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物損での損害賠償金、修理費、時価などどのようなものなのでしょうか。

物損事故とは、交通事故などにより物が壊れるとして損害が発生し、ケガ人などが人的損害の発生していないものをいいます。もっとも、交通事故以外の物を壊してしまった場合にあっても同様に考えることができる場合があります。
そこで、この記事では、物損での損害賠償金、修理費などに関してとはどのようにして算定されるのかについて解説させていただきます。

1 物損で認められる損害の範囲とは

いわいる物損事故で検討される項目について、下記のようなものがあります。
損害賠償額を算定するためには、それぞれの項目について、いくらの金額が認められるのかを計算していくこととなります。

① 修理費
② 買換差額
③ 評価額
④ 代車使用料
⑤ 休車損害
⑥ 雑費等
⑦ 物損に関する慰謝料
⑧ 家屋・店舗、設備に関する損害
⑨ 積荷などその他の損害
⑩ ペット・動物に関する損害

2 修理費について

物損において、基本的な損害としては、修理費となります。
修理費について、そもそも修理をすることが可能であり、修理が相当な場合には、適正な修理費相当額が認められることとなります。

修理自体が可能であるかについては、最高裁昭和49年4月15日判決によれば、物理的に修理が不能なときといえるか、経済的に修理が不能なときといえるか、車体の本質的な構成部分に重大な損害が生じたときといえるのかによって判断がなされます。

そして、修理費の見積額が車両の時価を超えてしまう場合には、全損として評価し、事故時の時価額を損害となります。

時価の出し方としては、市場価格方式をとり、同一車種、年式、型、使用状態、走行距離等の自動車を中古市場で取得しうる価格をいい、オートガイド自動車価格月報(いわゆるレッドブック)等を参考資料とされます。

修理費が、車両時価額(消費税相当額を含む)に買替諸費用を加えた金額を上回る場合には、経済的全額となり買替差額が認められ、下回る場合には、修理費が認められることとなります。

3 買換差額

物理的、経済的に修理が不能な場合には、事故車を買い替える必要が生じることとなり、買替えの場合には、事故時の当該車両の時価相当額と売却代金との差額が損害となります。一般には、事故当時の価格からスクラップ代を差し引いた金額が損害となります。もっとも、鉄材などの買い取り価格が下がっているため、残余価格があるかどうかを算定していくこととなります。

赤い本によれば、物理的または経済的全損、車体の本質的構造部分が客観的に重大な損害を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には、事故時の時価相当額と売却代金の差額が認められる。車両の時価は、原則として、同一の車種、年式、型、同程度の使用状態、走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格をいうとされています。

4 評価損

事故後に修理をおこなったにもかかわらず、現状に回復できない損害が残る場合や、事故歴がついたことにより評価額が下落した場合の損害を評価損といい、その減少額が損害として認められることになります。評価損の有無及びその額については、損害の内容・程度、修理の内容、修理費の額、初期登録からの経過期間、走行距離、車種等を考慮して決定がなされると考えられています。算定方式についても減価方式(当該車両の事故時の時価から修理後の価値との差額を損害とするもの)、時価基準方式(事故当時の当該車両の時価を基準として、その時価の%かを損害と認めるもの)、修理費基準方式(修理費を基準として、その何パーセントかを損害と認めるもの)などの種類があります。

5 代車使用料

車両を修理している間には、当該車両を使用することができなくなるため、代車を使用し、その使用料を損害として認める場合があります。

事故により車両の修理または買替の必要性があるか、レンタカー使用等により実際に代車を利用して場合には、相当な修理期間、買替期間について、相当額の単価を基準として損害と認められる場合があります。
修理期間としては、赤い本などでは、1週間ないし2週間が通例であるとされています。

代車のグレードについては、キャディラックリムジンの代車使用料については、国産車両で十分に代用できるものであるとして、修正をしてものがあり、同車種として相当のある範囲が求めらえる可能性があります。

6 休車損害

事故により当該車両が使用不能となった場合において、車両を運行していれば得られていたであろう利益が損害として認められる場合がありえます。基本的には、タクシー・バス・トラックなどの営業用車両があたりますが、普通乗用車でももっぱら営業目的で用いられている場合には認められる場合となります。当該自動車の1日あたりの営業収入から、運行しないことによって支出を免れた経費を差し引き、休車期間を乗じて計算がなされることとなります。

赤い本では、営業車(緑ナンバー等)の場合には、相当なる買替期間中もしくは修理期間中にも認められるとされます。大高観光バスについては、稼働状況及ぶ運賃収入は季節によって変わることから、休車時期として前年度と同期の稼働実績に基づいて1日あたりの運賃収入を算定をすることがあります。

もっとも、代車使用料が認められる場合には、休車損害は認められないこととなるでしょう。

7 雑費等

雑費としては、車両の損壊自体から生じる損害として、車両の保管料、レッカー代金、廃車料等が認められることとなります。特殊な例であら、道路工事復旧負担金や油が流出したことい対する除去費用が認められた場合、宿泊をよくされなくなった場合の宿泊費などが認められた場合もあります。

8 物損に関する慰謝料

物的損害に関しては、慰謝料は原則として認められないことになります。あくまで物損の場合には、財産的損害が発生した事案であり、その物の経済的価値が回復された場合には、慰謝料などの精神的損害は発生していないと考えらえるためです。

もっとも、物損の被害者の精神的平穏を害する場合や特別の愛情が侵害され、それが社会的にみても相当な場合には、慰謝料が認められることはあります。金額としては、一般社会通念を基準としてそれほど大きな金額とはならないと解されるでしょう。

9 家屋・店舗、設備に関する損害

店舗や建物の修理費は、全額損害と認められることが多いでしょう。
家屋や店舗、設備に自動車がぶつかった場合には、そのために被った営業損害等が認められる可能性があります。
裁判例によっては、自動車が衝突することで、まかり間違えば人名に対する危険があるとして、家庭の平穏を害されたとして慰謝料30万円を認めた裁判例(大阪地裁平成元年4月14日判決)も存在します。

10 積荷などその他の損害

事故により車両に掲載していた貨物や荷物が損傷した場合は原則として、損害として認められることとなります。
もっとも、一般のトラックに衝突した際に、時価数億円の電子機器が掲載されていたなど、一般に予見可能性がない場合には、特別損害として損害賠償義務を負うかどうかは争いとなってくるでしょう。
通常の積載物であった場合には交換価値が損害として認められることとなるでしょう。

11 ペット・動物に関する損害

物の損壊と同じように考えられ、治療費などが認められる可能性があります。
犬の葬儀費用や治療費、慰謝料を認められる案件もありますが、あくまで客観的な交換価値などが基準とされるため、費用が多額になることは考えにくいでしょう。

12 交通事故の損害賠償請求について

交通事故の損害賠償請求については弁護士損害賠償保険が附帯していることが多く、弁護士費用を保険で賄うことができる場合があります。保険会社などに相談のうえで、法律事務所にご相談されることをオススメ致します

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