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保釈で逃亡するとどうなるのでしょうか。

保釈で逃亡するとどうなるのでしょうか。

保釈中に逃げ出したといったニュースを聞かれたこともあるでしょう。保釈中に逃亡をした場合にはどうなってしまうのでしょうか。このページでは、保釈中に逃亡をした場合にどのような事態となるのかについて解説させていただきます。

1 保釈とは

 まず、保釈とは何かについて確認しておきましょう。保釈は、起訴後に可能となるものであり、保証金等の納付を条件として、勾留の執行を止め、身柄の拘束を解放する裁判です。なぜこのような保釈という制度が認められているのかといえば、たとえ起訴がなされた者といえども、有罪判決までの無罪の推定を受けます。そして、無罪の推定を受けている者が罪証隠滅や逃亡のおそれがすくない案件について身柄拘束を続けることは妥当ではありません。
 そこで、一定の保証金を納付することで、不相当な身柄拘束から解放をさせるといったことが保釈制度ということができるでしょう。

 保釈を行う場合には、保釈保証金を裁判所に納付をすることとなります。保証金は問題となっている罪名や事件の類型によって変わりますが、最低でも150万円~200万円程度となるケースが多いでしょう。

2 保釈で逃亡した場合にはどうなるのか。

 保釈金は、刑事訴訟法96条によれば、各号の規定にあたる場合には、検察官の請求、裁判所で職権の決定により保釈を取り消すことができると定められています。1号には、被告人が召喚を受け、正当な理由なく出頭をしない場合には、保釈が取り消されます。

 「召喚を受け正当な理由がなく出頭しない」とは、適法な召喚を受けたにもかかわらず、出頭をしない場合をいいます。正当な理由は、個別的事情を踏まえてとなりますが、被告人の責めに帰すべき事情があるかどうかにより判断されます。

 故意に逃亡したことが伺われる場合には、正当な理由なく出頭しないといえるでしょう。
 したがって、逃亡をした場合には、裁判所は、保釈の取消を行うこととなるでしょう。

 また、保釈後に逃亡し、あるいは逃亡のおそれが生じた場合、保証金をもってしても防止しえないほど保釈後に逃亡のおそれがあった場合には、保釈を取り消すことができます(刑事訴訟法96条1項3号)。

 保釈の取消決定があった場合には、検察事務官、司法警察職員または刑事施設職員は、検察官の指揮により、被告人を刑事施設に収容することとなります。急速を要する場合には、検察官の指揮により、保釈が取り消された旨を告知して、刑事施設に収容がなされることがあります。実際には、検察事務官、司法警察職員が被告人の捜索を行い、刑事施設への収容を行っていくこととなるでしょう。

3 保釈金は没収される

 保釈中に、正当な理由なく出頭しないとき、逃亡のおそれがあるときには、保釈の取消決定がなされることがあります。保釈を取り消す場合には、裁判所は決定により、保釈金の全部又は一部を没取することができると規定されています(刑事訴訟法96条2項)。取り消す金額は、裁判所の裁量によって決めることとなりますが、裁判所は保釈を取り消すに至った経緯や事情、帰責事由を考慮し、全額の没収がなされるかが決定されます。
 逃亡をしている場合には、保釈の制限住所に書留郵便に付して保釈保証金没取決定書が送達され、保釈金は没収されることになります。

 保釈委託者(身元引受人)となる場合では、日弁連の保釈保証委託契約の締結や保証料の納付をしてあとに逃亡などで没収されると、金額を支払わないといけなくなります。

 保釈保証支援協会から借入を行っていた場合にも、申込人は立替金相当額を支払わなければなりません。

 被告人以外の家族など極めて親しい者が没収された保釈金を支払わなければなりません。

4 刑事上の罰則はあるのか

 意外に思われることですが、保釈中に逃亡をしたこと自体は犯罪行為には逃走罪には該当しませんでした。逃走罪は、裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃亡した場合に成立することとなります。保釈中の者は、現在は逃亡罪は成立しません。

 一方で、法務省では、保釈中に逃亡した事案が発生したことを受けて、刑事罰が設けられること、GPS装着などの義務付けなどが検討されています。

 したがって、近いうちに刑法犯となる可能性が高いでしょう。

5 身元引受人の責任はあるのか

 身元引受人は、誓約書などで身元を監護、監督する旨の規定を約束をしています。
 では、身元引受人は法的責任を負うことはあり得るのでそうか。
 一般的には、逃亡にあたって身元引受人のみが何らかの刑事事件を犯した場合を除いて刑事罰がかされるわけではありません。
 また、民事的な責任を負うかについては、保釈金の申込人、連帯保証人となっていない場合には法的な責任はあまり観念できないでしょう。
 捜査機関から逃亡者の場所などに心当たりがあるか、監視を受ける可能性はあります。
 多くの場合には、身元引受人は、保釈の申込人となっているため、保釈保証金の負債を負うことが多いでしょう。

6 再び捕まった場合には罪は重くなるのでしょか。

 逃亡をした場合には、裁判は中断することとなり、再度身柄が確保されたと場合に再開することとなります。どれだけ時間がかかっても裁判が時効でなくなるといったことはなく、身柄が確保されたときには、裁判が再び始めることになります。同じ国内にいる場合にはどこかの段階で発覚することがあり得ます。
 そして、逃亡期間が長ければ、反省をしていないという情状となってしまいます。そのため、再び捕まった場合には、罪は重くなってしまいます。

7 まとめ

 保釈中に逃亡することは、身元引受人などに多大の迷惑をかけ、刑事裁判が免除されるといったことはありません。いずれは身柄確保がなされる可能性があり、重い刑事罰を受ける可能性があることを踏まえると逃亡はすべきではないでしょう。

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