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別居中に子どもを連れ去りがあった場合、子の引渡しはできるのか。

別居中に子どもを連れ去りがあった場合、子の引渡しはできるのか。

離婚と子どものイメージ

離婚前後には、子どもの親権を取得したいとして子どもの連れ去りが行われるといった事案が存在します。このような場合に、子どもの引渡しを求めるといったことはできるのでしょうか。この記事では子の引渡し請求について解説させていただきます。

1 親権者指定・監護者指定の考慮要素について

離婚をするにあたって、現在の監護状態が重視されるとの話をきき、子どもを連れ去り、事実上の監護状態を確保して、離婚をしていきたいとの希望を言われることがあります。

しかし、現在の監護状態が重視されるとしても、子の違法な連れ去り行為は親権者の指定に当たってマイナスの評価がなされる危険性がありますので、注意が必要となります。

親権者指定・監護者指定については、最終的には、子どもの福祉、利益の観点から判断がなされますので、子どもの福祉、利益のためにどのような環境を用意することができるのかを準備することとなるでしょう。

親権者と監護さの指定を基準として考慮される事情としては、子の利益を最優先として考慮がなされるとされています(民法766条1項、民法819条6項)。

子の利益としては、子どもの監護能力や愛情、監護の実績、主たる監護者であるかどうかなどが考慮されます。

わかりやすいポイント

(1)父母側の事情


・子どもの監護能力、監護の態勢、監護の実績、継続性
・同居時の主たる監護者、子どもとの情緒的結びつき
・子どもに対する愛情
・父母の経済力、心身の状態、生活、現在の生活態度
・子どもや周囲に対する暴力や虐待の有無
・居住環境
・保育、教育環境が整備できているか
・親族等看護補助者の援助の有無
・補助者に任せきりにしているか
・監護開始の違法性の有無
・面会交流についての許容性などが考慮されます。

(2)子ども側の事情


・子ども年齢、性別、心身の発達常況
・これまでの養育環境への適用状況
・子どもの意思
・父母と親族との情緒的な結びつき
・きょうだいとの関係などが考慮されるとされています。

しかし、違法な奪取で開始した監護については、監護の実績などへの評価については厳しい判断がなされることがあります。

2 子の連れ去りについて裁判所は厳格に判断される

法律は原則的には自力救済が禁止しています。そのために、子の連れ去りによって親権、監護権を得ようとする方法は本来認められないものとの考え方が取られることがあり得ます。

連れ去りについては原則子の引渡しを認めるべきとしている裁判例があります。

例えば、東京高裁平成20年12月18日決定では、夫婦が別居中に、一方の親に事実上監護されていた未成年者を他方が一方的に連れ去った事例において、従前監護していた親権者による監護の下に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり、必要な養育監護が施されなかったりするなど、未成年者の福祉に反し、親権行使の態様として、容認することができない状態となることが見込まれる特段の事情がない限り、その申立てを認め、しかる後に監護者の指定等の本案の審判において、いずらの親が未成年者を監護することがその福祉にかなうかを判断することとするのが相当であると判断がなされています。

これは、奪取された場合に対して、家庭裁判所に期待された役割を放棄していること、違法行為の結果を事実上、優先するような状態を招来すること、自力救済を容認してしまうことから、違法な連れ去りは認めないとする考え方を理由としています。

したがって、子どもの連れ去り行為によって、事実上の監護実績を稼ぐといった方法は子の福祉の観点から避けるべきとは考えられるでしょう。

3 主たる監護者について

子の監護者指定などを決めているうえでは誰が主たる監護者にあたるのかが判断で大きな役割を果たします。

これは、子の監護を継続的に行うことができていた者が監護をすることが子の福祉にかなうと考えられるためです。

そして、主たる監護者を認定していった上で下記のような基準で判断がなされる考え方があります。
①別居から現在までの主たる監護者が子を監護している場合には現状を維持し、
②主たる監護者でなかった者が現在監護するに至っている場合には、過去の監護に問題がなく、引取りの態勢が整っている限りは、子は原則として、すたる監護者へ引き渡すといった考え方を行うこととなります。

これは、主たる監護者にあたるか否かの判断については、乳幼児期における心理的親との継続性が子の情緒的成長に重要であることを根拠に、主たる監護者による監護を続けることが監護者指定によって検討することとなります。

4 子どもの引渡しを求めていく方法

家庭裁判所での手続きのイメージ

子どもの引渡しを求めていく場合として、離婚前には、監護権者の指定といった方法を用いることとなります。

監護権者の指定を求める審判を行い、同時に子の引渡請求を行っていくこととなります。別居となっているのであれば、事案によっては婚姻費用分担の申立てを行うこともあるでしょう。

別居中の夫婦のどちらかが子どもを監護するのかを調停手続を行い、協議がまとまらない場合には、裁判官が一切の事情を考慮して審判を行うこととなります。

■ 監護者指定の調停・審判
【申立人】 父、母、監護者
【申立先】 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
【申立てに必要な費用】
・子ども1人につき収入印紙1200円
・連絡用の郵便切手
【申立書】
① 申立書
② 未成年者の戸籍謄本
③ 監護者としてふさわしいことを主張できる資料など

審判前の保全処分を行うためには、監護者指定の審判及び子の引渡しの審判を本案として、強制執行を保全すること、子のその他利害関係人の窮迫の危険を防止する必要性があること、本案認容の蓋然性がある場合には、保全処分の申立てを行います。

もっとも、保全処分が認められる事案はかなり限定的とされており、東京高裁平成15年1月20日決定では、子の福祉が害されているため、早急にその状況を解消する必要があるときや、本案の審判を待っていては、仮に本案で子の引渡しを命じる審判があされてもその目的を達することができないような場合がこれに当たり、具体的には、子に対する虐待、放任等が現になされている場合、子が相手方の監護が原因で発達遅滞や情緒不安を起こしている場合などの厳しい要件が示されています。

5 まとめ

子どもの親権を取得したいとして子どもの連れ去りが行われるといった事案において、主たる監護者の側からすると、監護者指定・子の引渡しを行い、事案によっては保全処分を行うなどをすることがありえるでしょう。子どもの福祉・利益のために適切な対応を早期に行っていくとよいでしょう。

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