酒気帯び運転と酒酔い運転の違いはなんでしょうか。
1 酒気帯び運転と酒酔い運転の違いとは
(1)酒気帯び運転
酒気帯び運転とは、
① 体内のアルコール濃度が血中1ml中0.3mg 又は
② 呼気1リットルにつき0.15mg以上アルコールを体に保有する状態のこと
のことをいいます。
① 違反点数について
ア 0.15mg以上~0.25mg未満の場合 13点
酒気帯び運転におけるアルコール濃度が0.15mg以上~0.25mg未満の場合には、違反点数は13点となります。他の違反と合わせて違反してしまった場合にはより大きな点数となります。
⇒ 運転免許の停止(前歴がない者 13点で90日、前歴がある場合には、免許取り消し)
イ 0.25mg以上の場合 25点
酒気帯び運転におけるアルコール濃度が0.25mg以上の場合には、違反点数は25点となります。
⇒ 違反点数が25点となるため、免許取消となり、2年間など欠格期間が過ぎるまでは、免許を取得できず、再取得できるまで運転はできません。
② 刑事罰について
酒気帯び運転に該当する場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
道路交通法117条の2の2第3号 道路交通法65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
3号に該当した場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
道路交通法施行令 (アルコールの程度)
第44条の3 道路交通法第117条の2の2第3号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液1ミリリットルにつき0・3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0・15ミリグラムとする。
(2)酒酔い運転
これに対して酒酔い運転とは、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態のことをいいます。
酒酔い運転では、体内のアルコール濃度がどの程度であるかは関係がなく、アルコールが原因となって正常な判断ができていないかどうかが判断基準となります。アルコールの分量の検査、直立能力、歩行能力の検査、ろれつが回っているかなど、正常な判断ができているのかなどによって判断がなされます。
① 違反点数について
アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない恐れがある状態であった場合には、点数35点となり、免許取消、欠格期間3年といった判断がなされることとなります。
② 刑事罰について
道路交通法117条の2第1号において、酒気帯び運転等の禁止に違反し、その運転をした場合に、酒に酔った状態であったもの(アルコールの影響により正常な運転ができない恐れがある状態)。であった場合には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金という思い刑事処分となっています。
(3)飲酒運転によって人を死傷させた場合
飲酒運転によって、人身事故や死亡事故を引き起こしてしまった場合には、
・過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)
自動車運転過失運転致傷罪において、7年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金がかせられます。無免許運転の場合には、10年以下の懲役となります。
・危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条)
アルコールにより正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた行為によって、人を負傷させた者に対しては15年以下の懲役、人を死亡させた者は、1年以上の有期懲役に処されます。
・過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱(自動車運転処罰法4条)
アルコールなどによりその走行中に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合に、その運転の時のアルコールの影響の有無、程度が発覚することを免れる目的で、さらにアルコールを窃取すること、その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときには、12年以下の懲役となることがあります。
飲酒運転などによって人身事故を引き起こした場合には、非常に重い刑事罰が科されるおそれがあることとなるでしょう。
2 まとめ
前科前歴がない方が、酒気帯びといった場合には、道路交通法違反の事件として、略式命令や執行猶予などで終了し、大きな事件とはならない場合もあります。しかし、前科前歴がある、事故を起こしているなどの事情があった場合には、被害弁償などをしなければ刑事罰が大きくなってしまうおそれがあります。交通刑事事件についても弁護士を入れた適切な対応をすべき場合がありえるでしょう。
交通刑事事件について警察から捜査を受けているなどのご事情がある場合には、法律事務所へのご相談をオススメ致します。
大阪弁護士会所属。立命館大学法学部卒・神戸大学法科大学院卒。数多くの浮気不倫問題、離婚問題を取り扱っている弁護士。関西地域にて地域密着型法律事務所を設立。