家族が亡くなった場合の手続き【死亡届、遺体の火葬、埋葬、相続】
家族が亡くなった場合には、最初にどのような手続きをしなければならないのでしょうか。
1 死亡した場合の手続き
(1)死亡届の提出
ご家族が亡くなられた場合には、残された家族は、様々な手続きをしなければならないことになります。相続のことを含めてですが、他にも行政法上の手続きもしなければなりません。
法的な手続きとしては、届出義務者が、死亡の事実を知った日から原則として7日以内に、死亡者の本籍地などに死亡届を出すこととなります。
死亡届には、
① 所定の事項の記載
② 死亡診断書
または
死体検案書
を添付しなければなりません。
(2)死亡届を提出する者について
① 同居の親族
② その他の同居人
③ 家主、地主または家屋もしくは土地の管理人
④ 同居の親族以外の親族等
は、死亡の事実を知ったときから7日以内に提出することとなります。
(3)届出先について
① 死亡者の本籍地
② 届出人の所在地
③ 死亡地の市区村長
に死亡届を提出することとなります。
(4)添付書類
死亡届には、死亡診断書また死体検案書を添付しなければなりません。
・死亡診断書とは
死亡診断書とは、死亡者を診断した医師が診断内容を記載して作成する書面です。
病死や老衰など病院で亡くなった場合や医師が死亡について確認した場合に発行されるものです。病院などで案内を受けることもあり得るでしょう。
・死体検案書とは
死体検案書とは、死亡者を診断していない医師が死亡後に死体を検案した結果を記載する書面をいいます。
事故や事件など変死の場合や救急搬送で入院24時間以内の死亡などの場合には、死体検案書となります。
やむを得ない事由で死亡診断書または死体検案書を得ることができない場合には、死亡の事実に関する書面として、官公署の死亡証明書、震災死亡者については、死亡実況者など証明書などを提出することとなります。
2 遺体の火葬、埋葬の注意点
(1)遺体の火葬、埋葬について
家族が死亡した場合には、本籍地や死亡地の住所地の市区町村に死亡届を出すと同時に、火葬・埋葬についての義務を負うこととなります。
そこで、死亡者の埋葬、火葬について、市区村長の許可を得ることが必要となります。
死亡届を受理した市区村長に対してして、死亡火埋葬許可証交付申請書を出すこととなります。役所に死亡届・死亡診断書を提出する場合には、市区村長の窓口で、提出することが多いでしょう。
火葬許可証が発行された場合には、火葬を行う業者に提出することとなるでしょう。
死亡届の手続きを葬儀業者に代行してもらう場合には、火葬場の予約などはスムーズに行うことができるでしょう。
(2)火葬・埋葬をしなかった場合の問題点
刑法には、死体遺棄罪(刑法190条)が存在します。
刑法190条では、
【死体】を【遺棄した者】は、3年以下の懲役に処すると規定がなされています。
遺棄とは、習俗上の埋葬と認められる方法によらないで放棄をすることをいい、場所を移動されるのみならず、不作為による場合も含まれます。
法令、契約、慣習その他条理などにより、法律上死体の埋葬義務がある者が放置した場合には、不作為による遺棄と判断されることがあり得ます。
(3)葬儀をするかどうかは遺族の自由判断となります
火葬や埋葬は法律上の義務があるものの、葬式をするかどうかは遺族の自由判断となります。葬式をしない場合には、市区村長から火葬埋葬許可証明を申請し、火葬場に遺体の火葬を依頼し、遺骨を直送することがあり得ます。
費用も問題では、直葬をすることは大きく費用を節約することができますが、遺族間でのもめごとの原因となってしまう危険性があるため、葬儀について、遺族にてよく話し合っておくとよいでしょう。
(4)自宅の庭などに墓地を作ることはできません
火葬を行う場合には、死亡届を提出し、死亡火埋葬許可証交付申請書を提出します。火葬後には、遺骨は墓地に埋葬することとなるでしょう。墓地については、知事の許可を得た場所に限られるため、自宅に遺骨をきちんとした保管することはできますが、自宅の庭などの墓地を作ること、埋葬をすることはできません。墓地、埋葬等に関する法律4条では、埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならないことが規定されています
遺骨についてもみだりに放置を行う場合や節度をもたない形での散骨を行った場合には、刑法190条の【遺骨】を【遺棄】したとして、遺骨遺棄罪に問われる危険性が存在します。遺骨とは、死者の祭祀・記念のために保存し、又は保管すべきものをいいますので、微量、節度をもった散骨自体は違法にならないと場合があるでしょう。
散骨については、自治体の条例が存在する場合がありますので、あらかじめ確認をしておくべきでしょう。
(5)相続放棄の際の葬儀費用、香典について注意をしておく
相続において、多額の負債を抱えている場合などでは、相続放棄手続きを死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出することとなります。相続放棄をする場合には、相続財産を処分をしてしまうと単純承認に該当してしまうおそれがあります。
葬儀費用については、通常の葬儀費用については、単純承認には当たらず、相続放棄を行うことができる場合があります。もっとも、高額は葬儀費用を相続財産から支出していた場合には、相続放棄が認められない危険性があります。
葬儀費用として、香典返しのための費用や墓石、墓地の購入費用などは認められない可能性がありますので、注意をしておくことが必要となるでしょう。
(6)葬儀費用の分担、香典の使い道について
相続がもめていくことが多いのは、話し合いや協議を十分にできていないことがあり得ます。葬儀における葬儀費用の分担や香典の使用方法などにおいても相続人間で紛争が発生する危険性があります。喪主や祭祀財産承継者が誰になるのかを踏まえて話し合いを進めていくとよいでしょう。
3 死亡後の流れ
死亡後の流れには法的手続きとしてタイムスケジュールがありますので把握をされておくとよいでしょう。
① 被相続人の死亡を知ったときから7日以内 死亡届
▽
② 3か月 相続開始を知った時から、相続放棄・限定承認申述
▽
③ 4か月 所得税・消費税準確定申告
▽
④ 10か月 相続税の申告
といった流れとなります。
死亡後の手続きにおいて、相続放棄、相続手続きを行う場合には、弁護士にあらかじめ準備をしておくことが大切となります。家族が亡くなられてショックを受けておられることがありますが、相続などで多額の債務を引き受けないために弁護士を通じて相続に向けての相談をしておくとよいでしょう。事前の相続関係の処理をホームロイヤー契約や遺言書作成などで対策をされることがあり得ます。大阪、天王寺、堺市、松原市、羽曳野市、東大阪市、柏原市などで、相続についてご相談、ご依頼をされたい場合には、天王寺総合法律事務所にご相談されるとよいでしょう。
大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。