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【大阪天王寺の弁護士事務所】婚姻費用とは?

夫婦関係が悪化したときに,同居中に配偶者から生活費を全く支払ってもらえない場合,別居中に生活費の支払をしてもらえないといった場合があります。

日々の生活費が入ってこない恐怖は相当なものです。

そこで,夫婦での生活費をきちんと支払ってもらうためにはどのようにしていくべきか,法的用語としては,婚姻費用の支払いを求めていくにはどのようにすればよいかということ

1 婚姻費用とは

ポイント! 婚姻費用は,法律上の義務

婚姻費用とは,夫婦の婚姻生活で生じるお金を負担するものです。

法律上の根拠としては,民法760条には,「夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する」との規定があります。
結婚をしたとの法律上の効果として,婚姻から必要な費用を負担しなければなりません。

婚姻費用には,未成年者の未成熟の子供の生活費,医療費,教区日,相当な娯楽費などが含まれることとなります。

2 婚姻費用の金額はどのようにして決まるのか

ポイント! 婚姻費用は,子どもの人数,双方の収入から決まることが多い

婚姻費用は,司法研修所が公開をしている婚姻費用養育費算定表により調停や審判で定められていくことが多いでしょう。

(1) 2003年4月 養育費・婚姻費用算定表(古いバージョン)

かつては,算定のために個別に家庭裁判所調査官調査を行うなどがなされている時代もありました。

しかし,東京・大阪養育費等研究会により「簡易迅速な養育費等の算定を目指して―養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(判例タイムズ1111号285頁など)が2003年4月に公表され,調停や審判でこれらの算定表を利用した婚姻費用・養育費の算定が行われるようになりました。

これらの表は,婚姻費用や養育費を支払う側の年収や支払いを受ける側の権利者の年収,子どもの人数などによって算定していくものでした。あくまで標準的な養育費や婚姻費用を迅速に算定するもので,最終的な金額は様々な事情や当事者で合意をした内容により決めていくこととなります。

これらの算定表による婚姻費用の算定については,最高裁平成18年4月26日決定において,夫の所得金額合計から社会保険料等を差し引いた夫の総収入を認定し,夫の婚姻費用分担額算定の基礎となるべき収入,基礎収入を推計した上で,夫の負担すべき婚姻費用を算定した判断について,合理的なものであると判断しています。

したがって,算定表による婚姻費用・養育費の算定については,裁判所によっても承認されています。

一定の事情については,算定表を標準化するにあたって考慮がなされていますので,算定表の幅を超えるような金額を算定する場合には,算定表によることが著しく不公平となるような特段の事情があることが必要となるでしょう。

(2)令和元年12月23日 養育費,婚姻費用の算定に関する実証研究

 2003年の考え方を踏襲しつつ,統計資料を更新するなどして,新しい標準算定方式・算定表(令和元年版)が提案をされることとなりました。

 裁判所にこれらの表は公表されており,この表に従って算定をしていくことが今後は増えていくこととなります。

3 収入の認定をすることが大変な場合がある。

ポイント! 自営業者など収入を認定する場合に弁護士の援助を受けたほうがよい場合がある。

 算定表では,収入や子どもの年齢,人数により算定ができるため,給与所得者同士である場合には,相場の金額を出すことにそれほど多くの困難はないでしょう。
当事者で,協議離婚をする場合や調停・審判で離婚をする場合には,婚姻費用・養育費の算定表で決めていくこととなります。

(1)収入の認定方法について

 収入については,給与所得者においては,源泉徴収票の「支払総額」が総収入に当たることとなります。
 調停や審判においては,前年分の源泉徴収票を利用する場合が多くあります。

 就業期間が短い場合には,過去数か月分の給与明細から年収を算定していくといったことができるでしょう。

※ 複数の職場で働いている場合

 複数の職場で働いている場合には,源泉徴収票を隠されてしまい,収入が低いといった判断がなされてしまうおそれがあります。家庭裁判所での調停や審判では,相手方に求釈明を行って提出を求めることや確定申告書,市区町村の課税証明書を集めておくことが必要となるでしょう。

 別居をした場合に,相手方が任意に提出に応じないには金額の算定が難航してしまうおそれがあり得ます。

 別居前にできる限り,源泉徴収票,課税証明書,確定申告書を写真撮影しておくなど,あらかじめ資料を保全していくことが大切となります。

※ 減収がある場合

 昨年度の源泉徴収票を参考とするために,前年度よりも年収が減少するといった主張がなされる場合があります。しかし,年収が減少されるとして直ちに,減少分が認められるわけではありません。
 
 東京高裁決定平成21年9月28日の判断では,年収が減少するのかどうか,現象するとしていくら現象するのかは予測が困難であり,本年度分の年収を推計することはできないために,婚姻費用分担額は前年度の収入に基づいて算定をしなければならないと判断がなされています。
 したがって,減収があると場合には,予測ができることや前年度の収入に基づいて算定をすることが不公平であるといえるような事態を主張,立証することが必要でしょう。

(2)自営業者について

 自営業者においては,確定申告書の「課税される所得金額」を総収入として算定の基礎としていくこととなります。

 しかし,自営業者の場合には,確定申告書において節税をするために,様々な経費を指しい引いていることが多くの案件で見られることなります。

 算定表においても,一般的な傾向として自営業者の場合には,収入金額などを分けていますが,事業収入や経費を見て,算定をしていなければなりません。

現実には,専従者給与として金銭が支払われていないなどの事情が存在することもあり得るでしょう。

自営業者の場合には,算定表での修正のみならず,事業収入,経費をみた上で,算定の主張,立証をしていくことが必要となりますので,弁護士などに依頼をされることがよいでしょう。

4 婚姻費用について,弁護士からの通知書,調停,審判を利用していく

 婚姻費用について,支払いがない場合には,弁護士からの連絡,通知書を送付し,法的に支払い義務があることを告げることが大切です。

 このままでは裁判所での手続きを経なければならなくなるとして一定の対応をされることも数多くあるでしょう。

 また,それでも支払いがない場合には,調停,審判,保全を行い,支払いを求めていくこととなるでしょう。

 当事務所では,婚姻費用調停,審判などを経験してきた弁護士が所属しておりますので,婚姻費用について請求を考えておられる場合には,ぜひ当事務所にご相談・ご依頼を検討ください。

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