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離婚、別居の案件で子の引渡し請求を求めるためには?

✅ 別居中に同居をしている子どもが夫に連れさられました。子どもをすぐに返してほしいのですが,どのようにしたらよいのでしょうか。

子どもの連れ去りを受けた場合には,法的手段としては,いくつかの手段が存在します。
早急に対応するために,弁護士などの協力を得て,子どもを返してもらうように対応をしましょう。

1 審判前の保全処分として子の引渡し請求(家事事件手続法105条,157条)

(1)審判前の保全処分として子の引渡し請求を申し立てる。

 子どもの連れ去りを受けた場合には,監護者指定及び子の引渡請求を本案とし,これらの保全処分を申し立てることとなります。
 保全とは,そのまま放置すると権利実現をすることが困難となる危険性がある場合に,裁判所での本案での審理を待たず,暫定的な救済を行う方法です。

 審判前の保全処分として,家事事件手続法では,その趣旨及び保全処分を求める事由を明らかにすることが必要であり,趣旨・保全処分を求める事実については,疎明します(疎明では,裁判所で一応確からしいという程度で足ります)。

① 「急迫の事情があるときに限り」(民事保全法15条)

② 「債権者に生じる著しい損害又は急迫の危険をさけるためにこれをする必要があること」(民事保全法23条2項)
といった保全の要件を満たす必要があります。

③ 親権者・監護権者指定の基準として,子の利益を様々な観点から考慮されます。
 子の利益としては,監護の継続性や主たる監護者などが重視されることとなります。
 子どもの年齢が一定の判断される年齢を満たす場合には,子ども意思が重視されます。

 子どもの違法な奪取や面会交流の許容性といった事情も考慮されていくこととなるでしょう。

 乳幼児に時期については,母親尊重といった考え方を取る場合はありますが,現在はそこまで重視はされていないとされています。
もっとも,現実的には,母親が子供の主たる監護者としてふるまっていることが多いという社会情勢を踏まえ,母親を親権者・監護権者と定めることが多くあります。

諸般の事情として,考慮事情としては下記のような事項を踏まえられます。
(ⅰ)父母の事情
監護能力,監護態勢,監護の継続性,同居時の主たる監護者,子どもとの情緒的な結びつき,経済力,心身の健康,性格,生活態度,暴力虐待の有無,居住環境,保育教育環境,監護補助者の援助の有無,面会交流の許容性などが考慮されます。

(ⅱ)子の事情
年齢,性別,心身の発育状況,従来の養育環境への適応状況,監護環境の継続性,環境への変化の適応性,子の意思,兄弟関係,親子関係などの事情が考慮されます。

いずれにしろ,これらの事情を踏まえて,子の利益となるものは誰かといった観点が重視されることとなります。

 保全の必要性などは要件が厳しいものがありますが,違法な連れ去りについて裁判所は自力救済を禁止する観点から保全処分が認められる場合があります。

(2) 審判前の保全処分として強制執行を行う

 審判前の保全処分として,子の引渡しが命じられた場合には,強制執行手続きを行うこととなります。
裁判所から履行勧告を行うことがありますが,強制的な実現ができるわけではないため,履行勧告で子の引渡しができるようになるかは不透明です。
そこで,債権者に対して保全命令が送達された日から2週間以内に,保全執行を行うこととなります(民事保全法43条2項)。

① 履行勧告(家事事件手続法289条)
② 間接強制(民事執行法172条1項)
③ 直接強制(民事執行法169条1項)

 直接強制は,裁判所の執行官が相手方から直接子どもを取り上げて申立人に引渡しを行うこととなります。しかし,強制的な引渡しは子どもの年齢によっては心身に影響を与えれしまうおそれがあるため,子の利益を守るためにやむを得ない手段となります。

 間接強制は,権利実現が行われていない間は,一定の損害金を課すことで子の引渡しを行わなければならない状態となります。

2 未成年者略取・誘拐罪による刑事告訴

 主たる監護者から違法に子が奪取された場合には,警察に未成年者略取誘拐罪などで対応をすることがあります。

 子どもの親に前科前歴を付けたくないといった事情や家庭裁判所で解決を図るべきとの考え方ですべての場合で対応をしてもらえるわけではありません。

 しかし,従前に家庭内暴力があり、奪取の方法が相当性を欠いている,子どもの身体に危険が及ぶ等の事情が存在することを踏まえると,夫に親権があったとしても未成年者略取誘拐罪に該当するとした事案も存在します(最高裁決定平成17年12月6日)。

 事案によっては,警察に相談をしたほうがよい場合があるでしょう。

3 人身保護請求(人身保護法)

 人身保護手続は,不当に奪われている人身の自由を司法裁判により迅速かつ容易に回復させる制度です。

 人身保護法において,意思を有しない幼児の監護を回復するために,裁判所に違法拘束救済の請求をすることとなります(人身保護法2条)。
 審理・裁判が迅速になされること,人身保護命令に従わない拘束者に対して勾留や過料を処するなど刑事罰の実効性が確保されている点でのメリットがあります。
 
 人身保護請求ができる要件としては,「拘束又は拘束に関する裁判若しくは処分がその権限なしにされ又は法令の定める方法若しくは手続きに著しく違反していることが顕著である場合に限り,これをすることができる」(人身保護規則4条)とされています。

 最高裁平成5年10月19日において,共同で親権を行使している場合には,夫婦の一方による幼児に対する監護は,親権に基づくものとして,特段の事情がない限りは,適法というべきであるから,監護・拘束が人身保護規則4条にいう顕著な違法性があるというためには,監護が子の幸福に反することが明白であることを要するとの判断をしており,子の幸福に反することが明白である場合にのみ利用できることとなったため,現在はあまり利用しないことが多いでしょう。もっとも,強制執行をしても引渡しがない場合など執行不能の場合や監護者が虐待など子どもの幸福に明らかに反する事情があった場合や単独親権者から子を連れ去るといった違法性が高い事案においては,人身保護法により対応をすることがあります。


4 他の手続き


 保全処分では様々な案件により行うことがあります。婚訴訟の附帯処分,保全処分(人事訴訟法30条1項),親権あるいは監護権に基づく妨害排除請求,保全処分といった方法があり得るでしょう。それぞれの事情を踏まえて,適切な法的な対応を取っていくことが必要となります。
子の引渡しについては,迅速な対応が必要となるため,弁護士に相談し,早期に手続きに着手することが必要となります。できるだけ早期に専門家に依頼をされるとよいでしょう。

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