成年後見開始の審判の流れ

成年後見開始の審判の流れ

成年後見開始の審判の流れ

1 成年後見制度とは何ですか。

 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害、交通事故での後遺症などによって、判断能力が欠ける常況にある成年者を法律的に保護、援助するための制度です。人は、健康に気を使っていっても、高齢者になるにつれて、判断能力が衰えていっていますことはやむを得ないものがあります。そこで、ご家族から成年後見申立てを行うことによって身上監護や財産管理で一定の権限と責任を果たすことで高齢者、判断能力が衰退したしまった人への援助をすることができます。

 成年後見制度の目的は、ご本人の判断能力が低下した状態においても、本人意思を最大限尊重した意思決定、法的援助を受けることで、円滑な社会生活を目指すものということができるでしょう。

2 成年後見申立ての流れ

(1)成年後見申立て審判の特徴

 成年後見審判は、家庭裁判所が後見的な立場から、公益的事項について処分を行う手続となりますので、通常の裁判と異なり、非対審構造、職権による調査、非公開主義が主たる特徴となっています。

(2)申立権者について

 成年後見審判は、後見的といっても一定の者が後見開始審判の申立てをしなければなりません。申立てがなされて裁判所は、審理を開始することとなります。申立人は、審理に協力する負担を負います(家事事件手続法56条2項)。
 申立権者には、
① 本人
② 配偶者
③ 4親等以内の親族
④ 未成年後見人
⑤ 保佐人
⑥ 補助人
⑦ 保佐人、補助人等の監督人
⑧ 検察官 (民法7条)
⑨ 市町村長(老福32条、精神51条の11の2、知障28、障害虐待43条2項)。
 があげられています。
 
 内縁の妻などは申立権を有しないため、4親等以内の親族や市区村長に働きかけを行い申立てを対応することが望まれます。本人申立てもありますが、一時的にも本心に復している状態でなければ、申立能力が欠けると判断されることがあり得ます。

(3)管轄について

 管轄とは、どの裁判所が後見の審判をすることができるのかというものです。
 申立人は、管轄の裁判所に対して、申立書、申立書付票、本人の財産・収支に関する資料、添付資料、成年後見人候補者の添付資料を提出することとなります。診断書は、

① 管轄は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所となります(家事事件手続法117条1項)。
② 一時的に施設病院に入所している場合には、元の居住地を住所地として考えられます。
③ 入所、入院が長期間にあたり、今後住民票上の住所地に戻らない場合には、後に登記事項の変更の手間となされないために、あらかじめ住民登録地を施設の所在地に移転しておくとよいでしょう。

(4)申立書

 後見開始申立書、家事審判申立書を提出します。申立書文例は、家庭裁判所などにウェブサイトにひな形が置かれています。

【申立書】
① 申立人:住所、氏名、本人との関係
② 手続代理人:住所、氏名、ファクシミリ、電話番号
③ 本人:本籍、住民票の住所、実際に住んでいる場所
④ 申立ての趣旨;本人について後見を開始するとの審判を求めるとの記載
⑤ 申立ての理由:本人は,(       )により
判断能力が欠けているのが通常の状態又は判断能力が(著しく)不十分であるであるとの記載を行います。認知症など本人の判断能力ついて医師の診断書を着けることとなります。 ⑥ 申立ての動機:預貯金等の管理・解約、保険金受取、不動産の管理・処分、相続手続、訴訟手続等、介護保険契約、身上保護(福祉施設入所契約等)などの事情をチェックし、理由及び動機について具体的な事情を記載します。
⑦ 成年後見人候補者:成年後見人となる候補者を記載します。後見人等候補者事情説明書などを添付します。家庭裁判所では、成年後見人候補者の適格性判断の意見聴取が行われることとなります。成年後見人・保佐人・補助人の役割及び責任について十分理解をしておくとよいでしょう。
⑧ 本人に関する照会回答(生活状況、健康状況、経歴、親族の氏名、連絡先、財産・負債の状況(財産目録)、収入・支出の状況(収支目録)、各種資料(特に健康状況、財産、負債、収入・支出等に関するもの)
⑨ 候補者に関する照会回答(生活状況、職業、家族、健康状態、経歴、収入・財産状況、本人の療養看護や財産管理の方針など)

【添付資料】
① 申立人の戸籍謄本
② 本人の戸籍謄本、戸籍附票、登記事項証明書
③ 成年後見用診断書
④ 成年後見人候補者の戸籍謄本・住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書
が必要となります。

【申立費用】
収入印紙     800円
予納郵券     各家庭裁判所の所定金額
登記用の収入印紙 2600円
鑑定費用     鑑定費用は、家庭裁判所ごとに異なることがある場合に一定の費用がかかってきますので、申立前に家庭裁判所に確認をしておくとよいでしょう。5~20万円程度がかかることを想定しておくとよいでしょう。
改定などにより変わる可能性はありますので、申立前に確認を行う必要があります。

3 審理手続き

 審判手続については、下記のような流れで行われます。

(1)手続案内

 家庭裁判所の窓口において、制度の趣旨、手続の進行などの説明がなされます。説明用のDVDなどもありますので、確認をするとよいでしょう。手続案内では、申立権の有無、管轄、本人の状態、申立ての動機・目的などについての確認、成年後見制度の趣旨、後見開始に伴う資格制限、権利制限、成年後見人の権利義務、申立人の負担、成年後見人候補者、必要書類、鑑定人の確保、手続の流れを確認することとなります。

(2)申立て、受付・受理

 申立書・添付書類及び裁判所から求められた必要書類を管轄裁判所に提出します。
 申立ての際に、申立人及び候補者から、申立書や照会回答等に記載された内容について直接聴取するなどの裁判所もありますので、各家庭裁判所において、手続きの案内を確認しておくとよいでしょう。後日、問い合わせがあった際には、控えを残しておきましょう。
 申立書等の提出を受けた家庭裁判所では、管轄、手数料の有無、必要書類の有無、申立書等の記載漏れの有無などを審査し、補正を経た上で、事件を受理されます。

(3)申立人からの必要な事情の聴取

 申立て時に申立人や成年後見人候補者などに出頭を求め、調査官による家庭裁判所により調査が行われることもあります。
 裁判所は、申立人等から提出された書類や資料を踏まえて、本人、申立人などから事情や意向の聴取を行い、申立ての動機、本人の心身の状態、意向、生活状況、財産状況、収支状況、親族間の対立の有無などの調査が行われます。
・ 精神鑑定の要否
・ 本人調査の要否
・ 親族照会の範囲の決定
・ 候補者調査・財産調査の要否、範囲の決定
などの調査、鑑定を行います。

① 鑑定:鑑定が必要と判断され、かつ、主治医が鑑定を引き受ける等の条件が整っている場合には、鑑定手続に入ります。後見開始の審判をするには、本人の精神状況について、医師その他適当な者に鑑定をさせなければなりません。ただし、明らかにその必要性がない場合には、不要となります(家事事件手続法119条)。
 明らかにその必要がないと認められる場合には、直近において鑑定が利用できている場合や植物状態であると医師が判断している場合です。知的障害者について、養育手帳交付野際に判定が最重度となっている場合にも鑑定が不要とされる場合があるでしょう。

② 親族への意向照会:同意書の提出がない場合には、本人の親族に対し、書面により申立ての概要や候補者を伝え、その意向の確認がされます。申立に際して、親族の同意書を提出することで、あらためて意向照会を回避することができる場合があります。

③ 本人調査(面接):調査が可能な場合は、家庭裁判所調査官が本人と直接面接することとなります。家庭裁判所は、後見開始の審判をするには、本人の陳述を聞かなければなりません(家事事件手続法120条1項1号)。

(4)審理・審判

 裁判所は、申立人から提出された書類や資料、調査の結果、鑑定の結果を総合して、本人の判断能力が欠ける常況にあると認める場合に、後見を開始し、職権で成年後見人として適任者を選任します。
 後見開始の申立ては、審判がされる前でも家庭裁判所の許可を得なければ取下げをすることはできません(家事事件手続法121条1項)。

 裁判官による審問が行われることは稀であり、成年後見人候補者の適格性に問題があるにもかかわらず当事者・関係者がその者に固執している場合や親族、利害関係者の対立が激しく鑑定に協力が得られない場合などには、審問がなされることがあり得ます。

(5)後見登記

 成年後見人が審判所を受領してから2週間以内(家事事件手続法86条1項)に、即時抗告がされないときには審判が確定し(家事事件手続74条2項)、後見登記がなされます(開示事件手続法116条)。

(6)成年後見人の職務

① 成年後見人は、就任後1か月以内に被後見人の財産目録を作成します(民法853条)。

② 被後見人の生活、療養看護、財産管理のために毎年支出すべき金額について予定をしなければなりません(民法861条)

③ 成年後見人は、裁判所が定期的に、後見事務の報告、財産目録や予定表を提出する、後見事務全般に関する報告を行うこととなります。
  一般的には、1年に1回の報告をすることとなるでしょう。

④ 成年後見人の職務は、後見事務の課題(保険金受領、遺産分割協議、不動産売却など)が完了した後でも、後見開始の取消し、被後見人の死亡まで続くことになります。

【成年後見人の事務としては下記のようなものがあります】
① 被後見人の生活に関する事務(生活費の計画的な支出)を行います。
② 療養看護に関する事務(介護、施設入所、医療等に関する契約の締結)を行います。
③ 財産の管理に関する事務(財産の管理、財産に関する法律行為、被後見人の法律行為の取消等)を行います。

【成年後見人の報酬】
 成年後見人、後見監督人は、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行った場合には、家庭裁判所の定めた報酬を本院の財産から受け取ることができます。

4 まとめ

 成年後見人の申立ての流れについてご説明させていただきました。成年後見人候補者がいない場合にも家庭裁判所から候補者の推薦が行われることがあり得ます。成年後見の申立てをご依頼されたい方は当事務所にお問い合わせください。

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