大阪天王寺・堺・松原の残業代請求の弁護士

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1 残業代請求訴訟とは

 残業代請求訴訟は、時間外、休日、割増賃金などが支払われていないとして使用者に対して請求を行うものです。賃金は、本来は、労働時間に応じて支払をされるものであるため、定めらえた時間の範囲で働くのが通常となります。しかし、現実には、定められた時間以上に労働をしている事案は後を絶ちません。決められた時間で仕事をしている場合には、給与以外の賃金の支払が必要となってきます。

天王寺総合法律事務所の労働事件でご依頼できること

残業代請求事件

残業代請求についてお取り扱いをしております。未払の残業代があると考えている方はぜひお気軽にお問合せください。

不当解雇

不当解雇を受けた場合の慰謝料請求などについてお取り扱いを行っています。

2 残業代請求訴訟のメリット

 弁護士に残業代請求を行うメリットはなんでしょうか。

① 適切な解決策を模索することができる

残業代請求については、会社との関係が継続している場合には事実上請求が困難な場合があります。また、残業代の対象となる労働者といえるのか、弁護士を入れて請求をすべき案件であるか否かは事案によって異なることとなります。弁護士に相談をしておくことで、適切な解決策を模索していくことができるでしょう。

② 残業代請求に必要な証拠があるかを把握できる

残業代請求については、他の事案と同じくどれだけきちんとした証拠を用意しておけるかが大切となります。内容証明郵便、労働審判、訴訟に至る以前にどのような証拠をそろえておくべきか、労働審判や訴訟で通用するレベルの証拠をそろえることができるかを判断していくことができるでしょう。

③ 会社側が対応を無視することができないメリット

個人での労働問題について会社と交渉をしても十分な対応をしてもらえない可能性があります。しかし、弁護士を通じての交渉となった場合には、会社も顧問弁護士に相談をするなどして一定の対応を迫られることがあります。他の従業員への労働審判、訴訟での影響を鑑みて、一定額の和解に至るケースもあるでしょう。弁護士を入れることで、任意交渉、労働審判、訴訟と法的な対応を行うことで、会社が対応を無視できないメリットがあるでしょう。

④ 弁護士が代理人として交渉するため、負担を大きく軽減できます。

残業代請求をご本人で行っていくためには、ご自身の主張、立証をするために証拠の収集、請求額の計算、内容証明郵便の作成、交渉、労働審判、訴訟などの対応を独力で行わなければなりません。これらの作業を一人で行うことは相当の困難を伴います。また、会社側の交渉は労働者にとっては大きな負担となっていくことがあるでしょう。そこで、代理人を通じて交渉、労働審判、訴訟を行うことで、負担を大きく減らすことができるでしょう。

したがって、残業代請求事件については弁護士に依頼するメリットがある案件といえるでしょう。

3 労働者からの残業代請求の流れ

(1)割増賃金の対象があるか把握する

 使用者は、労働者に①法定時間外労働、②法定休日労働、③深夜労働をされた場合には、割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条)。

① 法定時間外労働 

ア 法定時間外労働とは

 法定時間外労働とは、1日8時間又は1週40時間の法定労働時間(労働基準法32条)を超える時間外労働となり、割増賃金の支払対象となります(労働基準法37条)。

 法定時間外労働が適法となるには、
・災害などによる臨時の必要がある場合(労働基準法33条)
・時間外及び休日労働に関する労使協定を締結し、官庁に届け出た場合(労働基準法36条)
です。
 法定時間外労働について、違法であった場合でも、割増賃金支払義務は当然に発生します(最高裁昭和35年7月14日判決)。

イ 労働時間の特例(労働基準法40条、労働基準法施行規則25条の2第1項)

なお、労働時間の特則として労働基準法施行規則25条の2において一定の事業の零細企業の場合には、1週44時間を超えなければよいこととなっています。
 一定の事業とは
・商業・理容業(8号)
・映画の製作事業を除く、映画・演劇業(10号)
・保健衛生業(13号)
・接客娯楽業(14号)
 について、常時10名未満の労働者を使用すること、雇用契約書、就業規則で所定労働時間が週44時間となることを明記されていることが必要となります。

ウ 法定時間内労働では割増賃金は原則不要。

 法定時間内労働とは、所定労働時間が1日8時間未満の場合に、当該所定労働時間を超え1日8時間までの時間までは、法定時間外労働ではないため1週40時間を超えない限り割増賃金の支払対象とはなりません。もっとも、法定時間内労働で、労働契約による賃金支払対象となっていない時間については、別途、通常の金額の支払が必要となります。

・法定労働時間:労働基準法が規制している労働時間
・所定労働時間:就業規則等により定められている個々の労働者の労働時間
 (法定労働時間の範囲であることが必要となります(労働基準法13条)。

② 法定休日労働

ア 法定休日労働とは

 使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日又は、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければなりません(労働基準法35条)。法定休日に労働をした場合には、割増賃金の支払対象となります(労働基準法37条)。

 法定休日を事前に別日に振り替えた場合には、法定休日労働とはならないため割増賃金の対象となりませんが、事後に振り替えた代休となった場合には法定休日に労働したことに変わりがないため割増賃金の対象となります。

イ 法定外休日労働とは

 週休2日制度など、1週に2日以上の休日がある場合には、休日のうち1日のみが法定休日となり、それ以外は法定外休日となります。法定外休日労働については、割増賃金の対象とはならず、1日8時間又は1週40時間超の法定時間外労働にならない限りは、割増賃金の対象となります。
③ 深夜労働

 午後10時から午前5時まで(特定の地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間に労働をさせた場合をいいます。

〇 割増率(労働基準法37条第1項、4項、割増賃金令)
時間外労働 法定労働時間 又は
変形労働時間制による労働時間を延長して労働させた場合 通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上の率で計算した額
休日労働 法定休日に労働された場合 通常の労働日の賃金の計算額の35%以上の率で計算した額
深夜労働 午後10時から午後5時までの間に労働させた場合 通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上の率で計算した額
〇 時間外労働+深夜労働を行った場合には、50%以上(25%+25%)
〇 休日労働 +深夜労働を行った場合には、60%以上(35%+25%)

 1か月60時間を超える時間外労働を行う場合(労働基準法37条1項但書、3項)
〇 1か月60時間を超える時間外労働を行う場合には、50%以上
〇 1か月60時間を超える時間外労働+深夜労働を行う場合には、75%以上
※事業場の労使協定で割増賃金の支払に代えて代替休暇を与えることとし、現実に代休を与えたときは、代替休暇に対応する時間の労働については、割増賃金の支払いは不要となります。
※2023年3月末で中小企業への適用について、その猶予措置が取られます。

(2)労働時間について把握する

ア 労働時間について

 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならないこと、使用者は、1週間の各日について、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならないことが規定されています(労働基準法32条)。
 1週間とは、就業規則等に特段の規定がない場合には、日曜日から土曜日までをいいます。
 
 労働時間とは、始業時間から終業時間までの拘束時間から休憩時間を除いた実労働時間をいい、現実に作業に従事している時間に加えて、作業のために待機している時間も含まれます。労働時間であるかどうかは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かで決定され、労働契約、就業規則、労働協約等の定めでは決定されるものではありません(最判平成12年3月9日判決)。

イ 労働時間の立証方法について

① タイムカード

 タイムカードにより時間管理がなされている場合には、特段の事情がない限り、タイムカードの打刻時間をもて実労働時間と事実上推定がなされています。
 もっとも、タイムカードが始業時間より前になされている場合には、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮監督下に置かれたものと評価できるか否かという客観的な観点から判断がなされますので、始業時間より前の打刻については、使用者の指揮命令下におかれていないと判断されることがあり得ます(東京地判平成25年2月28日判決)。

② パソコンのログデータ記録
③ シフト表(勤務割表)
④ 入退館に関するIDカードの記録
⑤ 業務日報、FAX送信の履歴
⑥ POSシステム(販売時点情報管理)
⑦ 労働手帳など
 様々なものにより労働時間の立証を行うことがあり得ます。

 弁護士を通じての証拠収集方法として
① 弁護士会照会(弁護士法23条)
② 民事訴訟法での証拠保全(民事訴訟法234条以下)
③ 文書送付嘱託(民事訴訟法226条)
④ 文書提出命令(民事訴訟法223条1項)

ウ 使用者の指揮命令状況

 労働時間は、会社に拘束されている時間の中で、休憩時間を除いた、実労働時間と手待時間の合計をいい、労働時間を超える労働は時間外労働となります。

①  始業前の準備時間についても、使用者によって義務付けられてる作業着、保護具などを装着する時間、始業前点呼、朝礼に要する時間は、労働時間に該当すると考えられるでしょう。一方で、就業後の洗身、入浴時間、義務的性格が弱い業務引継ぎ時間は労働時間該当性が否定されることがあります。

② 作業の途中で次の作業のために待機している手待時間、仮眠時間は、必要があれば直ちに対応することが義務付けられているとして実労働時間と考えられます。

③ 通勤時間は、会社からの指揮命令監督が及ぶ状態ではないため、労働時間ではありません。出張した場合や、通常より時間を費やして就務場所に移動をしても、労働時間には含まれません。出張に応じて休日中に移動をしても労働時間には含まれません。
 もっとも、物品の輸送などを依頼されており、移動時間中に物品の監視などを指示されている業務上の指示がある場合には、移動時間も労働時間となることがあります。

④ 教育訓練について、業務命令に等しい事実上の強制がある場合には、労働時間となります。自由参加であり、出席しなくても格別の不利益が生じないような場合には、出席しても労働時間とはなりません。

⑤ 手待時間について、業務命令があれば、いつでも業務を行えるように待機をする時間をいいます。使用者の指揮命令監督下にあるか必要があれば直ちに業務を行うように準備をしているか、待機をしているかという点から判断がなされます。

エ 休憩時間との関係

①  休憩時間は、使用者からの指揮命令監督を受けない時間であるため、労働時間には該当しません。単に作業を従事していない時間を指すのみならず、労働者が権利として労働から離れることができる時間です。

② 休憩の長さ
・6時間以内の場合には、休憩時間を付与する義務はありません。
・6時間を超える場合には、少なくとも45分
・8時間を超える場合には、少なくとも60分
 の休憩時間を与えなければならず(労働基準法34条1項)

③ 休憩時間の原則
・原則として事業所ごとに各労働者に対して一斉に付与しなければなりません。
・休憩時間は、労働時間の途中で与えなければなりません。
・労使協定で一斉に休憩を与えない労働者の範囲、当該労働者に対する休憩の考え方を定めた事項を定めなければ一斉に休憩を与えなくてはなりません(労働基準法34条)
 休憩時間の自由利用について、労働基準法40条、労働基準法施行規則33条で警察官、消防吏員、常勤の消防団員、準救急隊員および児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をおもにするものなど、適用除外となっている類型があります。休憩付与の除外についても、労働基準法40条、労働基準法施行規則32条で、長距離にわたり乗務する者や郵便局で一定の類型については休憩付与の除外が定められています。

(3)みなし労働時間制

 実際の労働時間にかかわらず、労働時間を算定するのに困難なものについて、一定の時間労働したものとみなして労働時間を計算する制度があります。

① 事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法38条の2)

ア 原則 所定労働時間労働したものとみなす。

 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなされます。

イ 所定労働時間超となる場合

 当該業務をするために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

ウ 労使協定による場合

 イの場合において、当該業務の遂行に通常必要とされる時間について労使協定でその時間を定めているときは、その定めた時間労働したものとみなす

エ 労働時間の一部について事業場内で労働した場合の取扱い

・原則としては、事業場内での業務に従事した時間を含めて、全体として所定労働時間労働したものとみなされます。
・通常所定労働時間超えた場合には、みなし労働時間制度と事業場内での業務に従事した時間を別途把握し、業務の遂行に通常必要とされる時間に事業用内での労働時間を加算して計算を行います。
・労使協定にて、労使協定で定めた時間と事業場内での労働時間とを加えたものが労働したものとみなされます

② 裁量労働制・専門業務型裁量労働制(労働基準法38条の3)

 裁量労働とは、研究開発のように業務の性質上、仕事の遂行を労働者にゆだねる必要があるために、時間配分などについて使用者が具体的に定めず、労働者に任せることを協定で定める業務をいいます。
 使用者が、当該事業所において
・労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合
・労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者
との
・書面による協定(労使で労使協定を結び、労働基準監督に届出ことが必要)により
・一定の事項を定めた場合(労働基準法施行規則24条の2の2第2項)
(ア)新商品もしくは新技術の研究開発又は人文科学もしくは自然科学に関する研究の業務
(イ)情報処理システムの分析又は設計の業務
(ウ)新聞若しくは出版の事業又は放送番組の制作のため取材若しくは編集の業務
(エ)デザイナーの業務
(オ)プロデューサー又はディレクターの業務
(カ)厚生労働大臣の規定する業務
コピーライターの業務、システムコンサルタントの業務、公認会計士の業務など
が対象業務の範囲となります。
・労働者をその協定で定める対象業務に就かせたときには、当該労働者はその協定で定める時間労働したものとみなされます。
 協定が有効に成立すれば、使用者は具体的な労働時間を把握する必要はなく、協定の内容に従って労働時間を算定することができます。
 もっとも、休憩、深夜、休日に関する規定は排除されないため、休憩や休日を与える必要があり、休日に労働すれば休日労働として扱わなければなりません。

③ 企業業務型裁量労働制(労働基準法38条の4)

 企業の本社機能を有する事業場で、事業の運営に関する事項について、企画、立案、調査、および分析する業務については、対象業務に就かせたとき、決議で定められた時間労働したものとみなされます。
 対象業務は、
(ア)本社・本店である事業場
(イ)本社・本店以外である事業場であった次に該当するもの
・当該事業場の属する企業等にかかる事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場
・本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店などである事業場
に限られます。
 企画業務型裁量労働制を利用するには、対象となる事業場に置いて、労使委員会の委員の5分の4以上による決議、および決議事項の労働基準監督署所署長への届け出が必要となります。
労使委員会の委員の半数は、
・当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合
・労働組合が名合場合には、労働者の過半数を代表する者に任期を定めて指名されていることが必要となります。
委員会の議事については議事録が作成され保存し、労働者への周知を図っていることが必要であり、同意をしなかった労働者への不利益な取り扱いは禁止されています。
 企画業務型裁量労働制での労働時間は、労使委員会の決議で定めた時間が労働時間となります。

(4)特別な労働時間制(各種変形労働時間制、フレックスタイム制)

・特別な労働時間制とは、一定期間内の所定労働時間を平均して法定労働時間数いないにすることにより、1週・1日ごとの法定労働時間を超える労働を許容する例外的な労働時間で取扱いとする制度です(労働基準法32条)。
 変更労働制が適用される場合でも、特定の週又は日について、法定労働時間を超える所定労働時間を定めた場合には、法定労働時間を超えた所定労働時間内の労働は時間外労働となりませんが、所定労働時間を超えた労働は時間外労働となります(最判平成14年2月28日)。

・フレックスタイム制は、個々の労働者に始業・就業時間の決定をゆだね、単位時間内に労働時間を清算させる制度です(労働基準法32条の3)。
 

① 1か月単位変形労働時間制(労働基準法32条の2)

 使用者は、当該事業場に、
・労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合
・労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者との
・書面による協定により
    又は
・就業規則その他これに準ずるものにより
・1か月以内の一定の期間を平均し
・1週間あたりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより
・特定された週において同項の労働時間又は特定された日において、同条2項の労働時間を超えて、労働させることができることが規定されています。

・要件
 1か月単位変形労働制は、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより、(ア)変更期間、(イ)変形期間の起算日、(ウ)変更期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間、特例44時間)を超えない定め、(エ)労使協定の有効期間の定めを定めた規定を置くことが飛鳥となります。

・効果
 特定された週において週法定労働時間を超えて労働をさせることができます
 特定された日において8時間を超えて労働させることができます。

・時間外労働となるのは、
(ア)1日については、
・労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える労働時間を定めた日には、その時間を超えた場合
・それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
(イ)1週間については、
・労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより週法定時間を超える時間を定める週には、その時間を超えた場合
・それ以外の週は、週法定労働時間を超えて労働した時間
(ウ)変更期間については、
 変更期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間((ア)又は(イ)で時間外労働となる時間を除く)
 となります。

※ 各日の所定労働時間(始業、就業時刻、休憩時間)はあらかじめ定めておかなければならないところ、常時10人以上を使用する事業場においては、始業・就業時刻を就業規則で特定することが義務付けられており(労働基準法89条1項)、就業規則において変更期間内の毎労働日の労働時間を始業・就業時刻とともに特定しなければなりません。業務上、あらかじめ就業規則などで各日の始業就業時刻を特定して定めることが困難な場合、基本的事項(変形の期間、上限、勤務シフトパターンなど)を修行規則で定めたうえで、各人の各日の労働時間を1か月ごとに勤務割表によって特定していくことがあり得ます。特定性をしっかりと満たすことが必要となるでしょう。

② 1年単位変形労働時間制(労働基準法32条の4)

 使用者は、当該事業場に、
・労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合
・労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表とする者との
・書面による協定により、一定の事項を定めた場合には、
 労使協定により1か月を超え1年以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定めをした場合
・特定された週において40時間を超える労働をさせること
・特定された日において8時間を超えて労働をさせること
ができることとなります。

 一定の事項の定めとして
(ア)対象となる労働者の範囲を明示しなければなりません。

 妊娠婦が申し出たときは対象労働者とすることはできません(労働基準法66条)。育児を行うもの、老人などの介護を行うもの、職業訓練又は教育を受けるものその他特別の配慮を要する者については、これらの者が必要な時間を確保できるよう配慮が必要となります(労働基準施行規則12条の6)。

(イ)対象期とその起算点

 対象期間は、1か月を超え1年以内の期間に限られます。
 1年単位の変形性では、変形期間が長く、事前の特定が難しい場合があるため、対象期間を1か月以上の期間に区分する場合には、最初の期間では労働日および労働日ごとの労働時間を定め、最初の期間を除く期間は、各期間の労働日数および総労働時間を定めることとなります。

(ウ)特定期間

 対象期間のうち、特に業務が繁忙な期間を定めます。

(エ)対象期間における労働日および所定労働日各日の所定労働時間(始業・就業時刻、休憩時間)

 所定労働日と所定休日、所定労働日各日の所定労働時間は、あらかじめ定めておかなければならず、対象期間の所定労働時間の合計は、その期間を平均して週40時間を超えない範囲でなければなりません。
 
※ 労働日数および労働時間の限度が労働基準法32条の4第3項、労働基準法施行規則12条の4に定めがあります。

(ⅰ)労働日数の限度として、対象期間が3か月を超える場合には、1年あたり原則280日(労働基準法施行規則12条の4第3項)。

(ⅱ)1日および1週間の労働時間の限度として、1日当たりの労働時間の限度は、原則1日10時間、1週間当たりの労働時間の限度は、原則52時間(労働基準法施行規則12条の4第4項)。

(ⅲ)連続して労働させる日数の限度として、変形休日制は認められておらず、最低1週間に1回を確保しなければならず、連続して労働させることができる日数の限度は原則6日まで(繁忙な特定期間は12日まで)とされています(労働基準法施行規則12条の4第5項)。

(オ)有効期間

・効果
 特定された週において40時間を超えて労働させることができます
 特定された日において8時間を超えて労働をさせることができます

※ 時間外労働
(ⅰ)1日について、労使協定により8時間を超える労働を定めた場合はその時間を超える時間。
 それ以外の日は8時間を超えて労働させた時間

(ⅱ)1週間について、労使協定により40時間を超える労働を定めた週はその時間を超えて、それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間((ⅰ)で時間外労働となる時間を除く)

(ⅲ)対象期間の全期間について、対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働させた期間

③ 1週間単位非定型変形労働時間制(労働基準法32条の5)

 1週単位の非定型的変動労働時間制は限られた業種にのみ適用されるものです。
 労使協定の締結により、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予測して就業規則等により確実の労働時間を特定することが困難であると認める事業において、使用者が1週間ごとに各日に所定労働時間(上限10時間)を定めて通知をする制度となります(労働基準法32条の5)。
 小売店、旅館、料理店、および飲食店の事業であり、常時使用する労働者数が30人未満の事情となります(労働基準法施行規則12条の5)。
 労使協定を締結、届出を行い、労働させる1週間の各日の労働時間を、少なくとも当該1週間の開始前に労働者に書面で通知をすることが必要となります。
 これを採用することで、1日について10時間まで労働をさせることができます。

④ フレックスタイム制(労働基準法32条の3)
 
 就業規則の定めと労使協定の締結を要件として、1日・1週間ごとに労働時間の規制をせず、1か月稲生の生産期間の総労働時間の枠内で、労働者が毎日の始業時刻と終業時刻を自由に決めて勤務するという制度をいいます(労働基準法32条の3)。

フレックスタイム制度では、就業規則その他これに準ずるものにより始業および終業時刻の両方を規定すること、(ア)適用対象となる労働者の定め、(イ)清算期間(3か月以内の期間に限る)、(ウ)清算期間の起算日、(エ)清算期間における総労働時間、(オ)標準となる1日の労働時間、(カ)コアタイムの定めをするのであれば、その時間帯の開始および終了の時刻、(キ)労働者がその宣徳により労働することができる時間帯(フレキシブルタイム)に制限を定める場合には、その時間帯の開始および終了の時間帯、(ク)清算期間が1か月を超えるものである場合には、労使協定の有効期間の定めが必要となります。

 フレックスタイム制を定めることにより、清算期間の実労働時間が、総労働時間を超えない限り、時間外労働は発生しません。もっとも、清算期間における総労働時間を管理・把握している必要があります。
 効果として、労働者が選択したところによりその週につき週法定労働時間(原則40時間、特例44時間)を超えて労働させることができます。
 労働者が選択したことにより1日8時間を超えて労働させることができます。

 フレックスタイム制度は、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制に労使協定を、行政官庁に届け出ることが必要となります。

 フレックスタイム制度を採用した場合の時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間に当たります。

(5)固定残業代、定額残業代制

 法律に明文の規定はありませんが、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働に対する割増賃金をあらかじめ定額の手当等の名目で、基本給の一部として支給する制度を、みなし割増賃金(固定残業代、定額残業代)制度が取られています。
 固定残業代は、残業代請求訴訟が提起された場合には、使用者側から、固定残業代の存在を主張し、未払い残業代が存在しない、存在するとしても控除されるべきとの主張がなされることがあり得ます。

 一定額に相当する割増賃金が支払われる限りは労働基準法所定の計算方法をそのまま用いなくても割増賃金不払いの法違反にはならないと考えられます。適法なみなし割増賃金制度に基づく支払は、割増賃金の支払として認められることとなります。

 固定残業代については、裁判例によっては無効と判断されることがあり得ます。
 そこで、みなし割増賃金(固定残業代、定額残業代)が適用となる要件はどのようなものとなるでしょうか。

① 割増賃金をあらかじめ基本給に組み込んで支給する場合

・タクシー乗務員の歩合給について、歩合給が時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことを理由として、歩合給が労働基準法37条所定の割増賃金として支払われたものとは認められなかった事案があります(最高裁平成6年6月13日)。

→ 明確区分性として、通常の労働時間の賃金にあたる部分と時間外、および深夜の割増賃金にあたる部分とを明確に判別できることが要件となると判断されるでしょう。

→ 対価性の要件:固定残業代の趣旨で支給されたか否かが問題とされておらず、固定残業代として支給されている手当等が、実際に時間外・休日・深夜労働に対する対価として性格を有することが必要と考えられるでしょう。

・月間180時間以内の時間内労働に対する割増賃金が基本給に含まれるかが争われた事案において、月間180時間以内の労働時間中の時間外労働がされても基本給自体の金額が増額されることはないこと、月額41万円の全体が基本給とされており、その一部が他の部分と区別されて労働基準法37条1項の規定する時間外の割増賃金とされていたなどの事情はうかがわれないこと、時間外労働の時間が付きによって相当大きく変動し得るものであること、労働者が自由な医師に基づく時間外手当の請求権を放棄する旨の意思表示をしたとはいえないことを理由として、割増賃金の支払義務が認められる事案が存在します(最高裁平成24年3月8日)

→通常の労働時間の賃金に当たる部分と同行の規定する時間外の割増賃金に当たる部分とを判別することができないと判断されています。

 櫻井龍子判事の補足意見として便宜的に毎月の給与の中にあらかじめ一定時間(例えば、10時間分)の残業手当が算入されているものとして給与が支払われている事例もみられるが、その場合は、その旨が雇用契約上も明確にされていなければならないと同時に支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示されていなければならないこと、さらに10時間を超えて残業が行われた場合には当然その所定の支給日に別途上乗せして残業手当を支給する旨もあらかじめ明らかにされていなければならないと判断されています。

② 基本給とは別個に定額の手当を支給する場合(定額払制)

 法所定の割増賃金に代えて一定額の手当を支払うことも、その手当が法所定の計算による割増賃金額を下回らない限りは適法であると判断されています。

 もっとも、定額手当が時間外手当に該当する自体が争われる場合も多く、当該手当が時間外手当である旨の合意の成立が認められず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外割増賃金に当たる部分とを明確に区別することはできないなどのため、時間外手当が認められない事例が存在します。

(6)労働時間、休憩及び休日に関する適用除外(労働基準法41条)

 労働時間、休憩及び休日に関する規定は
① 農業(林業を除く。)、畜産・養蚕・水産業の事業に従事する者
② 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
③ 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
については、労働時間、休憩及び休日に関する適用が除外されます。

・監督若しくは管理の地位にある者
 監督又は管理の地位にある者とは、労働条件の決定その他労働管理について経営者と一体的な立場にある者の意味であり、名称に捕らわれず実態に即して判断がなされます。

・機密の事務を取り扱う機密の事務を取り扱う者
 機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の事務を取り扱う者と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者をいいます。

 管理監督者性の判断基準については、
① 事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること
② 自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること
③ 一般の従業員に対してその地位と権限に相応しい賃金(基本給、手当、賞与)上の処分を加えられていること
 が判断基準となってきます。

〇 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の適用を受ける労働適用除外(労働基準法41条の2)
 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会が設置された事業場において、当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により一定の事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、
対象労働者であって書面その他厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における対象業務に就かせたときは、労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、適用されないことが設けられています。

対象業務に従事する対象労働者に対して、1年間を通じ104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日を当該決議及び就業規則その他これに準じるもので定めるところで、使用者が与えること(休日確保措置)が必要となります。

対象労働者は、労働契約により使用者から支払われると見込めれる賃金の額が1年間あたりの賃金の額に換算した額が基準年間給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働奨励で定める額(1075万円)以上であることが必要となります。

使用者は、健康管理時間の把握措置をとらなければなりません。
また、使用者は選択的措置として、いずれかを講じなければなりません
① インターバル制度(労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに11時間以上の継続した休憩時間を確保し、かつ深夜労働をさせる回数を1カ月について4回以内とすること)
② 健康管理時間の上限措置
③ 連続休日確保措置
④ 臨時の健康診断措置

(6)請求方法の選択

 残業代請求をする前には事実関係の把握をする必要があります。

① 労働時間の証拠の確保

 労働時間の確認については、タイムカードの記録、業務日誌、日報、ログインの履歴などを確認しておきましょう。入手方法については、入手の違法性が主張されないよう注意をしておきましょう。
 休憩時間について、実際に休憩が取れていないのであれば、録音や具体的な指示内容などから、なぜ休憩時間といえないのかを準備しておくことが必要となるでしょう。

② 労働条件の確認
 会社との関係性が問題となり、在職中に請求が困難である場合には、就業規則等の確認や労働契約、労働協約内容を確認することが難しくなるため、証拠の確保することが大切となるでしょう。
 変形時間制の定めやみなし割増賃金が給与に含まれているかどうかを労働条件通知書、給与明細書から確認をしておきましょう。

③ 証拠保全の必要性の有無の確認

 会社によって労働時間などの改ざんの危険性が高い場合には、証拠保全手続を取るべき場合も存在します。一定の蓋然性がある場合に認められるものであるため、行うかは慎重に判断をすることとなるでしょう。任意での証拠開示を要求したものの、使用者からの開示が拒否された場合や証拠改ざん、隠匿の危険性がある場合となるでしょう。

(7)内容証明郵便による催告(任意交渉)

 任意交渉として、受任通知や内容証明郵便を送付することがあり得ます。
 受任通知において、今後の労働関係の処理、代理人として就任すること、会社への任意の資料を求めることがあります。
 また、内容証明郵便を送付し、催告を行っていたことを明確にすることがあります。
 これは、割増賃金の請求は、給与の支払を受ける日から3年の時効にかかるため、会社側から時効の主張がなされる危険性があるため、早急に請求を行う必要があるためです。
 割増賃金額を具体的に特定することが困難である場合には、概括的な記載をすることが催告をすることがあり得るでしょう。

※消滅時効について原則5年、経過措置として当面の間、3年間の消滅時効期間とするとされています(労働基準法の一部を改正する法律)。

① 残業代の計算
ア 計算式
 会社側に資料の提出を求め、就業規則、タイムカード、日報等の提出をまって、最終的な計算ができますが、すべてが整っていない段階でも一定の計算を行うことが必要となるでしょう。
 割増賃金額は「通常の労働時間又は労働日の賃金」に労働時間及び割増率を乗じた計算がなされます。通常の労働時間又は労働日の賃金は、労働契約に基づく1時間当たりの単価に、割増賃金の支払対象となる労働時間数を乗じた計算を行うこととなります(労働基準施行規則19条)。
 割増賃金率 = 時間単価 × 労働時間数 × 割増率
 によって算定がなされます。

イ 時間単価

(ⅰ)月給制の場合(労働基準法施行規則19条4号)
 月給制の時間単価
 = 月給÷(1日の所定労働時間数×(1年の日数―1年の所定休日日数)÷12か月)

(ⅱ)時給制の場合(労働基準法施行規則19条1号)
 時間単価は、時給金額による算定

(ⅲ)日給制の場合(労働基準法施行規則19条2号)
 日給を1日の所定労働時間数を除した金額をいいます。日によって所定労働時間が異なる場合には、1週間における1日平均所定労働時間を所定労働時間数として時間単価として計算されます。

(ⅳ)週給制の場合(労働基準法施行規則19条3号)
 週給を1週の所定労働時間数で除した金額をいいます。週によって所定労働時間が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数を所定労働時間数として時間単価を計算されます。

(ⅴ)出来高制度の場合(労働基準法施行規則19条6号)
 時間単価は、賃金算定期日において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間を除した金額で算定されます。

ウ 除外賃金

 時間単価計算の基礎となる賃金には、「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1カ月を超える期間で支払われる賃金」は算入しないこととなっています(労働基準法37条5項、労働基準法施行規則21条)。実際に支払われるか否かは、名称のいかんを問わず、実質的に判断されます。

② 遅延損害金

・割増賃金が支払われるべき日の翌日を起算日として、年5割の割合による遅延損害金を請求できます。

・退職労働者が使用者に対して未払賃金債権(退職手当は除く)を有してる場合、当該労働者は、未払賃金につき、退職日の翌日以降、年14.6%の和入相による遅延損害金を制空できることとなります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同法施行令1条)。
 使用者が支払いを遅滞している賃金の全部又は一部の存否に係る事項に監視、合理的な理由により、裁判所又は労働委員会で争っている場合には、その事由の存する期間には適用されません(賃金の支払の確保等に関する法律6条2項、同法施行令6条4号)。

③ 付加金

 使用者が、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働の割増賃金(労働基準法37条)の支払義務に違反した場合には、裁判所は、労働者の請求により、それらの規定により使用yさが支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができます(労働基準法114条)。
 裁判所は、付加金を命ずる主体となっているため、労働委員会が行う労働審判においては、付加金の支払は認められないこととなります。しかし、労働審判に対して、適法な異議の申立てがなされた場合や労働審判委員会が事案の性質に照らして労働審判事件を終了させた場合(労働審判法24条1項)には、労働審判手続申立ての時に訴えの提起があったものと擬制されるので、労働審判手続の申立書で期間経過を防止することがあり得ます。
 付加金については、判決確定の日の翌日から民事法定利率である年5%の遅延損害金を請求することがあり得ます。

(8)労働審判

 労働審判は、企業と個々の労働者間の個別労働関係民事紛争(労働審判法1条)を対象として調停手続を包摂した労働審判手続を創設するものを言います。
 労働審判には、以下の特色があります。
① 個別労働関係民事紛争の解決手続であること
② 裁判所における紛争解決手続であること
③ 非訟事件手続きであること
④ 迅速・簡易な審理を行う手続きであること
 の特徴があります。
 労働審判では、3回以内で結論がでるため、通常の訴訟よりも早期に解決ができる場合があります。よほど複雑な紛争でなければ、第1回期日で事実関係の主張、審理が終了し、第2回期日以降の新たな主張、立証を認めない可能性があります。また、当事者の出頭が必要となることがあります。
 もっとも、労働審判の手続きでは、付加金の請求については期待できないことがあります。
 労働審判で和解に応じない場合には、訴訟に移行することが必要となります。

 労働審判手続では、審判物について調停の成立、取下げ、審判により終了することとなります。
 労働審判委員会は、審理の終結後、審理の結果認められる当事者間の権利関係および労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行います(労働審判法20条第1項)。労働審判の内容としては、当事者の権利関係の確認、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じること、その他個別労働関係民事紛争を解決するために相当と認める事項が入れられることが多いでしょう。
 労働審判委員会は、労働審判を行ったときは、正本を送達する、すべての当事者が出頭した期日において主文、理由の要旨を口頭で告知することにより、労働審判の効力を生じることとなります(労働審判法20条6項)。
 労働審判に異議申し立てがないときには、労働審判は確定判決と同一の効力が生じることとなります(労働審判法21条)。

 当事者は、労働審判に対して、審判書の送達(労働審判法20条4項)、または労働審判の告知(労働審判法20条6項)を受けた日から2週間以内に、異議を申し立てることができます(労働審判法21条1項)。2週間は不変期間であるため、延長が認められないため、審判に当たっては異議申し立てを行うかを検討しておきましょう。
 異議申し立ては書面で行うため、裁判所に異議の申立てを行うこととなります。異議申立てが行われる場合には、労働審判は効力を失うこととなります(労働審判法21条3項)。

(9)訴訟

 労働審判によることが不適切な場合には訴訟に移行することが考えられるでしょう。
 訴訟は、最終的な判断行うものです。訴状では、訴状受付後、1カ月程度で第1回期日が入り、訴訟が開始されることとなります。
 訴訟については、相当程度の期間がかかることとなるでしょう。

4 まとめ 

 残業代請求については、様々な論点があり、早期に弁護士に依頼をされるとよいでしょう。
 天王寺総合法律事務所では、労働者向けへのリーガルサービスを実施しておりますので、労働事件についてご依頼されたい場合にはぜひご相談ください。

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