パートナーの浮気・不倫が発覚し,非常に精神的なショックが大きいと思います。
しかし,ご自身を責められてはいけません。
いかなる事情があるのにしろ,パートナーの浮気・不倫があったということは道義的に許されるものではありません。
そこで,法的にパートナーの浮気・不倫に対してはいかなる主張がありえるのか,当事務所にご依頼いただくことで一体どのようなことができるのかを解説させて頂きます。
1 浮気・不倫とは何か。
ポイント!
当たり前のように思われるかもしれませんが,相手方の行為が浮気・不倫に当たることが必要となります。道義的には,相手に気持ちがあれば浮気と思われるかもしれません。
しかし,慰謝料を請求するためには,法律で認められる条件(要件といった言い方をします)を満たす必要があります。
法律で慰謝料の請求ができるレベルの浮気・不倫とは,配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを言います。
最高裁判所も,不貞行為の意義については,配偶者のある者が,自由な意思にもとづいて,配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって,この場合,相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解すると判断しています。(最高裁判所昭和48年11月15日)
ただ,裁判例には,必ずしも肉体関係をもっていない事案においても,慰謝料請求が認められているものがあります。
これは,貞操義務に忠実でない行動といった考え方,夫婦であるのにいろいろな人とデートをしているだとか,性的関係がなくとも夫婦としてふさわしくない行動で特に悪質なものについては一定程度は慰謝料を認めていくといったことなのかもしれません。
あくまで最終的には裁判所の裁判官が,今回の事案は慰謝料が支払われてしかるべきであるといった違法な行為を立証できているのかということになりえるでしょう。
性的関係をもっていないようだと思っても,夫婦の婚姻関係の平和を害するレベルの行為がないかどうかについては,弁護士によくご相談ください。
2 浮気・不倫の証拠があるのか。
裁判所は主張と証拠の2つが必要であり,主張だけをいっても裁判所はこちらの内容を認めてはくれないことがほとんどです。そのため,いかに浮気・不倫の証拠が存在するのかが,浮気・不貞慰謝料を請求できるのかの分かれ目となります。
浮気・不倫の慰謝料として具体的にはどのような証拠が必要なのでしょうか。
意外に思われるかもしれませんが,裁判所はこれがあれば浮気・不倫の慰謝料を認めるといった判断を取っているわけではなく,すべての証拠から合理的に浮気・不倫があったといえるかどうかによって判断がなされることとなります。
よくあるのは
① 探偵事務所の調査報告書
② LINE,SNS,メールなどのメッセージ
③ 写真(泊りがけの旅行など),車載カメラ
④ GPSの位置データ
⑤ 自白や録音
⑥ 公的記録・クレジットカードの使用履歴
① 探偵事務所・興信所の調査報告書について
例えば,探偵事務所の報告書は浮気・不倫の証拠として非常に有効です。パートナーと浮気相手・不倫相手がホテルに入っているシーンなどがあれば,浮気・不倫をしていると判断される可能性は高いでしょう。
しかし,やや費用がかかり,案件によっては,払われる慰謝料よりも興信所の費用が掛かってしまうといったこともあり得てしまいます。探偵事務所・興信所に依頼される際にも見積もりをきちんとされることが必要となるでしょう。
② LINE,SNSでのメッセージのやりとり
LINEやメールいったことも有力な証拠になり得ます。
LINEでのメッセージのやり取りでデートに行っていることやホテルに行っていることなどがわかることがあります。LINEではこれまでの履歴をメモ帳で出力することができる場合やPCと併用して利用している場合には,スマートフォンの履歴を消しても,PC上の履歴が残っているなど証拠の保全がしやすい部分があります。
SNSやメールの添付されている画像などから場所が特定でき,浮気・不倫をしていた証拠となることが在り得ます。
一方で,LINEやメールでも単なる会話で親しげにしている程度といった判定を受けてしまうおそれもあり得ます。浮気・不倫の裁判に耐えられるレベルのものであるかを証拠をご持参いただき,相談にて話をさせていただくことになります。
③ 写真・車載カメラの映像
写真には,非常に多くの情報が入っており,浮気・不倫の裁判でも大切な証拠となります。
いつ,どこに出かけて行ったのか,背景などから推察していくことができるでしょう。車載カメラの映像をよく見ることで,普段どこであっているのか,会話内容などから住所地やいつから浮気をしていたのかなどが判明することもあり得ます。
④ GPSの位置データ
Iphoneを探すといった機能やgoogleなどのロケーション履歴を見ることで,ラブホテルに行っていたことが判明するケースもあり得ます。誰といったのかまではわからずとも,どこにいっているのかがわかり,興信所に依頼をするときや浮気相手を特定する際に役立つ情報を入手できる場合があり得ます。
⑤ 自白や録音
パートナーや浮気相手が浮気を認めた自白や録音も大切な証拠です。
しかし,まず相手方に確認する,問い詰めるといったことにはリスクもあります。
証拠が十分でないうちに追求をすることで,証拠を隠滅したりすることが在り得るからです。また,自白してもらったから安心というわけでもありません。あとになってそんなことはいっていないとシラを着られること度々あるからです。相手と覚悟を決めて話すときには録音を取っておくなど準備をされるとよいでしょう。
⑥ 公的書類・クレジットカードの履歴
戸籍などの公的書類に浮気・不倫をしていた相手との子供の履歴が出てくることもまったくないわけではありません。クレジットカードの履歴には,利用したホテルや施設の名前が入っていることがあり,浮気・不倫をしたことを示す証拠となり得るものです。
一方で,証拠として認められにくいものも存在することに注意をしましょう。
帰る時間が遅くなって,行動が変わったといった事情や香水の匂い等,写真や動画などの証拠として提出できないものはなかなか裁判所で認定しがたいものがあります。
多くの場合は浮気していると気が付くのは,行動が変わったり,帰る時間や言動がかわる,おしゃれを始めるなどの日々の行動ではありますが,これだけではなかなか浮気・不倫が認められにくいこととなりますので,弁護士に相談して,この証拠で十分なのかを確認して,慰謝料請求をされるとよいでしょう。
3 浮気相手の住所・連絡先・職場
浮気相手に対して慰謝料請求をするためには,住所・連絡先・職場などがわかっていることが望ましいです。しかし,現実問題としてすべてをわかっていることは少ないとは思いますが,あきらめないでください。
SNSの種類にもよりますが,SNSのIDや電話番号がわかっていることで手続きを通じて浮気相手の住所が判明する場合があり得ます。
浮気の期間が長ければ,職場の話や仕事の話,以前の住所などがわかってくることもありますので,証拠を見直し,相手をどこまで特定できるかを検討されるとよいでしょう。
4 慰謝料の相場
ポイント!:浮気・不倫の慰謝料は概ね100~300万円
慰謝料は精神的苦痛に対するものですので,浮気をしたら1回いくらといった形で決まるものではありません。実際には,婚姻期間や浮気の回数,婚姻関係に与えた影響などを考慮して決まることとなりますので,概ねの判断しかできませんが,100~300万円の間でおさまるケースが多いとは考えています。
当事務所の弁護士は,数多くの浮気・不倫の慰謝料請求事件を経験しておりますので,浮気・不倫の慰謝料を請求されたいとのお気持ちをお持ちの方はぜひご相談ください。