任意整理とは何か?わかりやすく解説します。

債務整理、任意整理、破産と借金問題に取り組む場合には様々な用語が登場します。
そこで、このページでは債務整理のうち任意整理について解説させていただきます。
まず、債務整理とは、借金を整理する方法全般を指すと考えてみてください。
債務整理と大きなくくりの中に、
破産
再生
任意整理
特定調停
消滅時効援用
過払金請求
自然災害ガイドライン
任意売却
など様々な手段があります。
その中で、借金の分割交渉を行っていく手続きである任意整理について紹介させていただきます。

1 任意整理とは
任意整理とは,弁護士などを通じて,各債権者と交渉を行い,将来利息のカットや返済計画について和解を成立させ,借金を整理する方法のひとつです。
今すぐ借金を返していくことは難しいので、一旦支払いを待ってもらって、一定の金額を分割で支払っていくというものとなります。
破産や再生に比べて、将来利息をカットするといったなどではありますが、将来の利息も相当な金額となってしまうことがあり得ます。
また、弁護士が入ることで,消費者金融は,直接本人に支払いを請求することを止めることとなり,冷静になった今後,どのようにして借金を返済していくのかを考える時間を得ることができます。
したがって,債務整理において入り口となる手続きとなるでしょう。
2 任意整理の具体的な流れについて
任意整理については,各事務所によって多少は流れが異なる部分があるかもしれません。
しかし,似たような方法で進めていることが多く,下記の流れを参考としておくとよいでしょう。任意整理では,弁護士に依頼した後は債権者からの連絡が弁護士に行くようになるため,しばらく連絡はないけれどどの段階なのだろうかと不安に思われることがあるかもしれません。
問い合わせの際に現在はどの段階なのかを知っておくとスムーズに話を進めることができるでしょう。
(1) 受任通知を債権者に発送する。
弁護士から依頼いただいた各債権者に弁護士が債務整理について受任したとの旨の受任通知が発送されます。
受任通知とは、弁護士がこの人の代理人に就任しましたとの通知です。
貸金業法は,弁護士等から受任通知があった場合には,正当な理由がないのに債権者等が直接本人に債務の弁済を請求をしてはならない旨が定められています(貸金業法21条1項9号)。
したがって,弁護士から受任通知が送付されることで,債権者からの督促などが止まることとなります。
借金に追い詰められているとき、弁護士からの通知でいったん支払いが止まる、催告が止まるといっただけでも心理的にはかなり楽になれます。
受任通知には、何が記載されているのかというと、専門的な話となりますが、
① 混乱を避けるため,今後は依頼者や家族への連絡や取り立て行為を中止すること
② 正確な負債状況を把握するために,取引履歴のすべての経過を送付いただくこと
③ 時効中断事由として債務を承認するものではないこと
④ 破産法,個人再生法での相殺禁止,引き落とし禁止などを告知
⑤ 過払金の支払を請求すること
⑥ 公正証書作成用の委任状がある場合には撤回をする旨の告知
などが記載されています。
弁護士が入ったことや取引履歴を開示してくださいといったことを依頼していくこととなるでしょう。
(2)債権者から債権届・取引明細書の送付がなされる
債権者からは,受任通知をうけて,取引履歴を開示してきます。
取引履歴とは、これまでの借金でいつ、いくらお金を借りたのか、いつ、いくらお金を返したのかといった履歴のことを言います。
多くの方は現実に取引の履歴をすべて把握されていることは難しいでしょう。
そこで、取引の履歴を確認することで、これまでどんな取引がなされてきのか、支払いすぎの利息はないのかといったことがチェックすることができます。
債権者から債権届書が送付されてくるまでの期間は,早い債権者であれば,2週間程度ですが,時間がかかる債権者であれば3か月程度かかる場合があります。これは,古い取引などをされている場合には,フィルムなどから取引履歴を抽出するなど取引の期間などに応じて時間がかかるときがあるからです。
債権者からの取引履歴を精査していく中で,利息制限法の制限利率を超える取引がなされていないどうかを確認し,制限利率を超えている場合には,引き直し計算を行っていくこととなります。
過払が存在する場合には,過払金返還請求の交渉,訴訟を行っていくこととなります。
(3)各債権者の借金の金額と返済できる金額,可処分所得の割合を計算する
弁護士からの受任通知を送付した後には,家計収支表,財産の状況を確認してもらいます。
家計収支表,財産の状況を見て,安定して毎月支払っていくことができる金額(可処分所得)を算定していきます。
可処分所得から各債権者への分配できる金額を算定していくこととなります。
ここで現実に支払っていくことができる金額でない場合には、破産や再生などほかの法的手段も検討しなければならない場合があるでしょう。
弁護士に依頼された方も本当に支払えるのか、長期の収入の見込みがあるのかを検討していきます。
(4)分配金額を債権者に和解案として提示する
計算上の分配できる金額について,依頼者は実際に支払いができるかを確認し,提案金額の協議を行います。
分配できる金額について債権者に和解案として金額の提案を行います。
債権者はこちらからの和解案についてすぐ受けられる場合もありますが,債権者としてもできる限り早期に借金の回収を図りたいため,早く支払うことができないのかの事情の説明を求めてくる場合があります。
和解交渉を行い,支払総額,分割支払の金額などを決めていくこととなるでしょう。
(5)和解書の作成
債権者との交渉により合意に至った場合には和解書,示談書を作成していくこととなります。
和解書には,支払うべき債務総額はいくらか,いつどれくらいの金額を支払っていくのか,どこの口座に振り込んで支払うのか,遅延が生じた場合にはどうなるのか,他の借金がないことの債権債務関係を清算するといった各種の条項を入れていくこととなります。
(6)和解書に従って支払い
和解書の内容に従って分割返済を行っていくこととなります。
3 任意整理に係る期間について
(1)3~6か月程度で任意整理を行うことが多い
任意整理では,弁護士などが作成した和解案を債権者に提示するなどして解決をしていくこととなりますので,早い案件で2か月,通常は3~6か月程度の時間がかかることが多いでしょう。
もっとも,クレジットカードの支払などにより新しい債権が発生している場合には債務額が確定していないために,任意整理の債権額が確定しないといったことがあります。
また,各債権者からの開示や資産を処分して返済原資を用意する場合には,より長い時間がかかるでしょう。不動産の任意売却を行う場合には,1年程度かかるといった場合もあり得ます。
(2)弁護士費用の支払について
任意整理では,これまで借金について支払っていた返済金を弁護士費用に充てることが多いでしょう。これは,分割金として想定される金額を弁護士費用としても支払いができない場合には,履行テストが上手くいかないとして任意整理自体を組むことができないのではないかといった観点からも見られます。
また,債権者からの支払がやむと急に収入が増えたような錯覚に陥り,かえって浪費をしてしまうといったこともあり得ます。毎月の家計収支表をつけていただき,どのようにして生活を再建していくのかといったことを考えていただくことが大切です。
弁護士費用の入金が終了して後に,和解書の締結といった流れとなりますので,費用の入金が遅れる場合には,和解成立が長引くといったことが在り得ますのでご注意ください。
4 まとめ
借金に困っている、リボ払いで借金が全然減らないなど、任意整理について可能かどうか,任意整理を行いたいといった場合については,ぜひ天王寺総合法律事務所にご相談ください。債務整理に取り組む弁護士が借金問題の解決に向けて適切な解決策をご提案させていただきます。


大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。