児の場合には,胎児の母親の承諾が必要となる点や届出書に母の本籍地で届け出るなどの違いがあります。

取られる手続きにより必要な書類に違いがありますので,あらかじめ市町村役場に確認をしておくとよいでしょう。


2 認知の調停・審判

父親が認知をしない場合には,子などから父親を相手として家庭裁判所で認知の調停,審判の申立てをすることがあります。

調停では,調停委員といった第三者を踏まえて,認知をすべき根拠,認知をしない事情といったことが話し合われます。また,子どもと父親との間に生物学上の親子関係があるのかどうかのDNA鑑定が実施される場合もあります。

当事者において,事実関係に争いがなく,子が父親の子であることの合意ができ,家庭裁判所が事実関係の調査などを踏まえて正当と認めた場合には,合意に相当する審判が出されることとなります。

もっとも,合意に相当する審判に対して,当事者や利害関係人から2週間以内に異議が出された場合(家事事件手続法279条)には効力が失われ,認知の訴えによることとなります。

無事に合意に相当する審判により,認知がなされた場合には,出生のときに遡って法律上の親子関係が生じることとなります。

・認知の調停・審判手続きについて

子や子の法定代理人(母親)などが申立てを行うこととなるでしょう。

申立書,子の戸籍謄本,相手方の戸籍謄本などの添付書類を準備して,相手方の住所地の家庭裁判所などに申立てを行うことで認知の調停が始めることとなります。

収入印紙(1200円等),予納郵券などの準備も必要です。

家庭裁判所のホームページには,管轄や収入印紙,予納郵券の記載がありますので,申立前に確認をしておくとよいでしょう。

家庭裁判所での調停は,平日の日中に行われるため,出席が厳しい場合には,申立代理人を依頼するなどをされる場合もあります。

3 認知の裁判

認知をしてくれない場合,民法787条には,子,その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は,認知の訴えを提起することができる旨の定めがあります。

父の死亡の日から3年を経過した場合には,認知の訴えをすることができなくなるため,死亡後は,検察官を相手として認知の訴えをすることとなります(人事訴訟法12条3項)。

認知の訴えを行っていく場合には,親子関係があることの立証をしていかなければなりません。

① 母親と父親との男女関係が存在することを示す陳述書等
② 血液型が一致すること,DNA鑑定書により生物学的な一致を立証する証拠
③ 家庭裁判所調査官の調査報告書
④ 父親として行動をとっていたかどうかの客観証拠

などにより親子関係が存在することを立証することとなります。

裁判によって認知が認められると,訴えの提起をした者は,裁判が確定した日から10日以内に,裁判の謄本をつけて届出書を,認知する父や認知される子の本籍地などの市区町村役場に提出することとなります(戸籍法63条)。

4 認知をすることで扶養義務や相続人となることができる。

認知がなされると父親は法律上子に対して扶養義務を負うこととなります。
相続について,父の認知により子は相続人となります。

 認知が問題となるケースでは,扶養義務をしっかりと果たしてもらうこと,相続人として権利をしっかりと行使をすることといったことがあります。
 
 認知については,扶養義務や相続人としての権利行使なども問題となるケースがありますので,認知手続きをしておくべきか,どのように手続きを進めていくのかといった点については,弁護士に相談をしておくとよいでしょう。

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