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宗教活動を理由に離婚をすることはできますか?

宗教活動を理由に離婚をすることはできますか?

(想定事例)
16年前に結婚をして、今まで生活をしてきたのですが、妻が新興宗教にのめり込むようになりました。はじめは、宗教はそれぞれの自由であると思っていたのですが、徐々に個人の教祖に心酔するようになっていました。友人関係にも宗教の物品を販売しようとする、入会を勧めるなどによって家族関係、友人関係が破壊されて行ってしまっています。また、妻は専業主婦なのですが、土日にも宗教の集会に出かけ、家の預貯金の使い込むようになっていました。家庭も大切にしてほしいといっても、制裁が下されるといって話し合いもできなくなっています。このような場合には、離婚をすることはできるのでしょうか。

1 弁護士の回答

① 基本的に、配偶者の宗教活動は相互に尊重しあうことが望まれます。

 夫婦は家族といえでも、それぞれの人格を尊重しあうことが望まれます。
 信教の自由は、憲法20条1項前段により保障された自由であり、人格のひとつをおりなすものですので、夫婦間は、互いの信教の自由は尊重されることが望まれます。家庭裁判所も当該宗教の所属していること、宗教活動を行っていることをもって公権的に離婚を宣言することは難しいことが想定されます。

② まずは、離婚の合意に至ることができれば、離婚を行うことができます。
 
 離婚には、・協議離婚、・調停離婚、・訴訟離婚の3種類があります。
・訴訟離婚については、離婚原因が必要となりますが、協議離婚、調停離婚は、それぞれが合意をすれば、離婚を行うことができます。宗教活動については、それぞれの信仰は尊重されるべきものですが、価値観がもはや一致しない以上、合意ができるよう協議を行うとよいでしょう。

③ 客観的にみて、婚姻共同生活を維持できない水準の宗教活動を行うものに至っていた場合には、離婚の理由となることがあり得ます。

 信教の自由があったとしても、他者の人格を侵害してよい理由とはなりません。民法752条は、夫婦には、相互に協力して助け合わなければならないとの同居、協力、扶助義務負っています。
 民法770条1項5号は、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する場合には、離婚を請求することができます。客観的にみて、夫婦双方が婚姻を継続する意思がないこと、夫婦の共同生活の修復が著しく困難である場合には、婚姻が破綻したものとして、離婚を求めることができることとなります。本件では、客観的にみて、婚姻共同生活を維持できない水準の宗教活動を行っていた場合には、婚姻を継続し難い重大な事由となることとなるでしょう。
 
 妻が宗教活動によってどれだけ過程をおろそかとしているのか、夫婦共同生活にいかなる影響があったのかを主張立証していくことで最終的には、裁判離婚を目指していくことがあり得るでしょう。

2 子どもの親権者には影響をするのか

 子どもがいる場合には、宗教活動が離婚原因となった場合にはどのようにして判断がなされるのでしょうか。
 子どもの親権者は、まず、当事者の合意によって、離婚届に記載する際に記載することとなります。そのため、夫婦間でどちらの元で子どもを育てることが最も子どもの福祉にかなうかを話し合いで定めていくこととなるでしょう。

 親権に争いが生じた場合には、親権者を決める要素には、これまでどちらが子どもの監護を継続していたのか(監護の継続性)、子どもの意向や子どもの年齢(子どもが14,15歳の年齢に至っている場合には子どもに一定の判断能力ができるため子どもの意思が大切となってきます)、親の状況(子どもを育てられる仕事の状況、社会状況、経済状況、監護を行う意欲、監護補助者がいるかどうか)などを踏まえて判断がなされます。

 どのような宗教行為、宗教活動を行っていくかは子どもの親権者の判断には直ちに影響を与えるものではないため、親権者の取得については影響を与えないのが原則と考えられます。
 もっとも、子どもの生活に影響を与えるまでに子どもの監護を行っていないこと、子どもをネグレクトするなどの事情があった場合には、親権に影響を与えることがあるでしょう。

3 裁判例について

 東京高裁平成2年4月25日判決においては、夫の説得を聞き入れず宗教活動を行うことに対して離婚請求を求めた事例があります。
 信仰の自由は、個人の基本的人権に属する問題で夫婦でもこれを侵害することは許されないが、夫婦の間では互いに相手方の考え方や立場を尊重して自己の行為の節度を守り、相互に協力して家族間の精神的融和を図り夫婦関係を円満に保つように協力すべき義務があり、夫婦の一方が自己の信仰の自由のみを強調し、その信仰に基づき宗教活動に専念して相手方の生活や気持ちを全く無視した態度をとった結果、夫婦関係が悪化し、婚姻関係が破綻した場合は、その者にも破綻の原因があるとして、当時者双方がそれぞれ相手方の考え方や立場を無視してかたくな態度をとり、婚姻関係を円満に継続する努力を行ったことが婚姻関係破綻の原因であり、その責任は双方にあるとして、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断されています。

 もっとも、離婚慰謝料の請求については、婚姻関係の破綻の原因は双方にあるとして認められていません。
 したがって、宗教活動を行っていたからといって離婚が認められたとしても、破綻原因が双方にある場合には、慰謝料請求が認められない場合があり得るでしょう。

4 宗教活動をもとに離婚を求めていく場合には弁護士に依頼をしていきましょう。

① 離婚においては、離婚原因、親権、養育費、財産分与など様々なことが問題となってきます。宗教にかかわる離婚であった場合には、離婚に至るかどうかの話し合いを行うだけでも大きな精神的な負担となってきます。そこで、法的争点である、親権、養育費、財産分与などについて弁護士の援助を受けておくとよいでしょう。

② 弁護士に依頼をすることで、離婚協議、調停、訴訟において適切な援助を受けることができます。離婚協議では相手方との話し合いを行うことが困難である場合が存在します。そこで、冷静な話し合いを行うためにも第三者である弁護士や裁判所を関与させることで離婚に至るスムーズな方法となることがあり得るでしょう。

5 まとめ

 宗教行為などにより離婚を考えられている場合には、弁護士に相談し、今後の離婚に向けてのプランを立てていくことが大切となります。天王寺総合法律事務所では、大阪天王寺・堺・松原・羽曳野・東大阪の方々向けの離婚サポートを行っておりますので、ぜひご相談をください。

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