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刑事事件と民事事件は何が違うのですか。

刑事事件と民事事件は何が違うのですか。

 刑事事件と民事事件は異なるものといわれることがあります。同じように裁判所を利用する手続きなのですが何が違うのでしょうか。刑事事件を弁護士に依頼する場合とはどのような場合であるのかを解説させていただきます。

1 民事事件とは

 民事事件は、例えば、お金を貸せ、交通事故の損害賠償金を支払え、土地・建物を明け渡せ、夫婦で離婚をするといった、私人間での紛争を解決していく手続きとなります。民事事件では、誰に、どのような権利があるのかを確定させる手続きである民事裁判により終局的な解決を行うことができます。あくまで私人間の紛争であるため、当事者が自分の権利が存在を有するか否かを裁判所に主張、立証していかなければなりません。
 民事事件については、あくまで当事者間での解決が原則となり、警察などの公的権力が介入を行って解決をするわけではありません。警察などは、民事紛争に介入するべきではないとする民事不介入といったことも民事事件と刑事事件が別の法領域の問題であることを示すものといえるでしょう。
 もっとも、刑事事件と民事事件が同時に問題となる場合や虐待やドメスティックバイオレンスなどもはや民事事件ではなく刑事事件として問題となるケースも存在します。
 民事事件の解決については、弁護士に相談を依頼するとよいでしょう。

2 刑事事件とは

 刑事事件は、民事事件と大きく異なる点は、国家の刑罰権の有無が問題となる点です。民事事件が私人対私人の裁判であったのに対して、刑事事件は、国家対私人との裁判となります。被疑者、被告人が特定の行為を行ったのかどうか、それが国家刑罰権の発動を規定する刑事法規に違反するかどうかが問題となります。犯罪被害者を受けられた方は、刑事裁判に参加をしていくことができるものの、国家刑罰権の発動においてどのような刑罰を与えるかの意見を言うもので、最終的な判断の対象は国家刑罰権の存否といった形となります。
 刑事事件においては、適正な国家刑罰権の発動がなされるかどうかについて刑事裁判が提起され、検察官と被告人・弁護人との間で事実関係の有無、法適用の有無が争われていくこととなります。
 刑事事件は、警察などに被害届を提出し、国家が捜査権を発動して、警察が捜査を行い、検事が起訴をすることにより刑事裁判が始められることになります。

 犯罪被害を受けた者と犯罪を行った者との関係は、不法行為に基づく損害賠償請求権となります。民事的な損害賠償を受ける関係として、一定の刑事事件での損害賠償命令制度を利用しない場合には、民事上の損害賠償請求訴訟を提起していくことが原則となるでしょう。
 刑事事件で弁護士を利用する場合には、刑事事件の被疑者、被告人となってしまった場合に、刑事弁護人として依頼を行うことがあります。
 刑事事件の被害を受けられた場合に、弁護士を利用する場合として、警察・検察に対して被害届、刑事告訴を行う場合、刑事裁判において被害者参加制度を利用し、被害者代理人とて弁護士を選任する場合、民事訴訟に基づく損害賠償請求権として弁護士を依頼する場合があります。

3 民事事件と刑事事件との関係について

 民事事件と刑事事件とは、事案によって両方が問題となることができます。例えば、交通事故事案においては、不法行為に基づく損害賠償請求権として民事事件として問題となることが多いでしょう。一方で、自動車運転上の過失により人の死傷が生じた場合には刑事事件として問題となります。仮に、刑事事件で不起訴処分や罰金刑を受けた場合であっても、不法行為に基づく損害賠償請求権がなくなるわけではありません。
 したがって、刑事事件について刑事裁判で最終的な解決がなされたとしても、民事裁判において請求がなされることがあり得ます。
 刑事弁護人を依頼することで、被害者と示談交渉については、刑事事件の被害弁償を行い、民事事件として解決を行っていくことができます。刑事事件について示談交渉を行うことで民事的解決を行い、将来の民事裁判を避けることができるでしょう。

4 刑事事件で弁護人を選任する場合

(1)犯罪を行ってしまい、警察に自首をする場合
 
 自首とは、犯人が捜査機関に対して、自己の犯罪事実を申告してその処分にゆだねる意思を持って行うものであって、捜査機関に発覚する前に申告することで、その刑を任意的に減刑することができます。犯罪をしてしまって弁護人に自首の同行を依頼することで刑事事件についての適切な弁護活動を行っていくことができるでしょう。
 自首について検討されている場合には、弁護士に依頼をするということを検討されるとよいでしょう。

(2)被疑者として警察に呼び出された場合
 
 警察から被疑者として呼び出しを受けた場合には、弁護人に相談し、どのような被疑事実について捜査を受けているのか、どこが事実であり、どの部分が事実でないのかを検討する必要があります。自らの行為が刑事罰に当たらない行為であった場合でも、供述調書において犯罪となる形で認めてしまった場合にはのちに覆すことはできません。客観的に同じ行為であっても、主観面での判断において刑事罰の対象となる行為や刑事罰の対象とならない行為も存在するため、当時自分はどのような心境、意向によって行為に及んでしまったのかを適切に説明することが必要です。
 仮に、犯罪に当たる行為を行っていたとしても、自らが行って以上の余罪や情状を着け食われることは妥当ではありません。被疑者として取調べに対応する場合には、弁護人を依頼し、協議を行っておくことが適正な刑事罰との関係では大切なこととなるでしょう。

(3)被害者への被害弁償を行う場合

 刑事事件を起こし、被害者が存在する場合には、民事上は不法行為に基づく損害賠償事件が存在することとなります。また、道義的にみて被害者に被害を与えたならば真摯に謝罪を行っていくことが大切です。自らの行為にきちんと向き合うことが更生を行う上でも罪を悔い改めることの一助となります。
 一方で、被害者は加害者が思っている以上に深くキズを負っている場合も少なくありません。加害者が被害者に対して連絡を行うことは心理的な圧迫を加えるものと評価されるおそれもありえるでしょう。
 そこで、弁護人から被害者への連絡と被害者に対する謝罪、被害弁償の申入れを行っていくことが必要となってきます。

(4)刑事裁判を行っていく場合

 刑事裁判を行う場合には、弁護人を立てることが必要となってきます。起訴状に記載された事実があったのかどうかを判断するために、検察官の立証構造を把握し、被告人として検察官の主張がおかしい部分があるならば、裁判所で主張をしていかなければなりません。犯罪事実に争いがない場合にも、情状立証といって自らの行為と反省、更生状況を踏まえて、適正な刑事罰となるよう裁判を進めていかなければなりません。
 そこで、刑事裁判となった場合には、刑事事件に詳しい弁護人を探されるとよいでしょう。

5 被害者として弁護士を依頼する場合

(1)被害届、刑事告訴を行う場合

 被害者として被害届、刑事告訴を行う場合に、弁護士の援助を受けることが考えられます。警察には犯罪被害の相談窓口が存在するために、第一次的には警察などへの相談を行っていくことが考えられます。一方で、犯罪の類型によっては事実関係が複雑であるために警察において直ちに刑事罰となるか不明な事件類型も存在することはあり得ます。家庭内暴力など親族であるために警察がなかなか動いてもらえないといった場合もありえます。
 そこで、被害届、刑事告訴を行う際の援助を得る目的で弁護士を依頼することがよい場合があるでしょう。

(2)被害者参加制度を利用する場合

 刑事裁判に犯罪被害者の意見を刑事裁判に適切に反映するために、刑事裁判に被害者参加人として参加する制度が導入されています。また、犯罪被害者等による損害賠償請求について刑事手続の成果を利用する制度なども設けられています。被害者参加制度の利用を希望していく場合には、被害者代理人として弁護士を依頼することが考えられるでしょう。

(3)不法行為に基づく損害賠償請求を行う場合

 刑事事件の被害者となった場合には、民事上は、不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することができます。被害者から加害者に連絡を行い、損害賠償請求を行うことは大きなハードルとなってしまうでしょう。そこで、弁護士に損害賠償請求を依頼し、損害賠償請求を行っていくことがあり得るでしょう。

6 刑事関連事件においては弁護士の適切な援助を

 刑事事件とは社会内での紛争として非常に大きなものとなります。そこで、刑事事件の被疑者、被告人となった場合や被害者となってしまった場合のそれぞれの場合について弁護士に相談、依頼をすべき場合は存在するでしょう。天王寺総合法律事務所では、刑事事件の加害者向け弁吾活動のみならず、被害者支援活動も行っています。刑事事件についてご依頼を希望される場合には、ぜひお問い合わせください。

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