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起訴がなされた場合99.9%有罪となるのは本当なのでしょうか。

起訴がなされた場合99.9%有罪となるのは本当なのでしょうか。

刑事裁判では、99.9%有罪となるといった話を聞かれたことがあるかもしれません。警察で刑事事件の取調べを受けたとき、ほぼ必ず有罪となってしまうのではないかと不安に思われることがあるでしょう。家族が逮捕されたとして犯罪を間違えなくしてしまったと思われるかもしれません。このページでは、99.9%の有罪とはどのような意味であるのかを解説させていただきます。

1 刑事裁判の有罪99.9%とはどのような意味か

 令和元年の司法統計によれば、
・有罪判決は、47444件
・無罪判決は、104件
となっています。

 刑事事件は、公訴棄却やその他の終了原因も1200程度もあるため、全体件数からみると、必ずしも有罪率が99.9%となるわけではありませんが、

 47444件÷(47444件+104件)=0.9978となり、99.78%となっていることが考えられるでしょう。

 これらの数字は、上告審、控訴審、再審などがあるため、必ずしも正確な数字ではありませんが、無罪判決に比べ、多くが有罪判決となっている実情が表れていると考えられます。

 このような無罪判決と有罪判決の比率をみると、刑事裁判の有罪は99.9%に近いといった印象を受けることがありえるでしょう。

2 起訴猶予、不起訴処分とされている事案も存在する。

 では、なぜ日本の刑事裁判では、有罪の割合が無罪の割合に比べて多いといえるのでしょうか。
これは検察庁が実際に刑事裁判とする案件を有罪の可能性が高い案件に絞って起訴を判断しており、起訴猶予となっている案件が存在しているためと考えられます。検察庁で起訴するか不起訴とするかとの判断をする段階で、無罪判決となるべき案件については相当程度はじかれているといったこととなるでしょう。
 
 法務省の検察庁終局処理人数総数をみると、
・公判請求がなされた案件は、    8.9%、
・略式命令請求がなされた案件は、 22.2%、
・起訴猶予とされた案件は、    56.6%
・その他の不起訴は、        6.9%
となり、起訴猶予となっている案件も相当程度あることがわかります。

 刑事訴訟法248条では、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情状により訴追を必要としないときには、起訴をしないとする起訴便宜主義を定めています。これは、犯罪の嫌疑があり、かつ訴訟の要件を充足している場合であっても、検察官は起訴とするのか、不起訴とするのかを判断することができます。これを起訴便宜主義といいます。
 検察官は、刑罰法規に該当している場合にも、不起訴処分となっている案件があることがわかるでしょう。無罪となるべき案件や有罪かが疑われる案件について不起訴処分として処理がなされ、公判請求自体がなされていないということがわかります。

 したがって、日本の刑事裁判では、検察庁の段階で第一次的に無罪となるべき案件については公判請求がなされていないために、有罪となるべき案件を裁判所が審査しているために、有罪判決が99.9%となっていることと考えることができるでしょう。

3 刑事事件で取調べを受けても諦めず弁護活動を

 刑事事件を弁護士に相談する場合には、公判請求がなされてから依頼するよりも警察の取調べを受けた段階で弁護士に依頼することが大切であることとなるでしょう。公判請求を受けてから無罪判決を得ることは難しいですが、公訴を提起されるまでに有罪となるべき案件ではないこと、処罰をすべき案件ではないことの意見書を出すなどして不起訴処分を目指す活動、より軽微な略式命令請求を目指していくといった活動を行っていくことが考えらます。

 またパーセントでは低いものの、無罪判決となる案件も104件と100件近くあることを踏まえると、検察官の立証活動にたいして弾劾できる証拠がある場合には、無罪案件となることがまったくないわけではないことがわかります。

 検察官が起訴をした案件についても、公訴事実の変更といって、検察官が主張する内容を縮小させ、実質的にみて軽微な犯罪での認定がなされるといった事案も存在しています。

 したがって、できるだけ早期に弁護士に依頼を行い、適切な弁護活動を行っていくことがよいでしょう。

4 無罪を争っていく弁護活動とは

 刑事裁判では、起訴状記載の内容について、犯罪の証明があったときには、判決で刑の言い渡しをすることとなります。
犯罪の証明があったときとは、通常人であれば、誰でも疑いをさしはさまない程度に真実らしいと確信をもてる場合、合理的疑いを容れない程度の確信が得られる立証があることが必要となります。

無罪で争っている弁護活動を行う場合には、検察官の立証が合理的疑いを容れる予定があることを主張、立証していくことが考えられるでしょう。

ケースセオリーとして、検察官が主張する証拠を踏まえても、なお無罪判決が出せるよう主張を行っていくことが大切です。客観的証拠と矛盾する主張、事案の流れを裁判官に伝えられるように準備をしていきましょう。

・証拠から認定できる事実はどの程度のものであるのか
・別の証拠により異なる事実認定をすることはできるのか
・証人の信用性があるのか
・被告人の証言の信用性があるのか
・被告の証言を裏付ける客観的証拠が存在するのか

 といった各要素を準備していくこととなるでしょう。

5 まとめ

 刑事事件では、公判請求がなされると無罪判決を勝ち取ることは一定の困難さが伴います。できるだけ早い段階で、弁護活動を行い、犯罪の嫌疑ないこと、有罪とすべきものではないことを立証していくことが大切となります。弁護人に依頼をして事案にとってよりよい結論が得られる弁護活動を行っていくとよいでしょう。
 天王寺総合法律事務所では、刑事弁護に強い弁護士が弁護活動を実施していますので、弁護士への依頼をされたい場合にはぜひご相談ください。

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