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離婚調停はどこで申立てをすればよいのでしょうか。離婚調停の管轄

離婚の話し合いをしたものの、うまくいかず、別居を行い、実家に帰るといったことがなされるケースがあります。では、今後の離婚調停はどこの家庭裁判所で行えばよいのかというと、基本的には、相手方の住所地の家庭裁判所で行うこととなります。自庁処理を行う場合もありますが、調停の管轄裁判所がどこなのかを考え、弁護士を選択するといったこともありえるでしょう。

1 離婚の方法について

離婚の進め方について確認をしておきましょう。
離婚の進め方の類型には、大きく分けて、
① 協議離婚
② 調停離婚
③ 裁判離婚
の3種類があります。

なお、審判離婚といったものはありますが、これは調停の段階で双方は離婚に合意をしているものの、審判で定められる条件で家庭裁判所が条件を定め、双方が審判離婚を望んでいる場合にすることができるもので事案によってあまり利用はなされないこととなります。

協議離婚としては、離婚について話し合いを行い、離婚届を市区村長役場に提出するといったことに合意に至れない場合には、家庭裁判所において、調停委員が間に入った調停離婚を進めるといったことになります。

調停委員とは、民間人から任命される非常勤の家庭裁判所職員であり、良識や豊富な社会経験から調停委員会に入り、話し合いの間に入る役割を果たします。調停委員会は、1人の裁判官と2名の家事調停委員からなり、2人の家事調停委員が調停期日に立ち会い話し合いを進めていくこととなるでしょう。

2 調停を行うためには管轄の家庭裁判所に申立てを行う必要がある。

管轄の家庭裁判所において夫婦関係調整事件(離婚)の調停を申し立てるこにより、離婚調停を開始することができます。

家事事件手続法245条1項は、(管轄等)として、家事調停事件は、
①相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は
②当事者が合意で定める家庭裁判所の
管轄に属すると規定がなされています。

ここでの当事者において合意で定める場合とは、管轄合意を書面にて行うことが必要となります(家事事件手続法245条2項、民事訴訟法11条2項)。双方の交通の便宜などから合意ができた場合には、当事者にて定める管轄の裁判所にて手続きを行うことができます。しかし、相手方からの合意が得られない場合には、自庁処理がなされない限りは、相手方の住所地が管轄となることが想定されるでしょう。

したがって、離婚調停という家事調停事件を行う場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所にて調停手続を行うことが原則とはなります。

管轄裁判所は、裁判所のWEBページに記載がありますので、これらによって相手方の住所地(○○市)などから、管轄裁判所を特定していくとよいでしょう。

□ 管轄
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

3 自庁処理が行われる場合とは

家事事件手続法9条1項によれば、移送等にルールを定めています。

①(移送等)裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。

管轄に属しない離婚調停の申立てについては、職権などにより管轄の裁判所に移送されるのが原則とされています。

ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために【特に必要があると認めるとき】は、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

一方で、家庭裁判所が事件を処理するために、特に必要がある場合には、自ら事件を処理することができることが規定されています。

したがって、家庭裁判所に対して、特に必要があるときを主張し、自庁処理の申立書を提出することで管轄外の家庭裁判所において調停が認められる場合も例外的には存在します。

もっとも、ここでの特に必要があると認めるときとは、本来の管轄に従うと申立人あるいは当事者双方にとって不便であったり、当事者の経済力等を比較してその一方に著しい負担を強要するなど、管轄の原則を緩めても事件の適正迅速な処理のために必要な場合をいい、裁判所の裁量にゆだねられることとなります。

家事事件手続規則8条では、自庁処理の裁判をするにあたっては、当事者及び利害関係参加人の話が聞かれることになります。

家事事件手続規則第8条 家庭裁判所は、法第9条第1項ただし書【家事事件手続法9条1但書・自庁処理】の規定による裁判(移送の裁判を除く。)をするときは、当事者及び利害関係参加人の意見を聴かなければならない。

そのため、相手方が自庁処理に反対の意向を示す可能性がある場合には、やはり相手方の住所地が管轄裁判所となる可能性があるでしょう。

4 調停については出廷日当などを踏まえて弁護士を

弁護士が家事事件の調停期日に出席する場合には、日当などが費用として掛かってくる場合があります。各事務所によって異なりますが、長時間の出張などが必要な場合には一定のコストはかかってくるでしょう。別居して近くの弁護士に依頼しようと思っても、管轄裁判所が遠方で、出廷までに日当がかかってしまうことはありえるかもしれません。

したがって、弁護士に家事調停を依頼する場合には、どの家庭裁判所で行うことができるのかという管轄と、出張日当。出廷日当がどの程度かかってくるのかを確認させるほうがよいとは考えています。
天王寺総合法律事務所では、大阪家庭裁判所、堺家庭裁判所などの家庭裁判所の事件について対応していることが多いですので、一度お困りの方はお気軽にお問合せください。

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