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少年鑑別所と少年院はどのような違いがあるのでしょうか

少年鑑別所と少年院はどのような違いがあるのでしょうか

子どもが刑事事件を起こしてしまった場合には、少年鑑別所、少年院との様々な機関の名前を聞くことがあります。
しかし、一般の人にとっては、少年鑑別所、少年院の違いがわからないといったことがあります。

そこで、この記事では、少年事件でかかわってくる機関である少年鑑別所、少年院について解説させていただきます。

1 少年鑑別所とは何か。

少年鑑別所とは、法務省管轄で、少年の資質の鑑別を行う施設をいいます。

鑑別とは、医学や心理学等の専門的知識に基づいて少年の人格や素質等の調査・判定を実施する施設となります。
また、家庭裁判所において、観護措置を取られた少年を収容する施設となります。

少年鑑別所法3条においては、少年鑑別所は以下の事務を行うことになっています。
第3条 少年鑑別所は、次に掲げる事務を行う施設とする。
① 鑑別対象者の鑑別を行うこと。
② 観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者その他法令の規定により少年鑑別所に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者を収容し、これらの者に対し必要な観護処遇を行うこと。
③ この法律の定めるところにより、非行及び犯罪の防止に関する援助を行うこと。

鑑別対象者となる場合には、家庭裁判所等からの観護措置が取られた場合と
①家庭裁判所等の求めによる鑑別等(17条)、
②少年院の指定等(18条)による鑑別を行うこととなります。

少年鑑別所では、
① 鑑別技官において少年との面接を行うこと
② 知能検査
③ 心理テスト
などを通じて、少年の内面を調査します。
④ 鑑別所内での少年の行動観察によって
子どもの資質上の特徴や問題点があるかどうかの調査がなされます。

少年鑑別所は、これらの調査内容を踏まえて、鑑別結果通知書を記載し、少年鑑別所が最適と考える処遇方針などを判定意見を付して、家庭裁判所等に提出されることとなります。

したがって、少年鑑別所は、あくまで少年の資質を医学や心理学などの専門的な知見において少年の人格、素質を調査・判定し、今後の更生のためにどのような対応をしていくのが適切かを判断する資料となるものです。

特に家庭裁判所に送致された場合に、「審判を行うために必要がある場合」には、観護措置手続が行われ、観護措置決定がなされると少年鑑別所に送られるといったパターンがあるでしょう。

観護措置とは、少年の身体を拘束して、少年の心身の安定、情操の保護を図りながら、心身の鑑別を行うために、少年鑑別所に収容することをいいます(少年法17条1項2号)。

少年が逮捕・勾留されている事件については、家庭裁判所送致日に観護措置決定がなされ、在宅事件の場合においても、審判のための家庭裁判所に呼び出された後に観護措置決定がなされることもわずかながらあります。

家庭裁判所からの観護措置決定としては、4週間程度、概ね20日から25日程度が収容され、調査官の調査、鑑別調査がなされます。

2 少年院とは何か

少年院とは、法務用管轄の矯正施設をいいます。
家庭裁判所から保護処分として送致された少年などを収容し、社会生活に適応させるために、その自覚に訴え、紀律ある生活のもとに、教科ならびに職業の補導、適当な訓練及び理療を授けることにより、矯正教育を行うこととなります。

家庭裁判所は、送致された少年について適切な保護処分などを選択していくこととなります。刑事事件相当の場合には、検察官に送付がなされるといったことがありますが、少年事件の中としては、少年院送致は、最も重い処分であるということができるでしょう。

少年院法上、少年院は、少年の年齢や心身の状況において、初等、中等、特別、利用の4種類に分けられるとなります。

① 初等少年院:心身に著しい故障のない、概ね12歳以上、概ね16歳未満の者が対象となる少年院
② 中等少年院:心身に著しい故障のない、概ね16歳以上、20歳未満の者を対象とする少年院
③ 特別少年院:心身に著しい故障はないものの、犯罪的傾向が進んだ概ね16歳以上のものを対象とする少年院
④ 医療少年院:心身に著しい故障のある、概ね12歳以上、26歳未満の者を対象とする少年院となります。

大きくは、年齢と心身に著しい故障があるか、犯罪傾向が進んでいるかによって分類されることとなってきます。

家庭裁判所は、保護処分としての少年院送致に際して、初等・中等・特別・医療少年院の別を定めることとなります。具体的にどの少年院に送られるのかについては、家庭裁判所などとの意見交換などを行って、鑑別所において定めることとなります。

少年院にどの程度行くことになるのかについては処遇機関がどのような種類によって決まります。

処遇期間について
① 一般短期処遇:収容期間が6か月以内、早期改善の可能性が高く、短期的、集中的に指導と訓練を行う場合
② 特修短期処遇:収容期間は4か月以内、開放処遇に適する場合
③ 長期処遇  :収容期間が概ね1年を目途に、原則2年以内とする場合。
初等少年院・中等少年院は、特修短期・一般短期・長期の処遇を行い、特別少年院、医療少年院は、長期処遇が原則となります。

また、家庭裁判所は、長期処遇の中に細かい区分を行って意見を述べることがあります。
④ 長期処遇:比較的短期として8か月程度
⑤ 長期処遇:期間について処遇勧告がない場合には、概ね1年程度
⑥ 長期処遇:比較的長期として1年を超え、概ね2年以内
⑦ 長期処遇:相当長期として、2年を超える期間
が処遇勧告としてなされることがあります。

少年院の内容としては、教科教育、職業の補導、適当な訓練、医療を行うこととなります。
処遇が進んで退院を許すことが相当である場合には、少年院の長は地方更生保護委員会に仮退院の申請を行い、地方厚生委員会が仮退院を許す決定をしたときは仮退院となります。

また、少年が原則20歳となった場合や矯正の目的を達した場合には、少年院長は、地方更生保護委員会に退院の申請を行い、退院となっていきます。

3 少年院と少年鑑別所の違いについて

少年院は長期間にわたって少年の矯正教育を行う期間であり、家庭裁判所において保護処分としてなされることとなる機関となります。
一方で、少年鑑別所は、4週間程度の短期間、少年の資質の調査を行う期間であって、別の処分であることがわかります。

少年事件については審判期日に向けて準備を進めていくことが必要となりますので、早期に弁護士と相談をしていくとよいでしょう。

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